ドラギECB総裁、追加利下げの検討を示唆-データ悪化なら

欧州中央銀行(ECB)のドラギ総 裁は9日、景気見通しが必要性を示す場合はECBが一段の利下げの選 択肢を排除しない考えを示唆した。

ドラギ総裁は「状況とデータ、事態の展開を見守る必要がある。そ の上で、政策委員会でどうするかを決める」と語った。欧州議会がブリ ュッセルで開催した委員会で、先週の利下げに続いてさらに金利を引き 下げるかとの問いに答えた。

ECBは5日に主要政策金利を0.25ポイント引き下げ過去最低 の0.75%とした。下限政策金利である中銀預金金利はゼロに下げた。次 回の政策決定会合は8月2日。ソブリン債危機がユーロ圏経済をリセッ ション(景気後退)へと追いやる中で、ECBが景気刺激のために非伝 統的な政策手段を用いざるを得ないとの見方もある。

ABNアムロ銀行のマクロ調査責任者、ニック・コーニス氏は「新 たな景気刺激のためにはマイナスの預金金利または量的緩和の開始が必 要だろう」とした上で、「いずれもECBが現時点で踏み込むことには 慎重な領域かもしれない」と述べた。

ドラギ総裁はECBのスタッフが、インフレ抑制という同中銀の使 命に反しない範囲で「現在の危機を緩和し得る行動方法を模索してい る」と述べた。

利下げ時の考慮

先週の利下げについては、「先に認識されていた経済活動の下振れ リスクが顕在化し、インフレ圧力が一段と抑えられたことを考慮したも のだ」と説明した。

「2012年第2四半期の統計は成長の弱まりと不確実性の高まりを示 唆している」としながらも、「今後のユーロ圏経済については引き続 き、勢いは抑えられるものの段階的に回復するとみている」と述べた。

恒久的救済基金の欧州安定化メカニズム(ESM)による銀行への 直接資本注入を認める計画については、それが年内に実現しなくても、 銀行資本増強の負担が政府の負債となるのは一時的なものだと市場が理 解するため、問題ではないとの考えを示した。「ESMが稼働し次第、 公的債務がESMの資金で置き換えられることを市場は知るだろう」と 述べた。

ドラギ総裁は「ユーロは存続する」とも述べ、通貨同盟が長期的に 健全な土台の上に成り立つための4つの構成要素として、金融市場の統 合、財政統合、経済統合、政治統合の順に挙げた。ここまでの統合に至 るには、ユーロ圏の各国政府が主権を一部放棄することが「不可欠だ」 とし、ユーロ共通債は「このプロセスの最後に来るものだ」との見解を 示した。