証券監視委:全日空の公募増資でインサイダーの可能性を調査

証券取引等監視委員会が全日本空輸 の公募増資で情報漏れに基づくインサイダー取引がなかったか、調査に 着手したことが9日分かった。関係者への取材で明らかになった。引き 受け主幹事などからの情報漏えいの有無などを詳しく調べていく方針 だ。

監視委は、増資公表前日の7月2日に全日空株式が空売りにより売 買高が過去3か月で最大となったことを受け、監視対象に組み入れたも よう。株価動向や空売り状況についてモニタリングやヒアリングを行 う。今回の増資で引き受け主幹事を務めるのは、野村ホールディング ス、ゴールドマン・サックス、JPモルガン・チェースとドイツ銀行。

日本の金融当局は3月以降、主幹事証券からの情報漏えいによるイ ンサイダー取引事案を相次いで公表、同時に監視を強化してきた。最大 手の野村は社員が2010年の公募増資に関連したインサイダー3件への関 与を認め、渡部賢一CEO(最高経営責任者)が先月記者会見で外部調 査の結果や社内処分を公表する事態に至っている。

全日空は3日午後4時に、公募増資の実施などで最大2111億円の資 金調達を行うと発表した。ブルームバーグのデータによれば、2日の全 日空株の出来高は2400万株と3月27日以来の高水準に膨らんだ。株価は 2日、一時2.7%安となった後、0.9%安で終了。同日のTOPIXの終 値は0.1%安だった。

主幹事への問い合わせ

全日空は6日、増資公表の前日に空売りで出来高が急増したことに ついて、広報担当の野村良成氏がブルームバーグ・ニュースの取材に、 「不自然との認識を持っている」と述べた、引き受け金融機関に問い合 わせしたことを明らかにした。各社から情報漏れはなかったとの回答を 得たという。

野村、ゴールドマン、JPモルガン、ドイツ銀など主幹事各社の広 報担当は当局の調査についてコメントを控えた。金融庁と監視委員会の 広報担当も個別の事案については言及できないとしている。全日空の手 塚愛美広報担当は、現時点では承知していないと述べた。

金融庁は3日、複数の証券会社から公表前の企業の公募増資情報な どが漏れていた問題を受け、野村やゴールドマンなどこれら4社を含む 内外12の証券会社に対して3日付で、法人関係情報の管理体制を自主点 検し、8月3日までに報告するよう指示している。

「根の深い問題」

東京証券取引所は、証券会社が関与するインサイダー取引の多発を 受け、国内外約30証券に10月をめどに立ち入り調査を開始する。東証幹 部は先月26日、公募増資やTOB(株式公開買い付け)計画などの法人 関係情報を知り得る立場にある投資銀行部門や、機関投資家向けの営業 担当者(フロント部門)を対象とする方針を示した。

一方、民主党はこれまでに当局が摘発した4銘柄に加え、NEC、 池田泉州ホールディングス、りそなホールディングス、日立製作所な ど16銘柄を新たに調査するべきだとの考えを示している。同党の大久保 勉政調副会長が5日ブルームバーグ・ニュースの取材に答えた。

野村は6月29日、渡部CEOの報酬の50%6カ月間カットなどの社 内処分や一部営業自粛、再発防止策を発表した。渡部氏は顧客からの信 頼回復が急務だと強調し、引責辞任については否定した。会見後記者に 3事案以外に情報漏えいがなかったかは、分からないと述べたものの、 弁護士などによるこれ以上の外部調査の計画はないと述べた。

松下忠洋金融相は10日の閣議後会見で、今春以降のインサイダー取 引事案の摘発など当局の対応について「十分であるかと言われたら、そ うとは言えない」と指摘。その上で「根の深い問題もあると思うので、 引き続き強い意志と強い関心を持って、しっかりと対応していく必要が ある」と強調した。

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE