債券上昇、5年と10年は9年ぶり低水準-スペイン不安で米債高・株安

債券相場は上昇。スペイン財政問 題に対する懸念の強まりなどを背景に債券高・株安となった前週末の 米国市場の流れを引き継いだ。国内株安加速も買い手掛かりとなり、 新発5年と10年債利回りはともに9年ぶり低水準を付けた。

三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは、「外部環境的に は株安、円高進行が円債市場の支援材料となっている。スペイン国債 利回りが上昇しており、ギリシャの債務交渉の行方も不透明感が強ま っている。財政・信用リスクを考えると、円資産が選好されやすい」 と述べた。

東京先物市場で中心限月9月物は、前週末比9銭高の144円55 銭で始まり、いったん144円51銭に伸び悩んだ。その後は水準を切り 上げ、午後の取引開始後には144円64銭まで上昇。中心限月ベースで 2003年6月17日以来の高値を付け、17銭高の144円63銭で引けた。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の324回債利回り は同1ベーシスポ イント(bp)低下の0.735%で開始。その後は徐々に 水準を切り下げ、午後に入って2.5bp低い0.72%まで低下。20日に付 けた2003年6月27日以来の低水準を更新した。いったん0.725%を 付けたが、午後3時過ぎに再び0.72%に下げた。

5年物の105回債利回りは1bp低い0.17%まで低下し、03年6 月17日以来の低水準を記録。20年物の137回債利回りは2.5bp低い

1.515%、30年物の36回債利回りは2.5bp低い1.72%まで低下した。

残存8-10年中心に買い

大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長は「スペインの財 政問題を受けて、米国債が買われたことから円債相場も堅調。前週は 超長期債主導で買われたが、きょうは流動性の高い残存8-10年ゾー ンを中心に買いが優勢となっている」と話した。

国内株式市場で日経平均株価は続落。前週末比1.9%安の8508円 32銭で終えた。一方、為替市場では円高・ユーロ安が加速。23日の東 京市場では一時1ユーロ=94円台前半と約11年8カ月ぶりの円高・ ユーロ安水準を付けた。

20日の米国債相場は上昇。スペインの銀行救済が最終承認を得た 後、同国は景気後退(リセッション)が来年も続くとの見通しを示し た。これを受けて米国債の安全性を求める動きが強まった。米10年債 利回りは前日比5bp低下の1.46%程度。一方、米株相場は下落。S& P500種株価指数は1%下落の1362.66。

スペインのバレアレス諸島やカタルーニャ州など6州がバレンシ ア州に続いて、中央政府に支援を求める可能性がある、と同国紙パイ スが伝えた。スペイン10年物国債利回りは20日、7.3%近くまで上昇 した。みずほ証券の早乙女輝美債券ストラテジストは「スペインでは 銀行の資本増強案が進展しているものの、自治州政府の財政問題が国 のソブリン(信用力)問題へと発展しており、市場の懸念が高まって いる。これを受けて円債市場でも買いが先行した」と話した。

欧州債務問題の深刻化を背景に、世界経済の減速懸念が強まり、 各国中央銀行の政策対応への観測も出ている。JPモルガン証券の菅 野雅明チーフエコノミストは「米連邦準備制度理事会(FRB)が9 月に資産買い入れの増額を発表し、日銀、イングランド銀行(英中銀) が追随する見通し。欧州中銀(ECB)は10月に25bpの利下げと 預金ファシリティー金利のマイナス金利化を決定」と予想している。