円が対ドルで79円台前半に上昇、日銀基金据え置きで値を戻す

東京外国為替市場では、円が対ドル で1ドル=79円台前半に水準を切り上げた。日本銀行がこの日に開いた 金融政策決定会合では、資産買い入れ等基金の総額が据え置かれ、円買 い圧力が戻る格好となった。

ドル・円相場は、午後零時50分前後に日銀会合の結果で同基金によ る資産買い入れ規模が40兆円から45兆円に増額されたと伝わると、円売 りが活発化。一時は79円95銭と、4営業日ぶりの水準まで円安が進ん だ。しかし、その後は基金自体の総額に変化がないことが浸透し、79 円30銭まで円が買い戻された。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、日銀 会合後の相場動向について、資産買い入れ額の拡大を受けてドル高・円 安が進んだが、基金の総額に変化はなかったので、間違った反応だった と説明。「そもそもお金の量の部分では基金の全体的な拡大がないので 影響なし」だといい、「為替に明確に効くようなものではない」として いる。

ユーロ・円相場も日銀会合後に一時1ユーロ=97円86銭と、2営業 日ぶりの円安値を付けたあと、6月4日以来の円高値となる96円97銭ま で値を戻した。

日銀会合の影響は限定

日銀はこの日の決定会合で、市場への資金供給で応札額が提示額に 達しない札割れが多発していることを受けて、固定金利方式の共通担保 オペを5兆円減額し、代わりに短期国債買い入れを5兆円増額すること を決定した。この結果、資産買い入れ等基金の総額70兆円は変わらない まま、資産買い入れが45兆円、固定金利オペは25兆円となる。

バンク・オブ・アメリカ-メリルリンチの藤井知子シニアFXスト ラテジストは、日銀の決定について、「中身をみると増やしたのは国庫 短期証券だけなのでインパクトは強くない」といい、何もしないよりは 気にしているというのが評価されたので、若干の円安にはなるが、それ ほど大したインパクトはないので、円売りは先細りだろうとみている。

半面、世界景気の先行き不透明感がくすぶるなか、先週は欧州中央 銀行(ECB)、イングランド銀行(BOE)、中国人民銀行が相次い で金融緩和措置に踏み切り、この日も韓国銀行が市場の予想に反し て2009年2月以来の利下げを決定した。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、世界的に金融緩 和競争になっているが、米国の追加緩和観測が高まらない限りは、日銀 としては動きにくいと指摘している。

そうした中、欧州では11日にドイツの6月の消費者物価指数( CPI)が発表されたが、前年同月比で2.0%上昇、前月比では0.2%の 低下という結果だった。

三菱東京UFJ銀行シニアカレンシーエコノミストの武田紀久子氏 (ロンドン在勤)は、ドイツのCPIが低めに出て、緩和期待を後押し しているというところもあると指摘。金融政策運営もさることながら、 「債務危機対策の方の動きも相当にスローステップになる」という状況 の中で、ユーロの相場観については下方向とみていると言う。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で一時1ユーロ=1.2213ドル と、10年7月1日以来の水準まで下落。この日の東京市場でも1.22ドル 台前半で上値が抑えられた。

--取材協力:小宮弘子 Editors: 持田譲二, 青木 勝

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