ユーロ、利下げでキャリートレード対象に-相場の一段安示唆

3年にわたる欧州の金融・債務危機 でもユーロの対ドル相場が比較的力強さを見せているため、他の通貨に 対し9年ぶりの安値になっていることは見過ごされがちだが、これはユ ーロの一段安を示唆するものだ。

ユーロの対ドル相場は、導入以来の平均である約1.21ドルを上回っ ているものの、ドイツ銀行の指数によると、ユーロは貿易加重ベースで 円、ポンド、スイス・フランなどに対して2003年以来の低水準となって いる。欧州中央銀行(ECB)が5日に中銀預金金利をゼロに引き下げ たことが、ユーロを借りてユーロ圏以外の高利回り資産を購入するキャ リートレードを促し、2年ぶりに同取引による恩恵が生じている。

債務危機により欧州はこの3年で2回目のリセッション(景気後 退)入りのリスクにさらされ、ユーロは対米ドルで08年7月に付けたピ ークの1.6038ドルから24%下げたが、これは豪ドルに対する下げ幅の約 半分にすぎない。ECB利下げ後のユーロ下落により欧州企業の輸出競 争力が高まっており、ユーロ圏崩壊の懸念は後退した。

モルガン・スタンレーの欧州為替戦略責任者、イアン・スタナード 氏(ロンドン在勤)は20日の電話インタビューで、「ユーロは、キャリ ートレードの調達通貨の仲間入りを果たした」とした上で、「資金の安 全な避難先に関しては、利回りがマイナスのコア欧州資産保有よりも良 い代替投資先が存在するため、欧州からの資金流出が増え、ユーロには 広範な圧力がかかるという結論をたやすく導くことができる」と説明し た。

ブルームバーグ集計データによると、ユーロを調達してカナダ・豪 ドルとコロンビア・ペソを購入した場合の今年のリターンはプラ ス11.3%。ドルを調達して同じ取引を行った場合のリターンはプラ ス4.6%にとどまる。

リターン改善

UBSのV24キャリー指数によれば、キャリートレードの今年のリ ターンはプラス3.9%と、2010年のマイナス2.5%、11年のマイナス15% から改善した。09年はプラス13.9%だった。今年に入ってからの為替変 動性の低下も、キャリートレードを一段と魅力的にしている。為替変動 による利益減少の公算が小さくなるからだ。

世界の通貨変動性の指標であるJPモルガン・チェースのオプショ ン指数は、少なくとも07年11月以来最低の8.57%を19日に付けた後、先 週末は8.66%となった。

原題:Euro Turns Into Carry Traders’ Favorite in Worst Year Since 2003(抜粋)

--取材協力:Monami Yui、Masaki Kondo、Lucy Meakin.

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