白川日銀総裁:付利金利の引き下げ、考えてない-記者会見

日本銀行の白川方明総裁は12日午 後、金融政策決定会合後の定例記者会見で、欧州中央銀行(ECB)が 中銀預金金利をゼロ%に引き下げたことに関連し、日銀としては当座預 金の超過準備に対する0.1%の付利金利を引き下げることは考えていな いと表明した。

日銀は同日の会合で市場への資金供給で応札額が提示額に達しない 札割れ対策として固定金利方式の共通担保オペを5兆円減額し、代わり に短期国債の買い入れを5兆円増額した。これについて総裁は「日銀は 資産買い入れ等基金を今年末には65兆円、来年6月末には70兆円を達成 すると申し上げており、毎月毎月、金融緩和を強化している」と指摘。 同日の決定はこれを「着実に行っていくための措置だ」と説明した。

また、この措置によって「無担保コール翌日物金利が現在の0.07% -0.08%から大きく低下するとは考えていない」と述べた。また、消費 者物価指数(生鮮食品を除いたコアCPI)について、2012、13年度の 「見通し期間後半にかけてゼロ%台後半となり、その後1%に遠からず 達する可能性が高い」との見方をあらためて示した。

消費者物価1%上昇の実現を早めるために追加緩和を行う考えはな いのか、との質問に対しては「金融緩和の最適なスピードを引き続き意 識しながら、景気、物価の展開や、金融政策の効果をじっくり見極め て、適切な政策運営を行っていきたい」と述べた。

付利下げは負の効果の方が大きい

ECB、イングランド銀行(BOE)、中国人民銀行は5日、相次 いで金融緩和を実施。特にECBが中銀預金金利をゼロ%に引き下げた ことで、日銀も付利金利を引き下げるとの思惑が浮上していた。白川総 裁は「わが国の無担保コール翌日物金利は足元0.07%から0.08%で推移 しているが、これを完全なゼロ金利とすることについては、市場機能や 金融機関行動に与える副作用を十分意識する必要がある」と述べた。

その上で「短期金融市場の金利が極限的にゼロに近づくと、市場の 流動性が著しく低下し、市場参加者が必要なときに市場から資金調達が できるという安心感を損なう恐れがある」と指摘。「極限的にゼロに近 づくことによって何がしか金利水準が下がる効果はあると思うが、それ 以上に今申し上げたマイナスの効果が大きい」と語った。

欧州債務問題については「財政経済構造改革や金融システム面の対 応をめぐって、なお不透明感の高い状況が続く中、国際金融資本市場で は神経質な動きが続いている」と指摘。欧州債務問題の今後の展開と国 際金融資本市場への影響は「引き続き最も注意しておくべきリスク要因 だ」と述べた。

日銀は同日の金融政策決定会合で、札割れが多発していることを受 け固定金利方式の共通担保オペの減額と、短期国債買い入れの増額を決 定した。この結果、資産買い入れ等基金の総額70兆円は変わらないま ま、資産買い入れが45兆円、固定金利オペは25兆円となった。