量的緩和の入り口に立つECB、ゼロ金利で尽きた伝統的手段

欧州中央銀行(ECB)がゼロ金利 の世界に足を踏み入れたことで、米連邦準備制度理事会(FRB)やイ ングランド銀行(英中央銀行)と同じように最終的に大規模な資産購入 に手をつけざるを得ないという観測が高まっている。

ECBは5日の政策委員会で、主要政策金利を過去最低の0.75%に 引き下げるとともに中銀預入金利をゼロに設定した。ドラギ総裁は量的 緩和(QE)のような追加措置の導入に関する質問をかわし、「政策の 選択肢が尽きつつあるという感覚はない」と発言。双方向の「インフレ のリスクを抑えるあらゆる武器の準備が引き続き整っている」と語っ た。

ドラギ総裁はまた、今回の利下げの効果でECBが行っている1兆 ユーロ(約99兆円)余りの資金供給を銀行が利用するコストが軽減され ると強調した。

バークレイズの欧州担当チーフエコノミスト、ジュリアン・キャロ ー氏(ロンドン在勤)は「彼らは伝統的な武器を事実上使い果たした。 中銀預入金利のゼロへの引き下げは、彼らがそれを意図していなくと も、ECBをQEの入り口に事実上導いた」と指摘する。

FRBや英中銀とは異なり、ECBが過去にQEを実施したことは ない。比較的控えめな証券市場プログラムを通じてユーロ圏の国債を購 入する際には、インフレを助長することがないよう国債市場への介入の 影響を不胎化している。証券市場プログラムは今年に入って停止されて おり、ECB政策委のメンバーであるオランダ中央銀行のクトット総裁 は今週発売の雑誌とのインタビューで、「休眠状態」が今後も続くとの 見通しを示している。

当然の選択肢

ECB政策委の一部のメンバーは、ECBが特定の政府の借り入れ コスト押し下げに協力すれば、金融政策と財政政策の境界線があいまい になると主張し、国債購入に反対している。ECBが仮にバランスシー トと通貨供給量の拡大につながるQEに乗り出すことになれば、ユーロ 圏の債券市場全体でより広範囲の資産買い入れに関与する可能性が高 い。

ドラギ総裁は、5日の政策委では「さらなる非伝統的措置に関する 議論」は行われなかったと述べ、「高度に分断された市場で実効性のあ る手段が存在するとは思えない」との考えを示した。

ABNアムロのエコノミストらは顧客向けリポートで、ECBによ るQEプログラムをめぐる観測が高まることになりそうだと予想。ラボ バンクの市場担当シニアエコノミスト、エルウィン・デフロート氏も、 インフレ率がECBの予想を上回るペースで低下する場合、経済情勢が 悪化する中では、そのような政策は当然の選択肢になると分析する。

デフロート氏は「伝統的手段の選択肢をほとんど使い果たした現在 の状況では、インフレに対する下向きのリスクが将来突然表れた場合、 ECBは一体どうするのかという疑念が生じる。何らかの形でQEに踏 み切る必要が出てくるのは間違いない」と話している。

原題:Draghi’s Move to Zero Rates Fuels Talk of QE Entering ECB Armory(抜粋)

--取材協力:Jana Randow、Jeff Black.

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