円が底堅い、リスク回避で-対ユーロで一時5週間ぶり高値

東京外国為替市場では円が底堅く推 移した。欧州の恒久的救済基金をめぐる不透明感などを背景にリスク回 避の流れがくすぶり、相対的に安全な円は買いが先行する場面も見られ た。

午後4時34分現在のユーロ・円相場は1ユーロ=97円37銭前後。一 時は97円10銭を付け、6月5日以来のユーロ安・円高水準を更新する場 面があった。ドル・円相場も1ドル=79円半ば付近から一時79円24銭ま で円が強含み、同時刻現在は79円34銭前後。

JPモルガン・チェース銀行債券為替調査部の棚瀬順哉チーフFX ストラテジストは、「先週以降でみてもドルと円が強くてクロス円(ド ル以外の通貨の対円相場)下落という感じになっているし、欧州に関し ても今週に入ってから特にポジティブなニュースが出てきたということ はないので、リスクオフの流れ自体は基本的に変わっていない」と指摘 した。

ユーロ・ドル相場は前日の海外市場で2年ぶりユーロ安値(1ユー ロ=1.2235ドル)を付けた後、この日の東京市場ではユーロがじり高。 ただ、戻りは1.2278ドルまでとなり、足元では1.2273ドル前後となって いる。

ESM

ドイツ連邦憲法裁判所は、ユーロ圏の恒久的救済基金と欧州財政協 定に関する判断には何カ月か要する可能性があるとの見解を示した。問 題の複雑さを理由に挙げた。連邦憲法裁は10日、欧州安定化メカニズム (ESM)と財政協定の最終的な承認を合憲性の判断が出るまで差し止 めるかどうかに関する審理を行った。

ドイツの上下両院は6月29日に財政協定とESMを承認。その後、 財政協定などに反対するグループが提訴し、ガウク大統領は署名を留保 した。

三菱東京UFJ銀行市場企画部グローバルマーケットリサーチの内 田稔チーフアナリストは、「欧州サミットの評価が一時的なものに終わ り、オランダ、フィンランドが反対を唱えたあたりで完全に効果ははく 落した。加えてECB(欧州中央銀行)の預金金利の引き下げがあり、 為替が妙に地合いが悪かったところに、ドイツ連邦憲法裁判所の話が加 わり、悪材料が続いている」と指摘した。

フィンランドのカタイネン首相はユーロ圏が「完全な破滅」の脅威 に直面しているとの考えを示した。同国紙ヘルシンギン・サノマット が11日、同首相とのインタビューを報じた。

一方、国際労働機関(ILO)は11日公表した報告書で、欧州の政 策当局が危機対応プログラムを雇用促進の方向に調整し直さない限り、 さらに450万人が失業状態に追いやられる恐れがあると指摘した。

JPモルガン・チェース銀の棚瀬氏は、サミットではソブリンリス クに関しては何も決まらず、ECBの態度がカギとなっていたが、先週 の理事会でECBの態度が変わるという期待も冷や水を浴びせられたと いうことが「そもそも今のリスクオフの原因だ」と指摘。「ここで ECBがいきなりSMP(証券市場プログラム)を再開したりすれば、 ユーロは相当きついショートカバーになると思うが、その可能性は低い と思う」と言う。

日銀会合始まる

リスク回避に伴う円高圧力がくすぶる中、国内ではきょうから2日 間の日程で日本銀行の金融政策決定会合が始まった。

三菱東京UFJ銀の内田氏は、「日本の景気そのものはそれほど悪 くないので、あすの日銀会合は据え置きではないかという思惑から、一 時的に円の序列がドル、ユーロよりも上にきている」と説明。もっと も、「海外情勢を見れば、国内がいいからというだけにもいかない」と し、結果がどうなるかは「微妙」だと話した。

一方、米国ではこの日、連邦公開市場委員会(FOMC)議事録 (6月19、20日分)が公表される。

米連邦準備制度理事会(FRB)は同会合でツイストオペを年末ま で延長することを決定。FOMCメンバーは2012、13、14年のそれぞれ の成長見通しを下方修正し、失業率予想を上方修正した。

JPモルガン・チェース銀の棚瀬氏は、前回はツイストオペの延長 だけで、結果だけ見れば思ったほど緩和的でなかったが、米雇用統計が 弱い数字となり、米追加緩和観測が根強い中で、議事要旨がハト派的で あれば、「QE3(量的緩和第3弾)が近いのではないかという思惑が 高まりやすい」と指摘している。

--取材協力:三浦和美 Editors: 持田譲二, 青木 勝

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