ユーロ97円台後半で上値重い、欧州救済の枠組みに不透明感

東京外国為替市場では、ユーロが下 落し、対円では1ユーロ=97円台後半を中心に取引された。ユーロ圏財 務相会合後も欧州債務問題に対する抜本的解決策への期待感が薄い中、 スペイン10年債利回りが7%付近で高止まり。先行き不透明感からユー ロの上値が抑えられた。

ユーロは98円06銭を上値に午後にかけてじりじりと水準を切り下 げ、一時は97円55銭を付けた。午後4時現在は97円68銭付近で推移して いる。前日には一時97円43銭と、6月5日以来の安値を付けたあと、海 外市場で98円13銭まで反発していた。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 欧州の銀行救済に関しては、直接支援だとしても国が責任を免れないと の発言もあり、「スペイン救済合意後もユーロ買いにならない理由」に なっていると指摘。また、中国の貿易統計で、黒字額が市場の予想を上 回ったものの、「輸入が弱いのでリスクオン(選好)になり切れない」 面もあるという。

前日の取引で一時1ユーロ=1.2251ドルと、2010年7月以来の安値 を付けていたユーロ・ドル相場は、午前に付けた1.2322ドルを上値に一 時1.2282ドルまで水準を切り下げた。

一方、ドル・円相場は朝方に付けた1ドル=79円60銭から、じりじ りとドル安・円高が進み、午後の取引終盤には一時79円36銭と、2日以 来の円高値を付けた。午後4時現在は79円42銭付近で取引されている。

中国の税関総署が10日に発表した6月の貿易統計によると、貿易黒 字が約3年ぶりの高水準に拡大したものの、輸入の伸びは前年同月比 で6.3%と、ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場予想の11%を下 回った。同署は声明で、輸出企業約2000社を対象に当局が先月実施した 調査は、近い将来において「中国の国際貿易環境が依然として楽観的で はない」ことを示唆していると説明した。

欧州救済スキームに依然不透明感

一方、ドイツのショイブレ財務相によると、9、10日のユーロ圏財 務相会合では、20日の首脳会議に向けてスペインの銀行支援に関する最 終的な覚書の準備が行われたという。

ただ、同財務相は、今回の会合で、欧州金融安定ファシリティー (EFSF)と恒久的な救済基金の欧州安定化メカニズム(ESM)で 自由に利用できる手段を「可能な限り効果的かつ柔軟」に活用する必要 があることが確認されたことを明らかにしたものの、これらによって銀 行に資金が直接投入される場合でも、対象国が支払義務を免れないと想 定していると述べた。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、スペインやキプロスの支援などに関する最終合意は20日 ということなので、「完全に織り込むわけにはいかない」と言い、財務 相会合については「期待値が低い通りのものが今のところ出てきている 印象」で、ユーロの買い戻しがどんどん進むということにはなりにくい とみている。

また、欧州中央銀行(ECB)は今月5日に利下げに踏み切ってい るが、ドラギ総裁は9日、景気通しが必要性を示す場合はECBが一段 の利下げの選択肢を排除しない考えを示唆している。

三菱東京UFJ銀行米州金融市場部マーケティンググループのマネ ジングディレクター、村尾典昭氏(ニューヨーク在勤)は、きのうスペ イン国債の利回りが7%台に乗せて、「持続不能なところまで既にきて いる」とし、この状態が続く限り、ユーロは非常に上値の重い展開が続 くと見ている。

その上で、村尾氏は、米国の経済指標が軒並み悪く、インフレも沈 静化している状況下で「量的緩和第3弾(QE3)を含む追加のアクシ ョンを起こしてもいい条件が整いつつある」と指摘。欧州を軸としなが らも、徐々に米国サイドの金融政策の方にも注目度が高まっていくと し、ドル安・円高がもう一段進む可能性があるとみている。

--取材協力:小宮弘子 Editors: 持田譲二, 青木 勝

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