味の素社長:提携、M&Aで調味料強化へ-世界企業の基盤固めで

調味料で国内最大手の味の素は、事 業提携やM&A(合併・買収)による調味料事業の拡大を検討し、医薬 事業も強化する方針だ。世界的な食品企業になるための基盤を固める。 伊藤雅俊社長がこのほど、ブルームバーグ・ニュースとのインタビュー で述べた。

同社は、経営計画の中で2016年度までの営業利益目標を1000億円超 とし、グローバル食品メーカーでトップ10入りすることを目指してい る。調味料事業は、世界企業への成長に向けた柱のひとつと位置付けて おり、同事業にも3000億円の資金をM&Aに有効活用していく方針。

伊藤社長は調味料の分野について「世界一上手に作れるように、必 要な技術やブランドなどに関心がある」とした上で、自助努力による成 長だけでなく「提携やM&Aもある」と述べた。また医薬についても 「構造を強化するため、施策を打つ」考えを示した。

調味料事業のM&Aや提携の対象として伊藤社長は、すでに研究開 発で実績のあるうまみなどといった基本的な味覚以外の「食感と香りの 分野に関心がある」と語った。

同社はこれまでも、06年に香港で中国醤油事業などを手がけるアモ イ・フード・グループを買収。07年にもスープなどの原料を製造する米 ニュー・シーズン・フーズを買収し、海外事業を拡げてきた。ブルーム バーグのデータによると、11年度の売上高に占める海外の比率は約34% に上る。

みずほ証券の佐治広アナリストは、味の素について「海外のコンシ ューマーフードの比率を上げることが課題」で、M&Aは「調味料のブ ランドが買えれば一番いいだろう」との見方を示した。

医薬の強化

伊藤社長はまた、医薬事業について他社からの医薬品を導入するな ど、採算性が見込める商品を増やすことで、立て直しを図る考えを示し た。強化策を11月の中間決算時をめどに発表する方針だ。

同社は13年度までに営業利益870億円を目標としているが、医薬事 業の低迷などから、目標達成は「なかなか難しい」と言う。同事業の11 年度の営業利益は、販売低迷を背景に同18%減の約64億円となった。減 益は5年連続。

同事業の課題としては、競争激化にある、透析などを扱う輸液事業 や新薬の開発の強化を挙げ、「安定的に新しい医薬品が出し続けられ る、そういう仕掛けを考えていきたい」と語った。

医療用医薬品は、基本的に2年ごとの薬価改定で販売価格が引き下 げられるため、多くの新薬を市場に送り出すことが必要だが、開発には 多大な費用と時間がかかる。日本製薬工業協会の「DATA BOOK 2012」に よると、国内製薬10社の研究開発費は10年度に平均1262億円。初回の治 験届出から承認までの期間は中央値で92.5カ月となっている。

負担を軽減するため、医薬事業を行う会社は、他社が創薬し途中ま で開発した化合物を買い、自社でさらに開発して製品化する「導入」と 呼ばれる手法が一般的に行われている。伊藤社長は、「新しい医薬品を 開発し続けなければならない」とし、それには「導入の数が少ない」た め、導入の頻度を増やす方針を示した。

味の素の11年度売上高は1兆1973億円。国内食品事業と海外食品事 業の売上高の合計は約6700億円に上り、そのうち調味料は半分弱を占め る。医薬の売上高は全体の6.5%。

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