JPモルガン:CIO損失は75億ドルにも-責任者は報酬返還

米銀JPモルガン・チェースのジェ イミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が利益押し上げに向け推し 進めた部門で発生した取引の失敗は、脆弱(ぜいじゃく)な社内管理体 制によって実態が隠されていた。その結果として同行は、最終的に75億 ドル(約5940億円)の損失を抱える可能性が出てきた。

JPモルガンのチーフ・インベストメント・オフィス(CIO)部 門はこれまでに58億ドルの損失を出しているが、ダイモンCEOは13 日、最悪のケースを想定したシナリオで損失額がさらに17億ドル増える 可能性があると説明した。

同行はこの日、4-6月(第2四半期)の純利益が前年同期比9% 減の49億6000万ドルとなったと発表。また、1-3月(第1四半期)決 算を修正し、CIO部門で従業員が損失を隠した可能性が発覚したとし て、純利益を当初発表から4億5900万ドル引き下げた。

ダイモンCEOは発表資料で、「CIO部門の管理を既に徹底的に 見直し、部門内のガバナンス基準も強化した」と説明。「今回のような 出来事はCIO部門に限ったことだと考えているが、社全体として教訓 を学ぶ機会となった」と続けた。

CIO部門

ブルームバーグ・ニュースは先月、事情に詳しい関係者1人の話と して、投資銀行責任者を含む最高幹部クラスの一部がCIO部門の透明 性欠如や内部管理の質を問題視する忠告を行ったものの、ダイモン CEOがこれを無視したと報じた。また関係者2人は、投資銀のリスク 管理に適用する厳しい監視の対象から同部門をCEOが外したと話し た。

JPモルガンはこの日、CIO部門でトレーダーが意図的に問題を 隠そうと試みた可能性が内部調査で発覚したとし、同部門の損失に責任 がある幹部らを解雇したと発表。対象者に報酬を返還させることも明ら かにした。

損失を出した取引の監督責任は「ロンドンの鯨」の異名をとったブ ルーノ・イクシル氏、同氏の上司であるハビエル・マルティンアルタホ 氏、欧州CIOの元トップ、アキリーズ・マクリス氏らにあった。

JPモルガンの広報担当ジョゼフ・エバンジェリスティ氏は、 CIO部門の前責任者であるアイナ・ドルー氏による2年分の報酬返却 の申し出を同行が受け入れたことを明らかにした。同行の規制当局への 届け出によれば、同氏は2010年と11年に計約2900万ドルの報酬を受け た。ドルー氏は5月14日に退職したが、届け出およびコンサルティング 会社メリディアン・コンペンセーション・パートナーズの試算によれ ば、同氏は退職時に株式や年金などで約5750万ドルを得ていた。5月14 日時点の株価終値に基づいた場合、そのうちの約2150万ドルは、正当な 理由で同氏が解雇されていた場合には没収されていた。

米ヘッジファンド、セカンド・カーブ・キャピタルのトーマス・ブ ラウンCEOは、報酬を返還させようとするJPモルガンの姿勢に驚い たと語る。同氏はブルームバーグテレビジョンのインタビューで、「4 人が2年分の所得を返還した。これには良い意味で驚いた」とし、「こ れはクローバック条項で可能な最大額だ。非常に素晴らしいと思える一 方、予想していたよりも深刻な事態であるのは確実だ」と続けた。

原題:JPMorgan’s Botched Trades May Saddle Bank With $7.5 Billion Loss(抜粋)

--取材協力:Laura Marcinek、Laura J. Keller、Steve Dickson、Betty Liu.