英中銀のタッカー氏:自ら証言望む、ダイアモンド氏と対決

イングランド銀行(英中央銀行)の タッカー副総裁は、ロンドン銀行間取引金利(LIBOR)に関するロ バート・ダイアモンド氏との2008年の電話について、自らの視点で説明 する意向を示した。英銀バークレイズのLIBOR操作問題の波紋が広 がる中で、自衛の姿勢を示唆した。

3日にバークレイズの最高経営責任者(CEO)を辞任したダイア モンド氏は4日に議会の財務特別委員会で証言。その証言開始の約1時 間半前にタッカー氏は、自身も「できる限り早期に」証言したい意向を 示した。中銀が電子メールで声明を配布した。それによると、タッカー 副総裁は「2008年10月29日のボブ・ダイアモンド氏との電話での会話を 含めイングランド銀行がかかわる出来事について立場を明瞭にするた め、証拠を委員会に提供することを強く望んでいる」という。

バークレイズは3日に2008年の通話についての文書を公表。これは タッカー氏がLIBORの報告金利を下げるようバークレイズにほのめ かしたことを示唆する内容だった。バークレイズは報告金利を調整した ことで、2億9000万ポンド(約360億円)相当の制裁金を当局から科さ れた。

2008年10月30日に当時バークレイズの投資銀行部門トップだったダ イアモンド氏はジョン・バーリーCEO(当時)に宛てた電子メールで 「タッカー氏は政府『高官』から電話を受けていると告げ、当行にアド バイスは必要ないと確信しているが、報告金利がいつも最近のように高 水準である必要はないだろうと言ってきた」と記している。

ダイアモンド氏は財務委員会でこの日、タッカー氏との通話につい てバークレイズの報告金利を下げるようにという当局からの指導だとは 受け止めなかったと述べた。

また、タッカー氏は金利について懸念を示した「政府当局者」の名 前は明かさなかったが、「閣僚の中にバークレイズの報告金利が常に高 いと耳にしている人間がいる。これはバークレイズが資金調達できてい ないかのような印象を与えかねない」と忠告したと解釈したとダイアモ ンド氏は述べた。

野党・労働党の上院議員で、前政権でロンドンの金融街シティーの 担当相だったポール・マイナーズ氏と労働党の影の財務相で当時閣僚だ ったエド・ボールズ氏、ダーリング前財務相、元閣僚のシュリキ・バデ ラ氏はいずれも、タッカー氏に電話したのは自分ではないと述べた。タ ッカー氏は当時英中銀の市場担当ディレクターだった。

オズボーン英財務相はイングランド銀がバークレイズにLIBOR に関して指導したことはないと述べたと、スペクテーター誌が同相を引 用して4日に報じた。

財務委員会の労働党メンバーはタッカー氏の証言を求めていた。委 員会の報道官はこの日の電話取材に対し、タッカー氏の要請について直 ちにコメントすることはないと述べた。

LIBORに関する英中銀での議論は遅くとも2007年11月には始ま っていた。タッカー氏が議長を務めた監督当局とバンカーの会議では、 英国での流動性逼迫の問題が話し合われた。議事録によると、「何人か のメンバーが、緊張の強かった時期のLIBORの設定金利が実際に取 引のあった銀行間金利に比べ低くなっていたと指摘した」という。