腐臭漂うのはバークレイズだけじゃない、辞任劇は続く-社説

先週以来の出来事をおさらいしてみ よう。資産規模で英銀2位のバークレイズは6月27日、ロンドン銀行間 取引金利(LIBOR)の設定の基になる報告で故意に事実と異なる金 利を2005-09年にかけて申告していたことを認め、米英の当局に巨額制 裁金を支払うことになった。7月2日には同行の会長が辞任。

3日に今度はロバート・ダイアモンド氏が最高経営責任者 (CEO)を辞任し、前日に辞意を表明していたマーカス・エイジアス 会長は次期CEOが見つかるまで現職とどまることにした。ダイアモン ド氏は辞任前に従業員宛ての文書で、一部の不正は自身が投資銀行部門 を統括していた時に自分の監視下で起こったことを認めて謝罪した。

他の銀行でも辞任劇が起こるはずだ。監督当局と司法当局は LIBORをめぐる談合の疑いで少なくとも12行の銀行の調査を続けて いる。その対象にはシティグループやドイツ銀行、HSBCホールディ ングス、UBSなどが含まれている。

われわれは銀行バッシングを支持するわけではないし、当局に大手 銀行を分割するよう要求したこともない。しかし、事実と異なる金利報 告によって市場を欺き、それによって他の銀行や顧客の目をごまかすよ うな業界を擁護するのは難しい。

残念なことだが、LIBOR問題は今日の銀行文化のどこかが腐敗 していることを暴き出した。調査によって悪漢が特定され、故意に市場 を操作した人間たちが刑務所に行き、これに手を貸した、または見逃し た上級幹部や取締役会メンバーが辞めさせられればいいと思う。

階段付きの万里の長城

バークレイズとの和解に関して当局が先週公表した資料には、利 益を上げてボーナスにつなげたい銀行のトレーダーと、自行が資金調達 に不自由していないことを市場に納得させた財務担当幹部らの間で利害 が一致したことを示す動かぬ証拠の電子メールが含まれていた。両者を 隔てる「万里の長城」に「階段」がついていたことは明らかだ。

LIBORとそのユーロ版のEURIBORは、銀行間市場で借り 入れるコストを各行が推定して報告した金利を基に決まる。複数の銀行 からの報告値を調整後平均したLIBORとEURIBOの値は住宅ロ ーンや法人向け融資などの金利の基になる。LIBORの水準は銀行セ クターの健全性の目安でもある。報告金利は必ずしも実際の取引に基づ いてはいないので操作の余地は常にあった。

バークレイズで金利を報告する担当のバンカーは自行を健全に見せ かけるため、銀行間市場での借り入れコストが上昇していることを隠す ように命じられ、これに従ったことが上司に宛てた電子メールから分か る。「指示に従い、気が進まないが少しずつ作為を持って私の LIBORを他の銀行と同じ水準にするようにします」とこのバンカー は書いている

「君のためなら」

バークレイズのトレーダーが、金利デリバティブ(金融派生商品) の決済日にLIBORを特定の水準にすることを求めることもあった。 自分のしている取引の利益を高めるためだ。米商品先物取引委員会 (CFTC)が公表した資料にはバークレイズのニューヨーク在勤のト レーダーとロンドンの金利報告担当バンカーのやり取が含まれている。 トレーダーが金利について頼みごとをして、「**してもらえると助か る」と言うと、バンカーは「君のためなら」と応じている。

バークレイズのトレーダーらは他行の行員とも談合していた。イン スタントメッセージでバークレイズのあるトレーダーは他行のトレーダ ーに「秘密を守れるなら仲間に入れてやるよ」と誘っている。

LIBORシステムは1980年代からさして変わらない方法で運営さ れている。一部メディアが2008年に操作の証拠を見つけた後も、運営機 関の英国銀行協会(BBA)は改善措置をほとんど取らなかった。ブル ームバーグが提唱する最善の解決策は、LIBORを廃止し、実際の貸 し借りのデータに基づいた新指標を作ることだ。銀行が借り入れコスト について真実を述べる行為に依存しない方法だ。

今回の不祥事で最大の悲劇は、かかわった人々に倫理も自制も見ら れないことだ。米JPモルガン・チェースの巨額損失問題などに加え、 銀行業界の自己規制は全くあてにならないという証拠が、さらに積み上 がっていく。

原題:Barclays Case Shows Something Rotten in Bank Culture: View (2)(抜粋)