野村は「一切の膿を出して」-副大臣、インサイダー問題で

中塚一宏金融担当副大臣は17日、 ブルームバーグ・ニュースとのインタビューで、複数のインサイダー取 引に関与した野村ホールディングスについて「一切の膿を出していただ きたい」と言明。職業倫理や商慣行も含め、問題点を洗いざらい明らか にするよう求めた。

中塚副大臣(47)は野村に関し、内部管理体制の問題だけでなく、 「高い公共性を担う金融機関として役職員には職業倫理というかモラ ルについて考えてもらわなくてはならない」と指摘。「かつてからの商 慣行が本当に正しいのか、これからも通用していくものなのか、どこに 問題点があり、どこをどう直せばいいのか、しっかり検討してもらいた い」と強調した。

野村は証券取引等監視委員会が3月以降に摘発したインサイダー 取引5事案のうち3件に関与。社外弁護士らによる調査の結果、営業部 門による法人部門からの半ば恒常的な情報入手が判明し、経営幹部の減 給など社内処分や再発防止策を6月下旬に発表した。監視委は現在も特 別検査を継続している。

これとは別に金融庁は、野村も含め、ゴールドマン・サックス、シ ティグループ、JPモルガン・チェース、大和証券グループ本社など引 き受け業務を手掛ける内外の証券12社に法人関係情報の管理体制につ いて自主点検するよう指示。8月3日までの報告を求めている。

報告不十分なら「検査・処分も」

中塚副大臣はこの点検、報告について「当局として普段から蓄積し ているさまざまな情報も含め総合的に報告書を読み解いていくことに なる」と述べた。その上で、「もし報告書に事実と異なることや調査不 足があれば、レピュテーショナルリスクを抱えることになることをよく よく理解いただいた上で報告していただきたい」と警告した。

さらに中塚副大臣は、「報告をうのみにせず」手持ちの情報とも照 らしながら、「必要に応じて厳正に対応していく」とあらためて強調。 後に問題が発覚するようなことがあれば、当局は検査に入り、報告徴求 や業務改善命令、それ以上に重い処分を科す可能性にも言及した。

トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは、日 本は監視と罰則を厳しくして「一切の疑いを持たれないような体制」を 構築することが急務だと指摘。これまで長い間インサイダー取引が放置 されてきたことを考えると「膿を出せるのか。ほとぼりが冷めたころに また同じ問題が出てくるのでは」と懐疑的な見方を示した。

野村の菅井馨子広報担当は、ブルームバーグ・ニュースの電話取材 に「引き続き監視委の特別検査に全面的に協力していく」と述べた。そ の上で、「われわれは新たなコンプライアンス体制のもと、現在も社内 調査を継続している」という。

東証が20銘柄超を調査

野村の渡部賢一最高経営責任者(CEO)は6月29日、3件以外 で情報漏えいがなかったのかは「今は見えていない」と述べ、これで全 てかどうかは分からないと答えた。いったん終了した外部弁護士による 調査を再開する考えはないと明らかにした。不祥事を受け、野村は政策 投資銀行(DBJ)の財投機関債などの主幹事から除外されている。

東京証券取引所は09年1月以降の企業の公募増資に関連し、公表 前に売買高が急増した20銘柄について、民主党の要請も受けて空売り 状況などに関する調査を進めている。今年7月3日に増資を発表した全 日本空輸も新たに対象に加え、証券監視委などと連携して情報漏れの有 無などを詳しく調べていく方針だ。

グローバルコーディネーター

こうした中、野村は日本航空(JAL)の新規株式公開(IPO) で、国内外に株式を売り出す際のグローバルコーディネーターから除外 されたことが18日までに分かっている。

関係者によると、野村と共同で務める予定だった大和証券グループ 本社が単独で役割を担うことになった。JALは早ければ9月にも東京 証券取引所に再上場する計画で、IPOの規模は5000億円から8000億 円程度とみられる。

野村は、3月以降に当局が摘発したインサイダー取引5事案のうち 3件で企業の公募増資に関する未公開情報を外部に漏らしたことが明 らかになっている。また7月には、JALの競合相手である全日空の大 型公募増資の主幹事に起用され、JALと全日空の両方を掛け持ちする 状況になっていた。

野村HD株の18日終値は前日比3円(1.1%)安の266円。

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