学生ローン返済プログラムで若者誘致-米過疎地を活性化

メーガン・ホリネックさんは2010 年、2万ドル(現在のレートで約160万円)の学生ローン負債を抱えて 米カンザス州のフォートヘイズ州立大学でマーケティングの学位を取得 し卒業した時、140マイル(約225キロメートル)離れた故郷のアトウッ ドに戻ることを夢見ていた。

カンザス州の主要都市ウィチタにあるクラフト・フーズで勤務後、 ホリネックさんは今年、故郷に戻ることができた。給与はこれまでより 低いが、近くのシャイアン郡で働くことにしたのだ。人口の減少に悩む この地域では転入住民に対し学生ローン返済を援助するため最大1 万5000ドルを支給する州のプログラムが導入された。ホリネックさんに とってこのプログラムが決め手になった。

カンザス州中小企業開発センターでコンサルタントとして勤務する ホリネックさん(23)は「5年以内にローンが返済できる見通しと聞い て、ただ職が見つかるよりずっと良いと思った。結婚し家庭を築き始め る選択をした時にローンのことが頭からずっと離れないというような状 況にはならないだろうから」と語る。

景気低迷の中、大卒者たちは学生ローンが返済できるかどうか不安 を抱えている。一部の民間企業や民間非営利団体(NPO)に加え、州 や地方自治体政府もこのような現状を利用して新たな住民や人材、消費 者を引き付けようとしている。学生ローンの残高は約1兆ドルと米国の クレジットカードの負債総額を上回っている。カンザス州商務省でこの プログラムを運営するクリス・ハリス氏によると、33州から411人が申 請している。

ハリス氏は「若年層人口の減少問題に取り組もうとしていたところ だった」と述べ、このプログラムを通じてこの州に移り住んだ人々が家 族を伴い、住宅を購入して地域経済を再活性化するだろうと期待を寄せ る。

高まるニーズ

全米で病院や医療施設を所有、運営するテネット・ヘルスケアなど の企業は、求人広告で学生ローン返済プログラムを掲げ人材を引き付け ようとしている。同社の施設の一部では2003年に支給を開始した。

多額のローンを抱えて卒業するケースが多い医療関連分野の学生た ちにとって、ローン返済プログラムを提供する企業は特に魅力的だ。医 師を専門とする人材仲介会社セジュカ・サーチによると、BJCメディ カル・グループ(セントルイス)など医療関連企業がここ数年、医師を 対象に報酬パッケージに返済計画を組み入れ始めている。

セジュカのマーケティング担当バイスプレジデント、メアリー・バ ーバー氏は「このような制度を利用するニーズは高まっている」と指摘 する。

カンザス州では返済プログラムに向け初年度に100万ドルを配 分。2000年以降、人口が10%減少している50郡に適用している。

原題:Student Debtors Finding Much Is Forgiven by Move to Small Towns(抜粋)