バークレイズ去るダイアモンド氏、投資銀行分割への前兆か

ロンドン銀行間取引金利 (LIBOR )の不正操作をめぐるスキャンダルで英銀2位バークレ イズの最高経営責任者(CEO)を追われたロバート・ダイアモンド氏 は、1997年に経営状態が先細りだったバークレイズの証券部門の責任者 を引き継いだ際、この事業を世界のトップレベルに成長させると誓っ た。

ダイアモンド氏はそれから15年かけて、昨年の利益が47億ドル (約3750億円)に達する世界有数の投資銀行に育て上げた。しかし、バ ークレイズがLIBORを不正に操作しようとした事実を認めたこと で、ダイアモンド氏の成功が結果的にあだとなり、投資銀行分離の動き が加速する事態になりかねない。ダイアモンド氏に続き、ジェリー・デ ルミシエ最高執行責任者(COO)も3日辞任した。

バークレイズについては、米英の監督当局が内部改革の必要性を指 摘しており、ダイアモンド氏が去るということは、同行が事業再編に追 い込まれる前兆となる可能性がある。LIBORスキャンダルによっ て、英国内では預金者と納税者を守るために銀行の消費者向け金融部門 と投資銀行部門との間により高い垣根を設けるよう求める政治圧力が高 まりつつある。

ユナイテッド・ニューズ・アンド・メディア・グループの元CEO で、英上院の経済問題委員会のメンバーであるクライブ・ホリック氏は 「立ち止まって何が起こったのかを落ち着いて検証し、事業の分割ない しは垣根というこの問題を再び検討する格好の機会が訪れたようだ」と 話す。

事業分割のコスト

全世界で360兆ドル(約2京8700兆円)余りに相当する証券の指標 として利用されるLIBORを不正に操作したとして、バークレイズは 先週、過去最大となる2億9000万ポンド(約362億円)の課徴金の支払 いに同意することを迫られた。ダイアモンド氏は97年から2010年までの 間、投資銀行CEOとしてLIBORの数字が提出される部門を統括し た。

英財務省は、消費者向け金融と投資銀行業務との間にファイアウオ ール(防火壁)の構築を求める銀行独立委員会(ICB)の勧告を実施 に移す計画だ。イングランド銀行(英中央銀行)のキング総裁は6月29 日、LIBORスキャンダルの発覚は、ICBの提案をできるだけ早く 実行すべきだという主張の正しさを裏付けると語った。

カナコード・ジェニュイティー(ロンドン)の欧州調査責任者、ガ レス・ハント氏は「バークレイズの経営陣は事業分割の複雑さとコス ト、予想されるLIBOR関連の米国での賠償責任の規模、そして自衛 手段について人々に説明を始める必要がある」と指摘。バークレイズに は英国の消費者向け銀行部門のように垣根や分離の対象となり得る資産 が存在するとの見方を示している。

政治的な圧力

米国人であるダイアモンド氏は、バークレイズの投資銀行事業拡大 の立役者であり、昨年末の従業員数は2万4000人と責任者を引き継いだ 当時の3倍余りの規模に成長した。今年3月までバークレイズ・キャピ タルの名前で知られていた投資銀行部門は昨年、バークレイズ全体の約 半分に相当する29億7000万ポンドの税引き前利益を稼ぎ出し、ブルーム バーグのデータによれば、世界の合併・買収(M&A)の今年の助言業 務番付で5位にランクされている。

ロンドンに拠点を置くマタリー・アセット・マネジメントのファン ドマネジャー、ジョージ・ゴッドバー氏は「マイナープレーヤーを一流 の投資銀行に躍進させる仕事でダイアモンド氏は信じられないほど成功 を収めた。しかし、バークレイズから投資銀行部門の分離を求める政治 的な圧力が今後高まる可能性が大きい」と述べている。

原題:Diamond Departure Raises Speculation of Investment-Banking Split(抜粋)

--取材協力:Ambereen Choudhury、Kevin Crowley.