7月9日の海外株式・債券・為替・商品市場

欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次 の通り。

◎NY外為:ユーロが反発、ECB総裁の利下げ示唆で安値から戻す

ニューヨーク外国為替市場ではユーロが対ドルで反発。一時は2年 ぶり安値から戻す展開となった。欧州では域内債務危機に歯止めをかけ る措置について討議するため、ユーロ圏財務相会合(ユーログループ) が9日開かれた。

ユーロは対円でも、約1カ月ぶり安値から上昇した。欧州中央銀行 (ECB)のドラギ総裁はこの日、景気見通しが必要性を示す場合は ECBは追加利下げの選択肢を排除しない考えを示唆。これを受けてユ ーロが買い戻された。朝方はドルと円の買いが先行していた。日本の機 械受注が大幅に減少したほか、中国のインフレ率が低水準にとどまった ことを受け、景気失速懸念が高まり、安全とされる通貨へ資金を逃避さ せる動きが強まった。

トロント・ドミニオン銀行のチーフ通貨ストラテジスト、ショー ン・オズボーン氏は電話インタビューで、「この日はわずかながらショ ートカバーが見られた」と指摘。「ユーロ圏の金融政策は非常に緩和的 なため、ユーロは対ドルで下げ続けるだろう」と述べた。

ニューヨーク時間午後4時18分現在、ユーロは対ドルで前営業日 比0.2%高の1ユーロ=1.2318ドル。一時、1.2251ドルと2010年7月以 来の安値を付ける場面も見られた。円に対しては0.2%高の1ユーロ =98円04銭。一時は先月5日以来の安値となる97円43銭まで下げた。円 はドルに対してほぼ変わらずの1ドル=79円59銭。

主要通貨中では対ドルで最も下げたのが韓国ウォン。次いでブラジ ル・レアルの下げが目立ち、0.2%安の1ドル=2.0324レアル。一方、 ノルウェー・クローネはドルとユーロに対して上昇。対ユーロで は0.4%高の1ユーロ=7.4876クローネ。ドルに対しては0.6%上げて1 ドル=6.0784クローネとなっている。

中国の景気対策

オーストラリア・ドルは小幅安。中国国営の新華社通信は前日、同 国経済への下向き圧力に対応するため政策の微調整を強化すると温家宝 首相が言明したと報じた。中国は先週、過去1カ月で2度目の利下げを 発表した。中国はオーストラリアにとって最大の貿易相手国。

オーストラリア・ドルは米ドルに対して前営業日比0.1%未満安い 1豪ドル=1.0207米ドル。一時、0.6%安の1.0155米ドルを付ける場面 もあった。円に対しては0.1%安の1豪ドル=81円25銭だった。対ユー ロでは0.3%下落して1ユーロ=1.2066豪ドル。

中国国家統計局が9日発表した6月の消費者物価指数(CPI)は 前年同月比2.2%上昇したものの、2年5カ月ぶりの低い伸びとなっ た。ブルームバーグ・ニュースがまとめた市場関係者の予想中央値 は2.3%上昇だった。

日本の内閣府が9日発表した5月の機械受注は、前月比で14.8%減 少した。

資本注入

ユーロは日中の下げを埋めた。欧州委のオコナー報道官は9日ブリ ュッセルで記者団に、「欧州安定化メカニズム(ESM)による銀行資 本注入について政府保証は必要ではない」と発言。将来のシステムの詳 細はこれから交渉するという。

この日のユーログループでは、先月の首脳会議(サミット)で決定 した危機対策措置について話し合われた。ユーロ圏17カ国首脳は29日の 会議終了後の声明で、統一された銀行監督システムを設置した上で、 ESMが政府を介さず銀行へ直接資本注入することを容認すると発表し た。

英銀ロイヤル・バンク・オブ・スコットランド・グループ (RBS)の為替戦略担当グローバル責任者、ロバート・シンチ氏は、 「短期的には、欧州の銀行プログラムの確実性が高まり、また米国で量 的緩和第3弾(QE3)が実施される可能性が強まってくれば、ユーロ は若干持ち直す可能性があると当社は考える」と解説した。

原題:Euro Rises From 2-Year Low Against Dollar as Finance Chiefs Meet(抜粋)

◎米国株:3日続落、スペイン債利回り7%超で欧州危機懸念が高まる

米株式相場は3営業日続落。スペイン10年債の利回りが7%台に上 昇したことで、欧州債務危機に対する懸念が高まった。主要株価指数は 約1カ月で最長の連続安。

通常取引終了後に決算を発表したアルミニウム生産のアルコアは、 ニューヨーク時間午後4時37分現在の時間外取引で0.2%高。決算では 利益と売上高がアナリストの予想を上回った。石油大手エクソンモービ ルや化学大手デュポンが安い。決済ネットワーク大手のビザとマスター カードは、UBSによる投資判断引き下げを嫌気し売られた。

