ドルは78円後半、米追加緩和期待重し―円高けん制で下値も限定

東京外国為替市場では、ドルが1ド ル=78円台後半と、約1カ月ぶりの安値圏で推移した。米経済指標の弱 さが目立つ中、この日は米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ 議長の議会証言を控え、追加の量的緩和策をめぐる観測を背景にドルの 上値が抑えられた。

前日の海外市場で一時78円69銭と、6月18日以来の安値を付けたド ル・円相場は東京市場の取引で78円79銭を下値に79円ちょうどまで値を 戻す場面も見られたが、戻りは限定され、日中の値幅は21銭にとどまっ た。午後3時40分現在は78円95銭付近で取引されている。

外為どっとコム総合研究所のジェルベズ久美子研究員は、この日は バーナンキ議長の議会証言が焦点で、以前よりも具体的な追加緩和措置 を考えているというアピールがあれば、ドル売りになる可能性があると 指摘。ただ、日本の当局からは円高をけん制する発言も聞かれ、「わざ わざ円を買いに行くほどの材料もない」状況下で、ドル安・円高の進行 も限られたと言う。

前日の海外市場で一時1ユーロ=96円17銭と、6月1日以来の水準 までユーロ安・円高が進んでいたユーロ・円相場は、午前の取引で97 円23銭まで円が水準を切り下げ、午後は97円ちょうど付近で推移。一 方、ユーロ・ドル相場は午前に一時1ユーロ=1.2313ドルと、10日以来 の水準までユーロ高・ドル安が進行。午後は1.22ドル台後半で取引され た。

円高けん制

安住淳財務相は省内で記者団に対し、「日本経済に悪影響を及ぼす 過度な変動に対しては、必要な時には必ず断固たる措置を取る」と述 べ、為替介入も辞さない構えを示した。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 ドル・円相場が200日移動平均線を割り込んだことで、円高への「警戒 態勢」が強まった可能性があると指摘。その上で、豪中銀の議事録を受 けて当面は利下げがないとの見方から、豪ドル買い先行でクロス・円 (ドル以外の通貨の対円相場)が上昇(円は下落)していたところに、 安住財務相の発言内容が伝わり、円売りを後押ししたと言う。

午前の取引ではオーストラリア・ドルやユーロを中心にクロス・円 で円売りが進んだ。

オーストラリア準備銀行が17日に公表した議事録では、「国内経済 は従来示唆されていたよりも若干勢いを増した兆候が示されている。メ ンバーはそのため、今回の会合でオフィシャル・キャッシュレートを一 段と調整する必要はないと考えた」と記されている。

バーナンキ議長

一方、16日に発表された6月の米小売売上高は、季節調整済みで前 月比0.5%の減少と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の 中央値0.2%増に反して3カ月連続のマイナスとなった。前回、小売売 上高が3カ月以上連続して減少したのは、リセッション(景気後退)時 の2008年7月から12月までの6カ月間だった。

バークレイズの逆井雄紀FXストラテジスト(ニューヨーク在勤) は、今週は米国の経済指標が注目だとし、ドル・円相場は、「指標の底 が見えないと、また下向きの圧力は強まってくる」可能性があるとして いる。

そうした中、この日の米国時間にはバーナンキFRB議長が上院で 半期ごとの金融政策報告を行う。逆井氏は、足元では追加の量的緩和策 について、市場で織り込む動きは見られないとした上で、米国の経済指 標が弱いので、それに対してバーナンキ議長がどういう発言をするのか というのは非常に注目されると指摘する。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、米国では雇用以 外の数字も悪くなりつつあるということで追加緩和期待が高まってしま っていると指摘。雇用情勢の低迷が個人消費に影響を与えている中で、 バーナンキ議長の議会証言で、景気の先行きに慎重な姿勢が示されれ ば、「市場は先読みして、追加の量的緩和を織り込んでくる」と言い、 今週はドルの下値を試す展開を見込んでいる。

--取材協力:大塚美佳 Editors: 青木 勝, 持田譲二

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