三井物:石油取引部門をシンガポールに全面移管、アジア需要取り込む

三井物産は石油取引を手掛ける部 門を8月に東京の本社からシンガポールに全面移管する。アジアの石油 取引の中心地に拠点を置くことで、拡大する同地域の需要を取り込むの が狙い。石油事業部の石川重男部長がこのほどブルームバーグ・ニュー スとのインタビューで明らかにした。

ガソリンや航空機用燃料などを取り扱う部門はすでに移管してお り、8月1日までに重油やコンデンセート(超軽質原油)、ナフサなど を取り扱う部門を移管して本格的に活動する予定。昨年5月に設立した ミツイ&カンパニー・エネルギー・トレーディング・シンガポール (METS)の人員を日本人約20人を含めた80人強の体制にする。

石川部長は「2020年ごろまでの世界の石油製品需要の伸びが十数% であるのに対してアジアは30%程度伸びる」と指摘。火力発電所や船舶 用の燃料となる重油を中心に今後10年での取扱量を3割以上拡大するこ とを目指すという。現在のMETSの取扱量は日量50万-60万バレル。

12年3月期まで3期連続赤字だった米完全子会社で石油製品販売を 手掛けるウエストポート・ペトロリアム(WPI)も連携させ、米国で 調達した重油をMETSがアジアで販売する体制を築く。WPIは米国 でのガソリンや航空機燃料などの販売を7月中に取り止め、重油の取り 扱いに特化する。保有する石油タンクの貯蔵能力はピーク時に比べて3 割削減し、人員も減らした。

米国ではシェールガスと呼ばれる安価な発電燃料の普及に伴い、重 油の需給が緩和。一方、アジアでは、東日本大震災後の原発の稼働停止 に伴う日本の重油需要の増加に加えて、同域内の製油所の競争力強化の ため重油よりも採算性の高い石油製品の製造を優先する動きから、供給 量は制約を受けている状況。

シンガポールには欧米の石油メジャーや中国最大のエネルギー会社 ペトロチャイナなど有力な石油関連企業が拠点を構える。伊藤忠商事が 日本人15人を含む70人を抱える子会社で石油取引事業を展開しているほ か、住友商事も現地に子会社を持つなど他商社もシンガポールを重要拠 点と位置付けている。シンガポール政府の統計では2010年の商品・エネ ルギー関連企業の勤務者は1万人以上と06年に比べて40%増加した。

三井物産は07年にシンガポール子会社でのナフサ取引に関する不正 な損失隠ぺい行為の発生を受けて拠点を閉鎖するなど同国での石油取引 事業を一度大幅に縮小した経緯がある。ただ、石油取引を今後伸ばして いくためにはシンガポールでの拠点設置の再開が不可欠と判断した。

--取材協力:Yuriy Humber. Editors: 崎浜秀磨, 杉本等

    最新の情報は、ブルームバーグ端末にて提供中
    LEARN MORE