ユーロ下落、欧州情勢の不透明感根強い-ドル・円は79円後半

東京外国為替市場ではユーロが下 落。対ドルでは1ユーロ=1.26ドル台を割り込んで推移した。欧州安定 化メカニズム(ESM)などの要支援国救済の枠組みに不透明感が残る ことから、ユーロの戻りは限定された。

ユーロは朝方に付けた1.2609ドルを上値に、午前の取引で一 時1.2582ドルまで下落。午後は1.25ドル台後半で小幅なレンジ内での値 動きに終始し、午後3時40分現在は1.2593ドル付近で推移。また、対円 でも1ユーロ=100円67銭から、一時100円23銭まで下落し、同時刻現在 は100円45銭付近で取引されている。

IGマーケッツ証券の為替担当アナリスト、石川順一氏は、ESM は補完機能としては重要なスキームだが、欧州債務問題の「病巣」を取 り除くためには、将来の財政統合とその糧となるユーロ共同債の導入が 必要で、その議論が進まない限りは危機の抜本解決は見込めないと指 摘。そうした中で、「なかなかリスクオン(選好)になり切れない」と いうところがユーロの上値を抑えていると説明している。

一方、ドル・円相場は朝方に付けた1ドル=79円89銭から、午前10 時半すぎには79円59銭までドル安・円高方向に振れたが、午後は午前に 形成された値幅30銭の範囲内で推移。午後3時40分現在は79円77銭付近 で取引されている。前日の海外市場では、5月の米製造業受注が市場の 予想を上回る伸びとなったことに加え、各国中央銀行の景気下支え策へ の期待感もあり、米株のほか原油や金などの商品市況も上昇してリスク 回避ムードが後退する中、79円93銭まで円安が進む場面も見られた。

ESMに不透明感

フィンランド政府はスペインの銀行救済の融資について、担保差し 出しを求める姿勢を強硬に維持しているが、ESMが流通市場で国債を 購入する権限についても反対の姿勢を示しており、ユーロ圏諸国の全会 一致の賛成が必要だと主張している。

これに対し、ドイツのメルケル首相は、フィンランドの立場を「尊 重しなければならない」と言明。半面、欧州連合(EU)のファンロン パイ大統領は、ESMに関する決定への拒否権を個々の国が持つことは ないと述べている。

三菱東京UFJ銀行のシニアカレンシーエコノミスト、武田紀久子 氏(ロンドン在勤)は、EU首脳会議で打ち出されたESMによる直接 資本注入に関しては、付帯条件などもあり、「よく読み込めば、そんな にはしゃぐような内容ではない」と指摘。スペインとイタリアの国債利 回りは低下軌道を維持しているものの、低下基調も一服しており、「ま さに楽観続かず」といった状況だとしている。

あす5日には欧州中央銀行(ECB)の政策決定会合が控えてお り、ブルームバーグがまとめた市場予想によると、政策金利が現行の 1%から過去最低となる0.75%に引き下げられる見通し。

IGマーケッツ証の石川氏は、今回のECB会合では、利下げが見 込まれており、株式市場で景気下支え措置として評価されれば、ユーロ の下支え要因になると指摘。ただ、0.25%ポイントの利下げは市場に織 り込み済みといった感があり、予想通りの利下げ幅にとどまった場合 は、「失望感からユーロ売りにつながる可能性がある」とみている。