【クレジット市場】全日空の増資、CDS市場は歓迎-財務強化を好感

クレジット・デフォルト・スワップ (CDS)市場では3日、全日本空輸の社債保証コストが過去8カ月間 で最も大幅に低下した。再上場予定の日本航空に先手を打ち、公募増資 で約2100億円の資金調達を行うと発表したことから、財務強化につなが ると好感されたことが背景。

CMAによると、全日空のCDSは、38ベーシスポイント(bp、 1bp=0.01%)下落し、3月以来の低水準である263.3bpとなっ た。昨年10月以来の大幅な下落を記録した。今年はこれまでに159bp 下落し、その幅はブルームバーグ・データによると、世界の航空会社の CDS平均値のほぼ4倍となった。

今秋にも再上場して多額の資金を調達する日本航空に先んじて全日 空は、同社として過去最大規模の増資に踏み切った。株式市場では、1 株当たり価値の希薄化懸念から3日の株価終値は前日比14%安と、9年 ぶりの水準に急落したが、CDS市場では逆に投資家は増資を好感して いる。

BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、 CDSの大幅低下の理由について、財務基盤が強くなるため「クレジッ トから見れば増資は非常にいいことなので市場が好感している」と述べ た。その上で、「あとは調達した資金をどう使うかだ」として、全日空 の今後の姿勢を見る必要があるとの考えを示した。

航空業界は、首都圏空港の発着枠拡大や格安航空会社(LCC)の 国内路線への就航など、変動期を迎えている。会社更生法適用を受けて 経営再建中の日航は、2012年3月期連結決算で純利益が1866億円と全日 空に大差をつけた。全日空は増資による調達資金を最新鋭旅客機のボー イング787の購入に充てるほか、財務基盤を強化する方針だ。

M&Aには懸念も

全日空が増資に関する説明で、将来的なM&A(企業の合併・買 収)も選択肢のひとつ、と言及したことについて中空氏は「将来のM& Aはある意味ネガティブだ。変にお金を使うのはクレジットマーケット の観点からは良くないのが基本」と懸念を示した。さらに、同社が「過 剰に動くようだと、せっかくスプレッドかタイトニングしたのが、戻っ てくる可能性がある」と指摘した。

全日空財務部の中川信一郎副部長は5日、ブルームバーグ・ニュー スの取材に対し「増資後の成長シナリオは、国際線領域を成長ドライバ ーとしていく中で、コストは抑制しつつ、国際線の特にアジアの需要を 摘み取る」ことで収益を拡大する計画と説明した。

続けて中川氏は同社の実力として「増資なしでも、生み出される営 業キャッシュフローで、投資や有利子負債の削減は可能」と述べた。そ の上で「事業環境が激変する可能性の高いアジアで、その成長機会を取 り込むための戦略的な投資を行うために、財務体質を強くしたかった」 と増資に踏み切った理由を語った。