IMF:2013年の世界成長率見通しを3.9%に下方修正

国際通貨基金(IMF)は2013年の 世界成長率見通しを下方修正した。欧州債務危機がスペインのリセッシ ョン(景気後退)を長引かせ、中国やインドなどすでに内需の後退に見 舞われている新興市場の景気拡大を鈍化させていることが背景だ。

世界全体の13年の成長率見通しは3.9%と、4月時点の4.1%から引 き下げられた。IMFが16日、世界経済見通しの改定を公表した。

スペインの成長率見通しはマイナス0.6%と、従来の0.1%のプラス 成長から下方修正。インドの来年の見通しは0.7ポイント下げて6.5%と 予想した。日本の13年の見通しは4月の1.7%から1.5%へと引き下げら れた。

英国や韓国などの中央銀行はこの数週間で、借り入れコストの引き 下げや債券購入の拡大に踏み切った。IMFは米経済の回復ペースは緩 やかになっており、新興国経済の見通しは悪化しつつあると指摘。欧州 の政策当局者らが6月の首脳会議で合意した域内の不安定を阻むための 措置を先延ばしにすれば、世界の成長は一層の打撃を受ける恐れがある との見方を示した。

IMFは世界経済見通し改定の報告書で「この3カ月、そもそも力 強くはなかった世界の景気回復がさらに弱含む兆候が示されている」と し、「下振れリスクは引き続き大きく、これは政策行動の先送り、ある いは不十分さのリスクを強く反映したものだ」と説明した。

今年の見通し

今年の世界の見通しは4月から変わらずの3.5%。ドイツと日本の 成長ペースはこれまでの予想よりも加速するとIMFはみている。米国 の今年の成長率見通しは2%、来年が2.3%と、今月3日に示した数字 と同じ。過度の財政引き締めは、とりわけ政策当局者が一部の減税延長 などで合意形成できない場合、世界の成長にとってリスクとなるだろう との見解を示した。

IMFは、最新の見通しは「欧州周辺国の財政状況を徐々に和らげ るための十分な政策行動が取られ、新興市場の最近の政策緩和がけん引 力を増す」という前提に左右されると説明した。

ユーロ圏の来年の成長率見通しは従来の0.9%から0.7%に修正し、 今年の見通しはマイナス0.3%で据え置いた。英国の13年の見通し は1.4%と、4月の2%から引き下げられた。

IMFのチーフエコノミスト、オリビエ・ブランシャール氏は16 日、ワシントンでの記者会見でイタリアとスペインについて、財政再建 から経済改革へと重要なステップを踏んでいると評価した。

ただその上で、「無理のない金利で資金を調達できて初めて、改革 は成功する」とし、「両国政府が改革にしっかり取り組む限り、他のユ ーロ圏諸国はこの調整を実行可能なものにするため、進んで手助けする 必要がある」と述べた。

新興市場

IMFはまた、中国やインド、さらにグループとしての新興市場の 今年の見通しも下方修正。中国の今年の国内総生産(GDP)伸び率は これまでの8.2%から8%に、来年についても従来の8.8%から8.5%に それぞれ引き下げた。インドは今年が6.1%と、従来の6.8%から改定。 ブラジルの見通しは今年を2.5%に下げた一方、来年は4.6%とこれまで の4.1%から上方修正した。

IMFは「新興市場および途上国の経済成長の下振れリスクは、短 期的には主に外的要因に関連しているようだ」と指摘した。

原題:IMF Cuts Outlook as EU Crisis Ensnares Emerging Markets (1)(抜粋)

--取材協力:Alexandre Tanzi.