円は対ユーロ6週ぶり高値圏、中国減速やイタリア格下げ

東京外国為替市場では円が対ユーロ で6週間ぶり高値圏で推移した。中国の国内総生産(GDP)が懸念さ れたほど悪くなかったため、対オーストラリア・ドルなどを中心に一時 円売りが強まったが、世界景気の減速懸念が根強い中、円の下値は限ら れた。

円は対ユーロで前日の海外市場で2010年6月30日以来の高値となる 1ユーロ=96円43銭を付けたが、この日の東京市場でも96円台での推移 が継続。米格付け会社によるイタリア国債の格下げを受け、朝方には一 時96円61銭まで円買いが進む場面も見られた。一方、午前11時の中国 GDP発表後には96円95円まで円が弱含んだが、その動きも続かず、午 後にかけてはじり高となった。午後3時37分現在は96円61銭前後。

三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチの亀 井純野シニアアナリストは、「一番の懸念である欧州の問題は先行き不 透明感が依然高く、市場の警戒感も高い中、出てくる経済指標も弱いと いうことでなかなかリスク許容度の改善にはつながりにくい」と指摘。 「円とドルが買われやすい地合いはまだ変わりそうにない」と話した。

ドル・円相場は1ドル=79円前半と直近の円高値圏でもみ合う展 開。同時刻現在は79円22銭前後となっている。

亀井氏は、中国のGDPは同国の景気減速を裏付ける形となった が、さらに悲観的な見方もあったため、「豪ドルやクロス円(ドル以外 の通貨の対円相場)全般に大きく下げてドル・円も引っ張られるという ような動きが加速したわけでもない」と説明。アジア株も中国以外はか ろうじて前日比プラスとなっており、「ここでもう一段リスク許容度低 下というところまではつながっていない」と語った。

中国GDP

中国国家統計局が13日に発表した同国の2012年4-6月(第2四半 期のGDPは、前年同期比7.6%増と1-3月(第1四半期)の8.1%増 から鈍化した。ブルームバーグが事前にまとめたエコノミスト調査の予 想中央値は7.7%増だった。同時に発表された6月の工業生産と小売売 上高も伸びが鈍化した。

GDP発表直後、豪ドルは対円、対ドルで上昇。1ユーロ=1.2200 ドル前後だったユーロ・ドル相場も豪ドル・米ドルにつられる形で一 時1.2217ドルまでユーロ高・ドル安に振れる場面が見られた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部ディレクター、斎藤裕司氏 は、事前に悪いといううわさが出ていて、目線が下げられていたため、 豪ドルなどを売り持ちにして待っていた向きが多かったようだと説明。 「もっとも、最悪ではないものの減速は減速」だとし、豪ドルやユーロ を買い戻す動きは長続きしないと話していた。

イタリア国債格下げ

格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスはイタリア国 債の格付けを従来の「A3」から「Baa2」に2段階引き下げ、格付 け見通しを「ネガティブ(弱含み)」に据え置いた。ユーロ圏3位の経 済規模を持つ同国が資金調達コストの上昇やギリシャやスペインからの 危機波及のリスクに直面していることを理由に挙げた。

ユーロ・ドルは前日の海外市場で1.2167ドルと2010年6月30日以来 のユーロ安値を付けた後、東京市場にかけて1.2200ドル台を回復。その 後、格下げを手掛かりに一時1.2181ドルまで弱含み、欧州市場に向けて は再び1.2200ドル割れをうかがう展開となっている。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、スペインへの対応強 化を評価する動きを期待したが、まったく評価されず、ユーロは独歩安 の様相を強めていると指摘。実際、イタリアの格下げにより「欧州のリ スクが意識されやすくなる」と語った。

--取材協力:三浦和美 Editors: 持田譲二, 山中英典