民主党:インサイダー取引で主幹事に「刑事罰」の導入検討

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民主党がインサイダー取引(金融商 品取引法違反)を防ぐため、公募増資をはじめ法人関係情報を漏らした 引き受け主幹事証券などに対し、刑事罰や制裁金も含めた罰則の導入を 検討していることが19日明らかになった。同党が取りまとめ中の規制強 化案をブルームバーグ・ニュースが入手した。

民主党はこの法人情報漏えい者に対する罰則導入を含む6項目の規 制強化案を20日午前に開いた会議で議論した。同党は月内にも総合的な インサイダー取引防止策の最終案として取りまとめ、金融庁や関係機関 に法改正や規則改定などを促していく方針だ。

証券取引等監視委員会は3月以降、2010年の公募増資に絡んだイン サイダー取引5事案を摘発。うち3件に関与していた野村ホールディン グスをはじめ全事案で引き受け主幹事証券からの情報漏れが原因だった ことが分かっているが、現行規制では情報漏えい者は処罰の対象でな い。民主党ではこれがインサイダー取引が横行する一因とみている。

民主党ワーキングチームの網屋信介事務局長は20日の会議の冒頭で あいさつし、「インサイダー取引によるいろいろな問題は日本の資本市 場の信用を著しく失墜させた。党としてきちんとした提言を出すことは 意義のあることだ」と語った。規制や罰則の強化策を国内外に示し、信 頼回復につなげたいという。

3事案で情報を漏らした野村の社外弁護士らによる調査では、営業 部門による法人部門からの半ば恒常的な情報入手の実態が判明した。監 視委は野村の特別検査を続けている。一方で金融庁は野村も含めゴール ドマン・サックス、シティグループ、JPモルガン・チェース、大和証 券グループ本社など内外証券12社に法人関係情報の管理体制について自 主点検するよう指示し、8月3日までの報告を求めている。

ヘッジファンド

野村の外部調査では、「収益至上主義へ過度に傾注したこと」が情 報漏えいの一要因であり、セールス担当者は販売目標達成のためなら手 段を選ばない姿勢だったと指摘した。これまで情報漏えいの主体は主に 機関投資家営業だとされてきたが、主幹事の投資銀行部門のバンカーも 同様に不適切に情報を漏らしていたと言われている。

国内外の証券会社の株式部門での勤務経験を持つ2人のバンカーが が匿名を条件に語ったところによると、引き受け主幹事の投資銀行部門 (法人担当)のバンカーらは、セールス担当者が空売り筋に情報を漏ら すことを容認し、場合によっては奨励していた。空売りしていた投資家 が買い戻すことで、公募増資時に需要が生じるからだ。

別の関係者によれば、株式引受部門の社員や企業担当のカバレッジ バンカーらは、公募増資案件を確保するとともに、公表何カ月も前から 海外ヘッジファンドに接触。その際、主幹事獲得の旨やローンチとクロ ージングのおおよその予定日を伝え、早めに空売りしてグローバル・オ ファーリングで買い戻すよう話すこともしばしばあったという。

BNPパリバの岡澤恭弥株式・派生商品統括本部長は7月6日付リ ポートで、企業の資金調達案件の獲得では「国内市場シェアの順位が非 常に重要だ」と指摘。「まずヘッジファンドに売りで入らせ、ショート カバーで引き受け案件に入ってもらい、ディールを成功させる一方、そ のトレードによる収益貢献でブローカー評価を上げてもらうという一挙 両得ともいえる経済効果から、情報を漏えいの事例が多かったのではな いか」と解説している。

プレヒアリングで守秘義務契約

また民主党のワーキングチームは規制強化案に公募増資に関連し て、自主規制機関の日本証券業協会が禁止している増資公表前のプレヒ アリング(事前需要調査)の導入検討も盛り込んだ。プレヒアリングの 際、主幹事と投資家と守秘義務契約を結ぶことを条件とし、未公開情報 が漏れインサイダー取引につながることを防ぐ。

このほか、証券監視委の体制強化や、制裁機能を強化するためイン サイダー取引をした者に対する課徴金額の引き上げも検討している。年 金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は、不正取引を行ったと認 定されたヘッジファンドなどに一定期間、資産運用を委託しないよう明 確化するなどの策も盛り込んだ。

民主党はこうした規制の強化により、不正を許さない姿勢を国内外 に示し、失墜した日本市場の信用を早急に取り戻したい考えだ。

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