円全面高、世界景気懸念でリスク回避-対ユーロ1カ月ぶり高値

東京外国為替市場ではユーロが対ド ルで2年ぶり安値を更新した。きょうからユーロ圏財務相会合が始まる が、首脳会議での合意事項の実施に向け具体的な進展がみられるか不透 明で、ユーロは売りが先行した。

ユーロ・ドル相場は早朝に一時、1ユーロ=1.2251ドルを付け、前 週末に付けた2010年7月以来のユーロ安値を更新。その後ユーロは下げ 渋ったが、1.2300ドル手前で戻りは抑えられる格好となった。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券クレジット市場部外貨商品課 長の塩入稔氏は、財務相会合で救済基金の活用法についての詳細が決ま るのではないかとの話もあるが、首脳会議後にポジティブ・サプライズ としてすでに反応してしまっており、新たなものが出てこなければ材料 にもしにくいと指摘。「こうなってしまうとユーロも何で反転できるの か、完全にきっかけを失ってしまっているような状況だ」と語った。

また、前週末発表の米雇用統計が予想を下回るなど世界的な景気減 速懸念が強まる中、リスク回避の動きから朝方は円買いが先行。一時は 円が主要通貨に対して全面高となり、ドル・円相場も一時、今月3日以 来の円高値となる1ドル=79円43銭を付けた。もっとも、その後は日本 の5月の経常黒字幅が予想を下回ったこともあり、円買いも一服。午後 にかけては79円後半まで円が伸び悩む展開となった。

塩入氏は、全体的な流れはリスクオフ(回避)といっても、ドル・ 円は50銭レンジで動いているだけで、「あまりドル・円自体に関係はな い」と指摘。一方、「ユーロが弱いのは鮮明だ」と話した。

ユーロ財務相会合

ドイツのメルケル首相の経済諮問委員会は、6日夜にウェブサイト に掲載した声明で、「欧州の通貨同盟は単一通貨ユーロの存続とドイツ の経済的安定を脅かすシステミック危機にある」と指摘し、6月にブリ ュッセルで開かれたユーロ圏首脳会議での決定は同地域に「短期的な」 効果しかもたらさないとの見解を示した。

ユーロ圏首脳会議ではスペインの銀行向け緊急融資の条件緩和など について合意。スペインの銀行支援の公的資金による部分には優先弁済 権をつけないことを決めた。ユーロ圏財務相会合は9日からの会合で、 ス ペイン銀行支援の方法やユーロ圏銀行監督の一元化、債券市場での イタリア支援などについて協議する。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、債務危機への対応を めぐっては「具体策や実効性に欠ける」との不安があるという判断だと し、世界的な景気減速懸念も相まって「リスクオン(回避)では走れな さそうな雰囲気が強まっている」と話した。

ユーロ・円相場は早朝に一時、1ユーロ=97円43銭を付け、前週末 に付けた6月5日以来のユーロ安・円高水準を更新。その後は円が伸び 悩んだ。

世界的な景気減速懸念

シカゴ連銀のエバンス総裁は9日、米連邦準備制度理事会 (FRB)が失業率を押し下げるためにより積極的な行動を取る必要が あるとの認識を示した。高い失業率が続けば、長期的に経済的打撃を与 えると警告している。

ボストン連銀のローゼングレン総裁も、欧州債務危機で不確実性が 強まり、雇用と投資が抑制されている中で、米労働市場の低迷によって 家計の支出が鈍化する恐れがあるとの見解を明らかにした。

米労働省が6日に発表した6月の雇用統計によると、非農業部門雇 用者数は前月比8万人増にとどまり、ブルームバーグ・ニュースがまと めたエコノミストの予想中央値(10万人増)を下回った。

一方、中国国家統計局が9日発表した6月の同国の消費者物価指数 (CPI)は前年同月比2.2%上昇と、2年5カ月ぶりの低い伸びとな った。

野村証券金融市場調査部の池田雄之輔チーフ為替ストラテジスト は、「欧州の景気が悪化しているのは明らかだし、このところ中国もよ くないというのがはっきりとしてきている。そこに加えて、欧米中3極 の中で一番しっかりしていると思われた米国もこうした状況となれば、 グローバルな景気懸念につながる」と指摘。「今週は円を買いやすい週 だ」と話した。

日本の財務省が9日発表した5月の国際収支状況(速報)による と、海外とのモノやサービスの取引状況を示す経常収支の黒字額は前年 同月比62.6%減の2151億円だった。一方、内閣府が発表した5月の機械 受注統計では、民間設備投資の先行指標となる「船舶・電力を除く民 需」が前月比14.8%減の6719億円と、2カ月ぶりのマイナスとなり、事 前予想を上回る減少率となった。