金融スキャンダル相次ぐロンドン、拠点としての信用失墜か

ロンドンが世界一の金融センターと しての地位を失うリスクに直面している。銀行による市場での相次ぐ不 祥事でロンドンへの信用が失われつつある。ロンドン金融業界の人員規 模は競合都市よりも速いペースで縮小しているが、ロンドン銀行間取引 金利(LIBOR)の不正操作問題が追い打ちをかけた。

米JPモルガン・チェースによる少なくとも20億ドル(約1600億 円)に上る取引損失、スイスのUBSでの不正取引による23億ドル損 失、英バークレイズなど少なくとも20数行が絡むとみられるLIBOR 不正操作問題は、いずれも過去1年間にロンドンを舞台に発生した。そ の影響は1970年代以来の景気の二番底に見舞われているロンドンに大き な打撃を与えている。

欧州議会の経済・金融問題委のシャロン・ボウルズ委員長はインタ ビューで、「スキャンダルが発覚し、その当事者がロンドンにいると知 るたびに気持ちが沈む。必ずしも英国の責任ではない場合でも身近で起 こるとそう感じる」と述べ、「英国の評判に影響を及ぼしており、低頭 平身でも汚名はすすぐことはできない」と指摘する。

英調査会社Z/Yenグループによると、ロンドンは世界首位の金 融拠点。米保険会社アメリカン・インターナショナル・グループ( AIG)やリーマン・ブラザーズ・ホールディングスの経営危機につな がった取引もロンドンで行われた。LIBOR不正操作問題にイングラ ンド銀行(英中央銀行)や英政府の当局者も関与していた可能性が今週 に入って浮上。ロンドンで最も著名なバンカー、バークレイズのロバー ト・ダイアモンド氏は最高経営責任者(CEO)の職を追われることと なった。欧州債務危機が深刻化する中、ロンドン金融業界は賞与慣習の 見直しや高リスク取引の抑制、規制システムの強化を迫られている。こ れらが10年間に及ぶ金融ブームの過熱をもたらしたとされている。

孤立化

欧州は独自の銀行規制当局の設置を準備しており、英国やロンドン を拠点とする一部企業は規制対象から除外される可能性がある。金融業 界は英国内でも保守党と労働党双方、さらに国民からも従来の政治的支 援を失いつつある。

ロンドンには約250行の外資系銀行があり、為替取引と国際銀行融 資の世界最大の拠点。国際決済銀行(BIS)によると、金利デリバテ ィブ(金融派生商品)の取引高は1日当たり1兆4000億ドルに上る。金 融サービスは英国の輸出のうち最大の割合を占め、税収の12%を占めて いる。

キャロライン・マロニー米下院議員(民主、ニューヨーク州)は6 月19日、下院金融サービス委員会のJPモルガンの損失と「ロンドンの 鯨(くじら)」と呼ばれたトレーダーに関する公聴会で、「大規模な取 引損失はいずれもロンドンで発生しているようだ。その理由が知りた い」と述べた。

イングランド銀行のキング総裁は29日、ロンドンでの記者会見で 「英銀行業界が非常に深刻な問題を抱えていたことは誰もが分かってい る」と指摘。「過剰な水準の報酬や顧客に対する不誠実な対応、最も重 要な金利のうちの一つの不正操作の問題が発覚し、銀行業界の文化を真 に変革する必要性が明らかになった」と語った。

原題:Made-in-London Scandals Risk City’s Reputation as Finance Center(抜粋)

--取材協力:Howard Mustoe、Maria Tadeo、Jim Brunsden.