S&P500種株価指数は前週末比0.2%安の1352.46。過去3日間の 下落率は1.6%となった。3日続落は6月1日以来の長期連続安。ダウ 工業株30種平均は36.18ドル(0.3%)下げて12736.29ドル。米証券取引 所全体の売買高は51億株と、過去3カ月の平均を24%下回った。

ウェルズ・ファーゴ・プライベート・バンクの地域最高投資責任者 (CIO)、ジェフ・サベージ氏はスペイン債の利回りについて、「非 常に気掛かりだ」とし、「スペインにとって7%の利回りは、持続可能 な水準ではない。恐ろしいほどの水準だ。米国の最大の貿易相手の一つ (欧州)が厳しい経済情勢にあり、米国企業の業績に影響しないという ことはあり得ない」と続けた。

この日の米国株は世界的な株安の流れを引き継いだ。スペイン10年 債の利回りは、ギリシャやアイルランド、ポルトガルに救済要請を促し た水準に達した。ドイツのショイブレ財務相は、欧州救済基金による銀 行への直接的な資本増強に向けた早急な行動に否定的な考えを示した。 ユーロ圏債務危機が進行するなか、スペインの銀行てこ入れに向けた手 段が限定されることになる。

決算シーズン

米企業の決算シーズンのスタートを控えて様子見姿勢が広がったこ とも、この日の下げにつながった。ブルームバーグがまとめたアナリス ト調査では、4-6月(第2四半期)のS&P500種を構成する企業の 利益は前年同期比で1.8%減少したと予想されている。

ダウ平均の銘柄で最初に決算を発表したアルコアは、通常取引終了 後の時間外取引で0.2%高の8.78ドル。同社発表によると、4-6月期 決算ではリストラ費用などを除いた1株利益が6セント。ブルームバー グがまとめたアナリスト19人の予想平均は5セントだった。売上高は59 億6000万ドルと、前年同期の65億9000万ドルから減少したものの、アナ リスト11人の予想平均である58億1000万ドルは上回った。

INGインベストメント・マネジメントで分散投資責任者を務める ポール・ゼムスキー氏は「市場は企業決算に対して悲観的過ぎる」と指 摘し、「決算の発表が進むにつれ、株価は上昇する可能性がある」と加 えた。

ビザとマスターカードが安い

S&P500種では業種別10指数のうち8指数が下落。特に資源株や 選択的消費株の下げが目立った。景気敏感株で構成するモルガン・スタ ンレー・シクリカル指数は0.8%安。デュポンは2.9%安の47.47ドル。 エクソンは1.4%下げて83.65ドル。

ビザは1.3%安の123.65ドル。マスターカードは2.4%下げて431.27 ドル。UBSのアナリスト、ジョン・ウィリアムズ氏はこの日、両社の 株式の投資判断を「売り」に指定し、従来の「ニュートラル(中立)」 から引き下げた。米経済指標の悪化や世界的な景気減速を理由に挙げて いる。

原題:U.S. Stocks Post Longest Slump in 1 Month as Spanish Yields Soar(抜粋)

◎米国債:30年債上昇、ツイストオペで証券差し出し弱く

9日の米国債市場では30年債が上昇。米金融当局が実施する短期債 を売却し期間が長めの証券を同額購入するオペレーションツイスト(ツ イストオペ )で、金融機関の差し出した購入対象証券が平均を下回っ たことが影響した。

プライマリーディーラー(政府証券公認ディーラー)が差し出した 証券は、金融当局が購入した18億400万ドルの2.32倍相当。昨年10月の ツイストオペ開始以来の平均は2.93倍だった。10年債利回りは約1カ月 ぶりの低水準をつけた。減速する雇用の伸びが量的緩和第3弾につなが るとの見方が背景にある。

クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、スコット・シ ャーマン氏(ニューヨーク在勤)は「米当局が積極的に証券を購入しよ うとしたのに対し、金融機関から差し出された証券はそれほど多くはな かった」と述べた。さらに、「市場参加者は米当局が量的緩和第3弾か それ以外の追加緩和策を講じる可能性を視野に入れ始めており、それが 実現する可能性も高まっているとみている」と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間 午後5時2分現在、30年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)下げて2.62%。同年債(表面利率3%、償還期限2042年5 月)は28/32上げて107 26/32。

