7月12日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:円全面高、対ユーロ1カ月半ぶり高値-景気減速の兆し

ニューヨーク外国為替市場では円が全面高。ユーロに対してはほぼ 1カ月半ぶりの高値に上昇した。世界的な景気減速の兆候を受け、比較 的安全とされる円の需要が高まった。

ドルは主要通貨のほとんどに対して上昇。ユーロは2010年7月以来 初めて1ユーロ=1.22ドルを割り込んだ。英ポンドも下落。欧州危機の 解決に目途が立たないとの懸念が背景にある。日本銀行が追加緩和に踏 み切らなかったことから、逃避としての円買いに拍車がかかった。一 方、オーストラリア・ドルは反落。雇用市場の陰りが不安視された。カ ナダ・ドルは下げを埋める展開。同国最大の輸出品目である原油の価格 下げ止まりを好感した。

トロント・ドミニオン銀行のチーフ通貨ストラテジスト、ショー ン・オズボーン氏は電話インタビューで、「日銀がこの日発表した展望 リポートは幾らか失望を誘うものだった」とし、「若干の買い入れ増額 を決めたが、数字合わせにすぎない。新たな資金を伴わないため、市場 にはやや失望が広がった」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時31分現在、円は対ユーロで前日比0.9% 高の1ユーロ=96円73銭。一時は96円43銭と6月1日以来の高値を付け た。ドルに対しては0.6%高の1ドル=79円28銭。ユーロは対ドル で0.3%下げて1ユーロ=1.2202ドル。一時、1.2167ドルまで下げる場 面も見られた。

日本の2年物国債と米2年債の利回り格差は過去1カ月の最小に縮 小。ドル建て資産の投資妙味が薄まり、円は対ドルで騰勢を強めた。利 回りスプレッドは16ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となっ ている。

中国の減速

カナダ・ドルはユーロに対して1ユーロ=1.2418カナダ・ドルと過 去最高値を付けた。米ドルに対しては上げに転じ、前日比0.1%高の1 米ドル=1.0185カナダ・ドル。一時は0.5%下落した。

ブルームバーグが集計した調査によれば、中国の国内総生産 (GDP)は4-6月(第2四半期)に前年同期比7.7%増と、第1四 半期の同8.1%増からの鈍化が予想されている。同国政府は13日に GDP発表を控えている。

モルガン・スタンレーの欧州為替戦略責任者、イアン・スタナード 氏(ロンドン在勤)は「非常に顕著な悪い兆候が先行指標に表れてお り、世界景気の減速傾向が強まっていることを示唆している」と指摘。 「円とドルはどちらも底堅く推移するだろう」と述べた。

日銀の買い入れ

ブルームバーグ相関加重通貨指数によると、円は過去3カ月間で 7%上昇し、同指数を構成する先進10カ国の通貨中で最も上昇率が高 い。ドルは同期間に4.7%上昇。一方でユーロは4.1%下落した。

円はこの日、日銀の発表を受けてドルとユーロに対する上げを縮小 する場面も見られた。

日銀は固定金利方式の共通担保オペを5兆円減額し、代わりに短期 国債買い入れを5兆円増額することを決定。資産買い入れが45兆円、固 定金利オペは25兆円となる。政策金利はゼロから0.1%程度で据え置い た。

シティグループのG10(主要10カ国)通貨戦略責任者を務めるステ ィーブン・イングランダー氏(ニューヨーク在勤)は、「市場の受け取 り方は、日銀は一方で与えながら他方では取り返しているというもの だ。従って差し引きすると効果は非常に限定的だ」と説明した。

原題:Yen Gains to Six-Week High Versus Euro on Global-Growth Outlook(抜粋)

◎米国株:S&P500が5月以降で最長の連続安-経済や業績を懸念

米株式相場は6営業日続落。世界の経済成長や米企業の業績に対す る懸念が高まった。S&P500種株価指数は5月以降で最長の連続安と なった。

ただ消費財大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)や医薬 品のメルクが大きく上げたことで、相場は下げを縮める展開となった。 S&P住宅建設株も高い。一方、バンク・オブ・アメリカ(BOA)と モルガン・スタンレーなど銀行株は値下がりした。食品スーパーのスー パーバリューは大幅安。事業の戦略的代替案を検討すると発表し、配当 の支払いを停止したことが嫌気された。

S&P500種株価指数は0.5%安の1334.76。一時は1.2%安となっ た。過去6営業日の下落率は2.9%。ダウ工業株30種平均はこの日31.26 ドル(0.3%)下げて12573.27ドル。一時は112ドル余り下げた。

フォート・ワシントン・インベストメント・アドバイザーズのニッ ク・サージェン最高投資責任者(CIO)は電話インタビューで、「景 気は世界的に減速している」と指摘。「ウォール街のアナリストは、企 業の業績ガイダンス下方修正を受けて、4-6月(第2四半期)の決算 予想を下向きに修正している。企業利益の伸びは、これまで相場の主な 押し上げ材料だったが、今後はその力が弱まるだろう」と分析した。

FOMC議事録

S&P500種は前日、ほぼ変わらずで終了。米連邦準備制度理事会 (FRB)が公表した連邦公開市場委員会(FOMC、6月19-20日開 催)の議事録では、追加緩和の示唆をめぐって市場で受け止め方が分か れた。議事録では、メンバー2人が追加の債券購入は適切だと指摘した 一方で、別の2人は失業の減少で「満足のいく進展」が見られないか、 下振れリスクが増大した場合に追加購入は正当化されると主張した。

この日の相場は朝方から軟調な展開が続いた。米労働省が発表した 先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週から2万6000件 減少し35万件。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想 の中央値は37万2000件だった。自動車工場の設備更新に伴う一時的閉鎖 を見越した季節調整を反映した可能性が高い。

S&P500種は後場に入り下げを縮小。50日移動平均を3日連続で 下回った後、値を戻した。

50日移動平均

RBCグローバル・アセット・マネジメントの米株トレーディング 責任者、ライアン・ラーソン氏(シカゴ在勤)は、「テクニカル要因も 下げ縮小に寄与した可能性がある」と分析。「市場では、特に米金融当 局をはじめとする中央銀行の追加策への期待から、大幅な下げは抑えら れているようだ」と述べた。

BOAのストラテジストは、S&P500種株価指数を構成する企業 の2012年および13年利益見通しを1.4%引き下げた。商品価格の下落や 世界的な経済成長の鈍化が企業利益の足かせになるとの懸念を理由に挙 げた。

同行ストラテジストのダン・スズキ、サビタ・スブラマニアン、ジ ル・キャリーの3氏は12日付顧客リポートで、1株当たり利益は2012年 が102ドル、13年は109ドルとの予想を示した。

ブルームバーグがまとめたアナリスト調査では、4-6月(第2四 半期)のS&P500種を構成する企業の利益は前年同期比で1.8%減が予 想されている。

住宅建設株が高い

S&P住宅建設株指数は2.4%高。レナーは3.6%高の31.06ドル。 パルトグループは2.9%上げて10.84ドル。

消費財最大手P&Gは3.8%高の63.70ドル。米連邦取引委員会 (FTC)が、ウィリアム・アックマン氏率いるパーシング・スクエ ア・キャピタル・マネジメントによるP&Gの株式取得を承認したこと を受けた。

メルクは4.1%高の42.91ドルで、値上がり率はダウ平均で最大とな った。スーパーバリューは49%安の2.69ドル。

原題:S&P 500 Has Longest Slump Since May on Growth, Earnings Concern(抜粋)

◎米国債:上昇、30年債入札で過去最低の落札利回り-強い安全志向

米国債相場は上昇。比較的安全だとされる米国債の旺盛な需要で、 この日実施された30年債の入札(規模130億ドル)でも最高落札利回り は過去最低となった。

財務省が実施した30年債入札の結果によると、最高落札利回り は2.580%。これまでの過去最低は前回6月14日の2.72%だった。前日 の10年債入札でも最高落札利回りは過去最低の1.459%を記録してい た。景気を支えるために主要国中央銀行は追加緩和策を講じる必要があ るとの観測を背景に、ドイツや英国、日本など他の高格付けの国債も買 われた。

BNPパリバの金利ストラテジスト、アーロン・コーリ氏(ニュー ヨーク在勤)は「このようなリスクを回避する環境下では、投資家は利 回りや安全性、流動性というものを求めている」と述べた。「利回りは 極度に低いが、リスクの高い資産で損失を出すよりはいい。高い流動性 という観点からも購入する値打ちがある。これが入札で需要を押し上げ た背景だ」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、ニューヨーク時間 午後4時6分現在、30年債利回りは5ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)低下して2.56%。6月1日には2.5089%の過去最低を記録し た。

