【日本株週間展望】じり高続く、相対感で経済堅調-政策期待も強い

7月2週(9-13日)の日本株は、 緩やかな上昇基調が続く見通し。足元の日本経済は不透明感の強い欧 米、中国などに対し堅調さを見せ、欧州情勢の落ち着きから投資家が リスク回避姿勢を弱める中、4-6月に不振だった日本株が見直され つつある。消費税増税をにらむ政策発動期待も支援材料だ。

東海東京調査センターのチーフグローバルストラテジスト、中井 裕幸専務は「世界の景気回復シナリオにはまだ時間が必要だが、日本 だけは消費税引き上げ、解散総選挙をにらみ財政出動による景気対策 が打たれる可能性がある」と指摘。株価のバリュエーションも割安に 放置され、「相場のサイクルは短くなっているが、行き場のないマネー があるのは事実。1-3月と同様、日本株が相対浮上する」と読む。

第1週の日経平均株価終値は9020円75銭と前の週末に比べ

0.2%高、小幅ながら5週連続で上げた。週半ばにかけて6月以降の日 中高値を更新する場面もあったが、週後半は欧州や中国の景気動向、 持ち高整理の売りに押されて上昇率を縮小した。

日本銀行が2日に発表した6月の企業短期経済観測調査(短観) では、大企業・製造業の業況判断指数(DI)が3期ぶりに好転、大 企業・非製造業は4期連続で改善した。日銀が5日に示した地域経済 報告(さくらリポート)でも、2009年10月以来となる全9地域が判 断を上方修正。ほぼ3年ぶりに縮小に転じた米国の供給管理協会(I SM)製造業景況指数、1995年の統計開始以来で最悪となったユーロ 圏失業率など海外とのすう勢の違いを示している。

欧州、中国が利下げ

欧州では5日、欧州中央銀行(ECB)が主要政策金利を従来か ら0.25ポイント引き下げ、0.75%と過去最低水準とした。ドラギ総裁 は会見で、「ユーロ圏経済の見通しに対する下振れリスクが一部顕在化 した」と発言。中国も同日、人民銀行が直近1カ月で2回目となる利 下げに踏み切った。

英キャピタル・エコノミクスのアジア担当エコノミスト、マーク・ ウィリアムズ氏は中国人民銀の決定について「これだけ早く、2回目 の利下げがあると予想していた人はほとんどいない」とした上で、「政 策当局者が第2四半期のGDPデータを入手したところ、経済が当初 予想よりも弱いことが示唆されたためではないか」と推察する。

中国では13日に、4-6月(第2四半期)の国内総生産(GDP) が発表予定。専門家らは6四半期連続で前年同期比の伸び率が鈍化す るとみており、UBSの中国チーフエコノミスト、汪涛氏は4-6月 伸び率が7.6%と09年1-3月以来の低水準になる、と予測した。こ うした海外情勢はやがて日本経済の下押し要因になるが、一方で民 主・自民・公明の3党協議の結果、消費税増税の関連法案が衆院を通 過したことで、今後の景気対策論議が与党内部から浮上している。

補正予算論議、日銀会合

民主党の前原誠司政調会長は5日の会見で、「秋に臨時国会を是非 開き、景気対策やできる限りの議員定数の削減、一票の格差の是正を 含む身を削る努力を実現する中で、国民に信を問う環境をつくってい くべき」と発言。野田佳彦首相とは、補正予算を含めた景気対策をめ ぐる意見交換を十分に行っているとも述べた。

また11、12両日には、日銀の金融政策決定会合が開かれる。バー クレイズ証券の予想では、短観で景気回復シナリオが維持されたとし、 今回の会合で追加金融緩和策を実施する確率は5割。世界的な景気減 速、欧州債務問題、国内金融調節市場の札割れ回避に配慮し、買い入 れ長期国債の残存期間を5年まで延長する可能性があるが、日銀が何 もしない可能性も高まったという。

「1-3月はリスクオン、4-6月はリスクオフで、次のリスク オンに入るきっかけは日銀だ」と話す東海東京調査の中井氏は、打ち 出されるであろう政策の効果は限定的だが、「政府と協調してデフレ対 策をやるというメッセージが市場に伝われば、信頼が回復する」と動 向を注視している。

ギリシャやスペインを中心とした欧州債務問題、米国や中国の景 気鈍化への懸念が強まった4-6月に、世界株式の推移を示すMSC Iワールド指数は約6%下落。ブルームバーグ・データによると、世 界の主要95指数のうち上昇は16にとどまり、日経平均は11%安とス ペイン、イタリアの下落率と同等、2-6%の下げだった米英や香港、 中国より悪かった。日経平均は1-3月に19%高と、主要国指数の中 でも最も上昇しただけに、反動が出た面もある。

業績優位、需給も最悪脱する

ただ、向こう12カ月間の東証1部企業の1株利益成長率は67% と、米S&P500種の11%、英FT100指数の14%、独DAX指数の 52%、中国上海総合指数の25%をしのぎ、震災からの立ち直り局面は 継続。東証1部の株価純資産倍率(PBR)も0.95倍と、なお解散価 値を示す1倍割れの状況で、バリュエーション面から評価余地を残す。

株式需給面でも、1-3月に日本株を1兆3000億円弱買い越した 海外投資家は、4-6月に約4000億円の売り越しに転換。ただ、6月 中旬以降は買い越しの動きも見られ始めた。個人は、6月以降の反発 局面で売り姿勢だが、投資信託は6月4週まで12年ぶりの長期買い越 し記録となる14週連続で買い越し中。年金、企業の自社株買いの動き を示す信託銀行も7週連続で買い越し、下支え役を果たしている。

三井住友アセットマネジメント株式運用グループの生永正則シニ アファンドマネジャーは、「海外投資家、金融機関が半期決算を終えて リスクを取りやすくなっている」と指摘。ちばぎんアセットマネジメ ントの斉藤秀一運用部長も、「日本株は下値を切り上げているため、シ ョート(売り)を仕掛けにくくなっている」とし、需給バランス上は 最悪期を脱しつつあるようだ。

--取材協力:長谷川敏郎、河野敏、広川高史 Editor:Makiko Asai、Shintaro Inkyo

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