【今週の債券】長期金利0.8%割れ試す展開、世界景気懸念で低下圧力

今週の債券市場で長期金利は約1カ 月ぶりに0.8%割れを試す展開が見込まれている。欧州債務懸念に加 えて、米国では6月の雇用統計が弱めの内容となり、世界経済の減速 懸念が広がっており、国内金利に低下圧力が掛かりやすいことが背景。

長期金利の指標とされる新発10年債利回りについて、ブルームバ ーグ・ニュースが6日に市場参加者4人から聞いた今週の予想レンジ は、全体で0.75-0.85%となった。0.8%割れは9年ぶり低水準を記 録した6月4日以来となる。前週末終値は0.80%。

6日に発表された6月の米雇用統計では、非農業部門の雇用者数 が前月比8万人増と市場予想(約10万人増)ほど増加しなかった。米 景気の先行き不透明感から、同日の米国市場は債券高・株安となった。 また、前週末のスペイン長期債利回りが危険水域とされる7%を一時 上回った。欧州債務問題への警戒感から、比較的安全な米国債を買う 動きにつながった。国内債相場にも支援材料となる見込み。

こうした中、日本銀行は11、12日に金融政策決定会合を開く。2 日発表の企業短期経済観測調査(短観、6月調査)では大企業・製造 業の景況感が改善しており、今回は金融政策の現状維持を予想する見 方が出ている。ドイツ証券の山下周チーフ金利ストラテジストは、日 銀短観から見ると国内景気は緩やかな回復局面にあるとし、今回の会 合では「追加緩和は見送られる」とみている。

一方、市場では追加緩和観測も根強く、相場の支えとなる見込み。 トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジストは「市場 の期待が強いだけに、日銀が緩和を見送れば、円高・株安に振れやす く、何らかの対応を示さざるを得ないだろう」と指摘した。

30年債入札、波乱なしとの声

需給面では、10日に30年利付国債(7月発行)の価格競争入札 が実施される。前回36回債と銘柄統合されるリオープン発行となり、 表面利率(クーポン)は2.0%。発行額は7000億円程度。

今回の30年債入札について、JPモルガン・アセット・マネジメ ントの塚谷厳治債券運用部長は「現行の金利水準に目が慣れてきて、 前週の10年債入札を波乱なく通過したので、今週の30年債入札も無 難に消化されると思う」との見方を示した。岡三アセットマネジメン トの山田聡債券運用部長も「波乱なし」と予想。「短中期から10年ゾ ーンにかけてじりじりと買い進まれており、30年債は利回り曲線上の 出遅れ感が需要を喚起しそうだ」とも話した。

6日夕までに集計した市場参加者の今週の予想レンジは以下の通 り。先物は9月物、新発10年国債利回りは324回債。

◎JPモルガン・アセット・マネジメントの塚谷厳治債券運用部長

先物9月物143円50銭-144円50銭

10年国債利回り=0.75%-0.85%

「米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和第3弾(QE 3)の思惑が高まり、円高が進めば、長期金利は0.8%割れを目指す。

0.75%程度まで低下する可能性がある。ギリシャの債務交渉など欧州 情勢も焦点となる。日銀は今回の会合では動かないのではないか。景 気回復シナリオを維持する見通し」

◎岡三アセットマネジメントの山田聡債券運用部長

先物9月物143円60銭-144円20銭

10年国債利回り=0.78%-0.84%

「長期金利は0.8%台前半中心。世界経済は引き続き金融緩和へ の依存度を高めざるを得ない状況で、金利水準は低くとも投資家は買 い場を模索している。欧州連合(EU)サミットや欧州中央銀行(E CB)理事会で政策進展するも、スペインやイタリア国債相場は不安 定な状況が続くなど、市場は欧州債務問題の解決に疑心暗鬼だ」

◎大和住銀投信投資顧問の伊藤一弥債券運用部長

先物9月物143円60銭-144円20銭

10年国債利回り=0.79%-0.83%

「FRBのQE3観測が盛り上がれば、日銀による追加緩和期待 も高まり、長期金利は0.8%を割り込み、低下余地を試すとみている。 日銀の緩和期待が高まらなければ、0.8%近辺でもみ合いか。前週の欧 州、英国、中国の追加緩和実施でも、市場では景気を押し上げるとの 見方には至っていない」

◎トヨタアセットマネジメントの浜崎優チーフストラテジスト

先物9月物143円50銭-144円25銭

10年国債利回り=0.77%-0.85%

「金融政策への思惑で相場は底堅い。世界経済は回復の勢いが鈍 り、金利もじりじり低下方向だ。もっとも、景況感の悪化がボトムに 近いだけに、米国の経済指標はポジティブサプライズが生じやすい面 も注意が必要。30年債入札に対する懸念が拭いきれず、入札直前まで 利回り曲線が傾斜化しやすい」

--取材協力 船曳三郎、赤間信行 Editors:山中英典、青木勝

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