米株式調査番付、JPモルガンが首位-危機後の環境跳ね返す

欧米の景気が回復基調にあるとの楽 観的見方を背景に株式相場が世界的に上昇していた2011年1月、米資産 運用会社ジャナス・キャピタル・グループの株式も値上がり銘柄の一角 だった。

投資家は経済成長重視の投資信託を取りそろえたジャナスがこの株 高の恩恵にあずかることに賭けていたが、米銀JPモルガン・チェース のアナリスト、ケネス・ワージングトン氏は違っていた。

同氏はジャナスの投信を取捨選択しながら、リターンが徐々に低下 し始めることを早くから見込んでいたとブルームバーグ・マーケッツ誌 (8月号)は伝えている。さらに悪いことに、ジャナスは同社の投信6 本にいわゆる「成功報酬」を導入していた。つまり、目標とする指数 (ベンチマーク)に対する運用実績に基づき、「アドバイザー」である ジャナスに投信が手数料を支払うというものだ。投信の実績が悪けれ ば、成功報酬は下がり、ジャナスは利益面で打撃を被る仕組みだった。

ワージングトン氏が当時想定したシナリオは、「運用実績が駄目に なり、利益も駄目になり、株価も駄目になる」というものだった。同氏 がジャナス株の投資判断を「売り」としたのは11年1月7日。株価 は13.45ドルだった。同社株は急落する前の2月に14.54ドルまで上昇。 しかし、その年を6.31ドルで終えた。ジャナスは「昨年、S&P500種 株価指数の中で最悪の銘柄の1つだったが、われわれはそれに対応する ことができた」と同氏は述べる。

ワージングトン氏はその後、ジャナス株を「ホールド(保有)」に 引き上げた。同社株の今月11日の終値は7.20ドル。

ナンバーワン

ジャナス株を売りとしたことが寄与し、ブルームバーグ・マーケッ ツと調査会社グリーンウィッチ・アソシエーツがまとめた証券会社と資 産運用会社の米株式アナリストランキングで、ワージングトン氏が首位 に選ばれた。

このランキングで最も多くの高評価を得たアナリストを抱えている 企業、つまり米株式調査でのナンバーワンは、米国株調査責任者ノエ ル・グレンジャー氏が率いるJPモルガンのチームだった。2位がバン ク・オブ・アメリカ(BOA)で、モルガン・スタンレーがそれに続い た。

ウォール街の株式調査責任者らは、ワージングトン氏が示したよう な投資判断から利益を得ることが、かつてないほど難しくなっていると 指摘する。信用市場で危機的状況が広がり始めた07年以降、株式相場は 個別銘柄のファンダメンタル分析とはほとんど関係のないマクロ経済事 象によって動かされてきた。

長期的な趨勢

モルガン・スタンレーが5月初めにまとめた調査によれば、一般的 なある銘柄の株価動向の70%近くが収益や経営陣交代といったその企業 個別の問題ではなく、マクロ経済の変化に関連した外部要因によって決 まっている。05年時点ではその割合が33%だった。

モルガン・スタンレーの北米株式調査責任者スティーブン・ペンウ ェル氏は、「その銘柄の特性に基づいて短期的な利益を上げるのは極め て難しくなった。長期的な趨勢(すうせい)の見極めが必要だ」と語 る。

これに対してJPモルガンのグレンジャー氏は、「ウォール街の金 融機関が手掛ける調査活動が退潮しているとの説はかなり誇張されてい る」と反論する。「優秀な人材への需要は続いており、投資家は引き続 きある業界で何が起きているのかを知りたがっている」と同氏は指摘す る。

グリーンウィッチは、216の投資運用会社、投信、ヘッジファン ド、年金基金、保険会社でバイサイド(買い手側)のアナリスト980人 を対象に調査。58の業界への投資助言で最も重要な情報源だと見なして いるウォール街の調査チーム名を挙げてもらうよう要請。その数を35に 絞り込んだ。バイサイドが銀行や証券会社に支払う取引手数料の額を加 重平均した上で、ランキングを作成した。

--取材協力:Laurie Meisler.