10年債利回りは4bp下げて1.51%と、6月5日以来の低水準。6 月1日には1.44%と過去最低を記録した。

ローゼングレン総裁の発言

ボストン連銀のローゼングレン総裁は9日、バンコクでの講演で、 米労働市場の低迷によって家計の支出が鈍化する恐れがあるとの見解を 明らかにした。米失業率は2009年2月以降、8%を上回っている。

米金融当局は過去2度の量的緩和で2兆3000億ドルの証券を購入し ている。昨年9月には規模4000億ドルのツイストオペを発表。今年6 月20日に連邦公開市場委員会(FOMC)は年末まで同オペを延長する 方針を示した。追加のオペの規模は2670億ドル。

この日のツイストオペでディーラーが差し出した証券は41億8500万 ドルだった。

米国債の入札

米財務省は10日に3年債の入札(320億ドル)、11日に10年債(210 億ドル)、12日に30年債(130億ドル)の入札を実施する。

償還までの消費者物価の予測値を示す10年債と同年限インフレ連動 債(TIPS)の利回り格差(ブレークイーブンレート)は2.07ポイン トと、今年3月20日に記録した年初来の最高値である2.45ポイントを下 回っている。

GMPセキュリティーズの債券ストラテジスト、エイドリアン・ミ ラー氏は「米国内外で経済成長に対する不透明感が強く、利回りを低く 抑えている」と述べた。

原題:Treasury 30-Year Bonds Lead Gains as Dealers Reduce Fed Tenders(抜粋)

◎NY金:3日ぶり上昇、中国で需要拡大の兆しで買い-1589.10ドル

ニューヨーク金先物相場は3営業日ぶりに上昇。中国での金需要拡 大の兆しが買い材料になった。

香港政府の統計によると、中国による香港からの金輸入は5月に前 年同月比6倍増の7万5635.7キログラムとなった。コメルツ銀行はリポ ートで、「中国は引き続き世界の金市場で最も需要な役割を果たしてい る」との見解を示した。ドルが主要通貨のバスケットに対して5週ぶり 高値から下落したことも、代替投資先としての金の買いにつながった。

シティグループの機関投資家顧客グループの商品マーケットアナリ スト、スターリング・スミス氏(シカゴ在勤)は電話インタビューで、 「中国での現物需要の増加は市場にとって好ましいニュースだ」と指 摘。「ドルがやや軟調なことも金にはプラスだ」と述べた。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物8 月限は前週末比0.6%高の1オンス=1589.10ドルで終了した。

原題:Gold Futures Advance on Signs of Increasing Demand in China(抜粋)

◎NY原油:3日ぶり上昇、ノルウェー生産がストで停止の恐れ

ニューヨーク原油先物相場は3営業日ぶりに上昇。西欧最大の原油 輸出国ノルウェーでのストの影響で、同国の原油・ガス生産すべてが停 止する恐れが出ていることが背景。

2週間続いているストが解除されない限り、現地時間の午前零時に 生産が停止される。ノルウェー石油監督局のデータによると、日量で最 大200万バレルの生産に影響が及ぶ可能性がある。原油は6日に3.2%下 落していた。

トラディション・エナジー(コネティカット州スタンフォード)の アナリスト兼ブローカー、ジーン・マクギリアン氏は「ノルウェー産原 油があす市場から消えるかもしれないとの見方が広がっている」と指 摘。「先週金曜日に大きく下落していたため、持ち直している」と述べ た。

ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物8月限は前週末 比1.54ドル(1.82%)高の1バレル=85.99ドルで終了。年初から は13%値下がりしている。

原題:Oil Rises First Time in Three Days as Norway May Halt Production(抜粋)

◎欧州株:4日続落、日本の機械受注減少とスペイン債利回り上昇で

9日の欧州株式相場は4営業日続落。日本の機械受注の大幅減少 や、ユーロ圏財務相会合を前にしたスペイン国債の値下がりが響いた。

ドイツの小売り最大手、メトロが約3年ぶりの安値を付けた。消費 者の支出抑制が同社事業に「大きな影響」を与えるとのオラフ・コッホ 最高経営責任者(CEO)の発言が売り材料。野村ホールディングスに よる投資判断引き上げを受け、通信銘柄は総じて高い。

ストックス欧州600指数は前週末比0.4%安の253.46で終了。スペイ ン10年債利回りは7%台となった。株価指数は週ベースでは5週連続高 で前週の取引を終え、1月以来最長の上げ相場となっていた。スペイン の銀行向け支援の返済ルールやイタリアが対象となり得る救済の条件を それぞれ緩和することで欧州首脳らが先月合意したことが背景。

