三井不動産:英スタンホープへの出資拡大を計画-海外事業強化

三井不動産は海外事業に約5000億 円を投資する向こう5年間の事業計画の一環として、資本提携している 英不動産開発会社スタンホープへの出資拡大を計画している。

三井不動産の現在の出資比率は15%。同社の英子会社である英国三 井不動産の山田秀人社長兼欧州事業責任者は都内でのインタビューで、 ドイツやフランスなど他国での足場強化を目指して他の企業数社とも交 渉していることを明らかにした。現時点で情報を公開していないことを 理由に詳細は示さなかった。

山田氏は「現在の提携関係に満足しており、極めてうまくいってい ると考えているため、近いうちにコミットメントを高める」と述べた。 また、「欧州大陸諸国での事業を拡大していることから、大陸の潜在的 パートナーとの協議を続けている」とも語った。

三井不動産や三菱地所など国内の不動産会社は、収入源を多様化す るため、海外事業を強化している。三井不動産が4月9日に発表した中 長期経営計画によれば、同社は2018年3月期までに海外で5000億円程度 を投資する計画。このうち60%は米国、英国、その他欧州が占める。三 菱地所は、2年後に海外の利益を倍増させる方針だ。

スタンホープのウェブサイトによると、同社は現在、英有料テレビ 放送最大手のブリティッシュ・スカイ・ブロードキャスティング・グル ープ(BスカイB)や英資産運用会社シュローダーズなどのパートナー と共同で、17件のプロジェクトを進めている。これまでに英国内でロイ ヤル・オペラ・ハウスや財務省ビルなど、計100億ポンド(約1兆2200 億円)超のプロジェクトを完成させた実績を持つ。

三井不動産とスタンホープ、カナダのアルバータ・インベストメン ト・マネジメントは20日、ロンドン西部にある英BBCのテレビセンタ ーを2億ポンドで取得したと共同で発表した。

資産規模

三井不動産のウェブサイトによれば、同社は現在、ロンドンで計4 件のプロジェクトを進めており、2件は建設中。山田氏は、両プロジェ クトが完成したら同社の資産規模は14年までに650億円に達する見通し だと語った。

ドイツ銀行の不動産投資部門RREEFのデータによると、英国の 不動産のトータルリターンは昨年7.8%と、10年の15%からほぼ半減し た。

山田氏によると、欧州債務危機に加え、世界経済がリセッション (景気後退)に陥りつつあるとの懸念で競争環境が緩和されてきたこと から、三井不動産は欧州で事業を獲得する好機と受け止めている。

好機到来

同氏は「世界中、特に大陸欧州で不透明感が強まっていることか ら、多くのプレーヤーが意思決定を先送りする傾向にある」とした上 で、「これは当社には有利な状況となり得る。足元では競合相手が少な くなり、一方われわれは長期的な価値創造を目指しているからだ」と説 明した。

同社はプロジェクトの資金については、英国で現地業務を手掛ける 日本の大手銀行から現地通貨建てで融資を受けているという。

山田氏は「欧州での銀行による不動産融資は非常に厳しい状況にあ る。企業信用力を元に日系大手金融機関から資金調達できる当社は差別 化できる」と発言。「当社の資金は短期回転のみを目的とするファンド とは異なる。必要であればマーケットに鑑み、売却に良いタイミングま で投資物件を保有することも可能だ」と話した。

原題:Mitsui Fudosan Plans to Increase Investment in U.K.’s Stanhope(抜粋)