政府原発事故調:福島第一の対応は適切さを欠く-報告書

政府の東京電力福島第一原子力発 電所事故調査・検証委員会(委員長:畑村洋太郎東大名誉教授)は23日 に取りまとめた最終報告書で、福島第一原発の事故後の対応は、福島第 二原発と比べ「適切さを欠いたものであった」と結論付けた。

報告書では、事故の問題点を分析するため、福島第一原発と同様に 津波に襲われた福島第二原発での作業員の対応を比較。一例として第一 原発3号機の高圧注水系による注水の停止を挙げた。代替の注水手段が 準備されないまま高圧注水系が手動停止され、6時間以上にわたって原 子炉への注水が行われず、炉心の損傷が進行し圧力容器やその周辺部に も損傷が及んだと指摘した。

一方、福島第二原発では外部電源が使用可能であったために作業員 にも心理的な余裕があったとしたうえで、次の代替手段が機能するかど うか確認後に注水の手段を切り替えていたと報告した。

報告書は同時に、原子炉建屋の中に入った調査ができなかったこと や時間的な制約があったことなどから、原子炉建屋が爆発した原因や主 要施設の損傷状況、放射性物質が漏れた経緯など「いまだに解明できて いない点も多々存在する」と指摘した。

調査・検証の継続を

政府や電力会社、プラントメーカー、研究機関、関連学会といった 関係者は事実の解明を「積極的に担うべき立場」にあるとし、原因の明 らかになっていない事象について徹底的な調査や検証を継続すべきだと 述べた。とりわけ、放射線のレベルが下がったときには、地震による施 設への影響も含めた「原子炉建屋内の詳細な実地検証」を必ず行うべき 作業だと強調した。

畑村氏は報告書の末尾に付けられた委員長所感のなかで、「就任当 初に考えていた『再現実験』を行うこともできなかった」と反省。水素 の発生や漏えいの経路、水位計が誤った水準を表示していたことなどを 検証するため、実験で再現させることが必要だと考えていたという。今 後の検証のなかで「再現実験も行われることを期待したい」と要望を記 した。

畑村氏は23日の委員会後に報告書を野田佳彦首相に手渡した。同氏 は「1年2カ月の活動で明らかになったことを取り扱った。この中で原 子力災害が2度と起こらないよう、再発しないよう、また起こってしま った被害を軽減するのにどうしたらいいかの提言をしている」と述べ、 野田氏に真摯(しんし)に対応するよう求めた。

野田氏は「政府としてしっかりこの報告書を精読させていただきた い。そのうえで、間もなく発足する原子力規制委員会を中心に、2度と このような事故が起こらないよう、再発防止に万全を期して取り組んで いきたい」と応えた。