ノルデア・プライベート・バンキングのチーフ株式アナリスト、マ イケル・ボーレ氏(コペンハーゲン在勤)は「市場の中心テーマは引き 続き債務危機と南欧諸国の利回りが向かう方向だ」と指摘。「従って、 今週も神経質で不安定な相場展開を予想する」と続けた。

ブリュッセルでのユーロ圏財務相会合は、ユーロ圏首脳が先月合意 した危機対策の詳細を詰める。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が この日、物価安定という責務から外れない範囲で同中銀が必要な措置を 講じるほか、危機対応で「あらゆるアイデア」を検討することにやぶさ かでないと発言すると、ストックス600指数は下げを埋める場面も見ら れた。

同日の西欧市場では、18カ国中14カ国で主要株価指数が下落した。

原題:European Stocks Retreat for Fourth Day; Metro Slides on Outlook(抜粋)

◎欧州債:スペイン10年債利回り、7%突破-財務相会合への期待薄い

9日の欧州債市場でスペイン10年債が下落し、利回りは7%台に乗 せた。ブリュッセルでのユーロ圏財務相会合では、域内の金融問題を収 束するための十分な危機対策がまとまらないとの懸念が高まった。

イタリア国債は4営業日続落し、10年債利回りは約1週間ぶりの高 水準。ドイツ2年債利回りは2営業日連続でゼロを割り込んだ。9日の ドイツ入札で6カ月物証券の落札利回りが過去最低のマイナス0.0344% を記録したほか、フランスが実施した同年限の証券入札でも利回りが初 めてマイナスとなった。スペイン30年債利回りはユーロ導入後の最高に 達した。

ロイズ・バンキング・グループのロンドン在勤ストラテジスト、ア キレアス・ゲオルゴロプロス氏はユーロ圏の会合について、「市場は多 くを期待していない」と述べ、「これが引き続き周辺国の国債に圧力を 加えている」と語った。

ロンドン時間午後4時32分現在、スペイン10年債利回りは前週末 比11ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の7.06%。一時 は7.11%と、先月19日以来の高水準に達した。ユーロ導入後の最高は6 月18日に付けた7.285%。同国債(表面利率5.85%、2022年1月償還) 価格はこの日、0.7下げ91.725。30年債利回りは3bp上げ7.29%。ユ ーロ導入後の最高となる7.327%まで上昇する場面もあった。

イタリア10年債利回りは8bp上昇し6.11%。一時は先月28日以来 の高水準となる6.18%まで上げた。

ユーロ圏の各国財務相はこの日、先月の首脳会議で合意されたスペ インの銀行向け緊急融資の条件緩和などにについて協議する。

ドイツ2年債利回りはほぼ変わらずのゼロ。一時はマイナ ス0.013%と、6日に付けた過去最低のマイナス0.018%に近づいた。10 年債利回りは1.33%となった。

原題:Spanish Bond Yields Rise to 7% Before Finance Ministers’ Meeting(抜粋)

◎英国債:10年債は4日続伸、1カ月ぶり低利回り-欧州不安で需要増

9日の英国債市場では10年債相場が4営業日続伸し、利回りは1カ 月ぶり低水準となった。ユーロ圏の金融危機が悪化するとの懸念から、 比較的安全とされる英国債の需要が高まった。

会計事務所BDOが発表した6月の英生産指数は、企業景況感が年 内最低に落ち込み、今後の経済が縮小することを示唆する水準まで低下 した。イタリアとスペインの国債相場は下落。この日のユーロ圏財務相 会合では、両国の借り入れコストを抑制するための十分な措置がまとま らないとの見方が強まった。

ソシエテ・ジェネラルの英国金利戦略部門責任者、ジュリアン・ワ イズマン氏は、「一般的には質への逃避で英国債のパフォーマンスが上 がる」とし、「ドイツが重過ぎる債務負担を抱え込むのではないかとの 不安が市場に広がりかねない」と語った。

ロンドン時間午後4時11分現在、10年債利回りは1.58%で、前週末 からほぼ変わらず。一時は1.558%まで下げ、先月5日以来の低水準を 付けた。同国債(表面利率4%、2022年3月償還)価格はこの 日、0.085上げ121.565となった。

同年限のドイツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)は26b pと、前週の27bpから縮小した。

ユーロ圏各国の財務相はこの日の会合で、先月の首脳会議で検討す ることで合意した銀行への直接資金注入について詳細を詰める。

原題:U.K. Gilt Yields Decline to One-Month Low on Euro Debt Concern(抜粋)

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