債券上昇、日銀が購入資産の内訳変更-5年・10年債は9年ぶり低水準

債券相場は上昇。日本銀行が金融 緩和のために購入する資産の内訳を変更したことを受けて買いが優勢 となり、新発5年債と10年債利回りは約9年ぶり低水準を付けた。

東京先物市場で中心限月9月物は前日比2銭安の144円14銭で取 引を開始し、直後に8銭安の144円8銭まで下落。午前中は安値圏で もみ合った。しかし、午後零時30分過ぎに日銀の政策発表が伝わると 144円35銭に急騰。午後2時過ぎには20銭高の144円36銭と、中心 限月ベースで約9年ぶりとなる高値を付けた。その後も買いの勢いは 衰えず、結局は同水準で高値引けとなった。

UBS証券の伊藤篤シニア債券ストラテジストは「短期国債買い 入れの入札下限金利の撤廃を受け、付利(日銀が金融機関の超過準備 に付与している利息)の引き下げが現実的な選択肢に入るとの見方が 市場で強まっている」と指摘した。その上で、「さらなる追加緩和を待 つ姿勢になる」と予想した。

現物債市場で長期金利の指標となる新発10年物の324回債利回り は前日比0.5ベーシスポイント(bp)高い0.79%で開始。午前11時前 に横ばいの0.785%、午後1時前には0.775%に下げ、前日付けた2003 年6月30日以来の低水準を更新。午後4時過ぎには2bp低い0.765% まで下げた。5年物の105回債利回りは0.5bp高い0.19%で始まり、 午後1時過ぎには1bp低い0.175%と03年6月以来の低水準を付けた。

固定金利オペから短国へ

日銀は12日の金融政策決定会合で資産買入れ等基金の規模を70 兆円に据え置き、固定金利オペを5兆円減らす一方、短期国債の買い 入れ額を5兆円増やした。固定金利オペの期間3カ月と6カ月の区分 をなくして「6カ月以下」に一本化し、短国とコマーシャルペーパー (CP)買い入れの入札下限金利(0.1%)を撤廃。オペで応札額が予 定額に届かない札割れの発生に対応した。無担保コール翌日物金利の 誘導目標は「0~0.1%」に据え置いた。

東海東京証券の佐野一彦チーフ債券ストラテジストは、日銀は資 産買い入れ等基金の「残高を積み上げる上で、固定金利オペを減額し、 短期国債を増額し、中身を入れ替える動き。短期国債買い入れの下限 金利撤廃は短期債には支援材料となる。0.1%で売る人はいないので、 ゼロにしていくらでも短期債を買うということなのだろう」と話した。

日銀は同日、4月末に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望レ ポート)の中間評価で、今年度の消費者物価上昇率を0.3%から0.2% に下方修正する一方、2013年度については0.7%に据え置いた。

JPモルガン証券の山脇貴史チーフ債券ストラテジストは、日銀 の決定は「資金供給での札割れ回避が狙いだ。テクニカルな面が強い」 と分析。短期国債市場には好材料でも、利回り曲線全体の持続的な押 し下げ要因にはならないとの見方を示した。

一方、超長期債は朝安後に堅調。RBS証券の福永顕人チーフ債 券ストラテジストは「きのう超長期債主導でかなり買われたことから やや行き過ぎ感があり、売りが先行した」と説明した。20年物の137 回債利回りは1.5bp高い1.61%で開始。午後4時過ぎには1.59%と約 1カ月ぶりの水準まで下げた。30年物の36回債利回りは一時0.5bp 高い1.815%に上昇したが、午後に入ると0.5bp低い1.805%と6月4 日以来の水準に下げた。

円相場は1ドル=79円30銭台、1ユーロ=97円割れまで上昇。 日銀の発表直後の円安は一時的だった。日経平均株価の終値は1.5% 安の8720円01銭。下落率は約1カ月ぶりの大きさだった。

--取材協力 池田祐美、赤間信行 Editors:山中英典、持田譲二

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