10年債利回りは4bp下げて1.47%。6月1日には過去最低とな る1.4387%まで下げた。

失業保険申請件数

米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み) は、前週から2万6000件減少して35万件。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミスト予想の中央値は37万2000件だった。この統計の発 表後も米国債は堅調に推移した。

30年債入札で投資家の需要を測る指標の応札倍率は2.70倍と、過 去10回の平均値と一致した。

外国の中央銀行を含む間接入札の落札に占める比率は36.8%と、昨 年9月以来の最高だった。6月時点では32.5%、過去10回の平均値 は31.6%となっている。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)以外の直接入 札者の落札比率は20.1%と、前月の24%から低下した。過去10回の平均 値は17.3%。

短期債を売却し期間が長めの証券を同額購入するオペレーションツ イスト(ツイストオペ )に基づき、米金融当局はこの日、償還期 限2013年7月から2014年1月までの証券79億3000万ドルを売却した。6 月20日に連邦公開市場委員会(FOMC)は同オペを延長する方針を示 した。

米国債のリターン

バンク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによる と、30年債のリターンは年初から7.8%。10年債は5%、2年債は0.1% となっている。

連邦準備制度理事会(FRB)のエコノミストが開発した金融モデ ルに基づくタームプレミアム(期間に伴う上乗せ利回り)によると、米 国債はこれまでで最も割高な水準に近づいている。この日のタームプレ ミアムはマイナス0.9435%。10日にはマイナス0.9617%と最も割高な水 準を付けた。マイナスのタームプレミアムは適正水準を下回る利回りで も投資家が積極的に受け入れていることを意味する。

ボラティリティ(変動性)の指標とされるメリル・オプション・ボ ラティリティ・エスティメート(MOVE)指数は前日に63.8bpだっ た。5月7日には5年ぶり低水準の56.7bp。年初からの平均は76bp となっている。年初来の最高は6月15日の95.4bp。金融危機が深刻化 した2008年10月は264.6bpと過去最高を記録した。

原題:Treasuries Rally as Auction Draws Record Yield on Haven Demand(抜粋)

◎NY金:続落、2週間ぶり安値-米失業保険統計受け緩和観測が後退

ニューヨーク金先物相場は続落。ほぼ2週間ぶりの安値となった。 先週の米新規失業保険申請件数が前週から減少したことを手掛かりに、 米金融当局に追加緩和を求める圧力が後退するとの見方が広がった。

米労働省が発表した先週の新規失業保険申件数(季節調整済み) は、前週から2万6000件減少して35万件。ブルームバーグ・ニュースが まとめたエコノミスト予想の中央値は37万2000件だった。米連邦準備制 度理事会(FRB)が前日に公表した連邦公開市場委員会(FOMC) 議事録によると、政策当局者は追加緩和を講じた場合のリスクについて 検討した。

TDセキュリティーズのバイスプレジデント、スティーブ・スカカ ロシ氏は「米当局が追加措置を近く発表することはないとの見方をきょ うの指標はさらに裏付けるものだ」と電子メールでコメントした。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8 月限は前日比0.7%安の1オンス=1565.30ドルで終了した。一時 は1554.40ドルと、6月29日以来の安値を付ける場面もあった。

原題:Gold Declines to Two-Week Low as Jobs Data Dims Stimulus Chances(抜粋)

◎NY原油:続伸、米国が対イラン追加制裁を発表-86.08ドル

ニューヨーク原油先物相場は続伸。米国がイランに対する追加制裁 措置を発表したことで、買いが優勢になった。イランは石油輸出国機構 (OPEC)加盟国で第2位の産油国。

米財務省はイランの兵器拡散ネットワークや国際的制裁の回避を支 援するトンネル会社をターゲットにしていると明らかにした。これより 先、原油は下落していた。ユーロが対ドルで2年ぶり安値に下げたこと や、国際エネルギー機関(IEA)が2013年の原油需要について伸びが 抑制されるとの見通しを示したことが背景。

プライス・フューチャーズ・グループ(シカゴ)のシニアマーケッ トアナリスト、フィル・フリン氏は「新たな制裁で供給に支障が出ると の懸念が強まり、相場を支えている」と指摘。「世界経済の全体像はか なり厳しい状況のままだ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前日 比27セント(0.31%)高の1バレル=86.08ドルで終了。年初から は13%値下がりしている。

原題:Oil Rises as U.S. Adds Sanctions on Iran Targeting Proliferation(抜粋)

◎欧州株:大幅安、FOMC議事録に失望-電通が買収のイージス急伸

12日の欧州株式相場は2週間余りで最大の下げとなった。米連邦準 備制度理事会(FRB)が前日公表した連邦公開市場委員会( FOMC)議事録で、追加刺激策への強い姿勢が示唆されなかったこと への失望感が広がった。

スイスのソフトウエアメーカー、テメノス・グループは28%急落 し、3年ぶり安値を付けた。2012年増収見通しを下方修正したほか、最 高経営責任者(CEO)の辞任を発表した。英資産運用会社、アシュモ ア・グループは6.7%安。運用資産の減少が嫌気された。一方、英広告 会社イージス・グループは45%急伸。電通による買収合意が買いを集め た。

ストックス欧州600指数は前日比1.1%安の252.89で終了。先月25日 以降で最大の値下がり。先週までは週間ベースで5週連続で上昇したも のの、今週に入って0.6%下げている。景気減速が欧州や米国の企業利 益に打撃を与えるとの懸念が高まっているためだ。

MWBフェアトレード・ウェルトパピエルハンデルスバンクの株式 トレーダー、アンドレアス・リプコウ氏(フランクフルト在勤)は「既 にオペレーションツイスト(ツイストオペ)があるため、米金融当局が 何ら行動を取らないのは明らかだ」とし、「追加措置へのシグナルが発 信されるとの期待が一部にあった」と語った。

この日の西欧市場では、18カ国中16カ国で主要株価指数が低下し た。

原題:European Stocks Decline as Fed Minutes Damp Stimulus Optimism(抜粋)

◎欧州債:ドイツ債利回り過去最低を記録、ECB翌日物預金の急減で

12日の欧州債市場では最高格付け国の国債が上昇し、ドイツ2年 債利回りは過去最低となるマイナス0.042%まで低下した。欧州中央 銀行(ECB)の中銀預金金利がゼロに引き下げられたことを受け、 市中銀行による翌日物預金が急減したことが手掛かり。

オーストリアとベルギー、フランス、オランダの国債利回りはい ずれもこれまでの最低を付けた。ECBや利回りがマイナスとなった ドイツ国債よりも高いリターンを銀行が求める動きが背景にある。E CBが景気見通しへの一部リスクが顕在化したと月報で指摘したこと も、中核国の国債に対する支援要因となった。

一方、イタリア国債は下落。同国政府はこの日に1年物証券を入 札。13日には償還期限が2015年から23年までの中・長期債を発 行する。

モニュメント・セキュリティーズのストラテジスト、マーク・オ ズワルド氏(ロンドン在勤)は「ユーロ圏諸国の短期債ぐらいしか資 金を投じられない」とし、「オーストリアやフランスの国債の類が求 められており、これらのリターンは低い」と語った。

ロンドン時間4時27分現在、ドイツ2年債利回りは前日比2ベ ーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下のマイナス0.039%。 同国債(表面利率ゼロ、2014年6月償還)価格は0.045上げ

100.075。10年債利回りは2bp下げ1.25%。先月6日以来の低 水準となる1.235%まで下げる場面もあった。

ECBの発表によると、市中銀行の11日の翌日物預金は3249 億ユーロと、10日の8085億ユーロから急減し、昨年12月21日以 来の低水準となった。

英国債

英国債市場では10年債利回りが先月1日以来の低水準まで下げ た。2022年償還債入札で利回りが過去最低となったことが手掛かり。

英公債管理局(DMO)によると、35億ポンド相当の10年債入 札の利回りは1.72%だった。

英10年債利回りは前日比3bp低下の1.54%。一時は

1.505%まで下げ、先月1日以来の最低となった。同日には過去最低 となる1.439%を記録した。同国債(表面利率4%、2022年3月償 還)価格はこの日、0.28上げ122.02。

原題:German, French Yields Fall to Records as Deposits at ECB Decline(抜粋) Pound Falls to Five-Week Low Versus Dollar on Recession Concern(抜粋)