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【クレジット市場】CDSが示す大手邦銀の相対優位-欧米銀格下げで

欧州債務危機の長期化を受け海外大 手金融機関が格下げされる中、三菱東京UFJ銀行など大手邦銀の信用 力が相対的に高まっている。この1カ月間の社債保証コスト(CDSス プレッド)は上昇が目立つ外国勢を尻目に大きく低下した。邦銀勢は優 位な状況を生かした収益拡大に意欲を見せている。

米格付け会社ムーディーズは21日、クレディ・スイス、モルガン・ スタンレーなど15社の格付けを引き下げた。三菱東京UFJ銀行、三 井住友銀行、みずほコーポレート銀行(CB)の邦銀3行は従来の格付 けAa3-A1を維持。この結果、15社のうち邦銀と同等以上の格付け を持つ金融機関数は11から2に激減した。

BNPパリバ証券の中空麻奈チーフクレジットアナリストは、ムー ディーズによる一連の投資銀行中心の格下げが終わり、「大手邦銀が市 場で相対的に優良銀行としてみられるようになった」と指摘する。その 上で、「CDS市場ではそれが反映されている」と分析した。

CDSのデータを提供するCMAによると、5年物劣後債を保証す るCDSのスプレッドは25日時点で、三菱東京UFJ銀が237.6bp、 みずほCBが290.4bp、三井住友銀は249.9bp。3行の平均は259.3 bpと1カ月間で約41bp低下した。

信用力逆転

一方、ムーディーズに格付けを3段階引き下げられたクレディSは

6.605bp上昇して330.760bp、2段階下げのドイツ銀行は1.505bp 上昇の325.335bpとなっている。例えば、1カ月前にクレディSより 大きかったみずほCBのCDSスプレッドは、25日時点ではクレディS を40.3bp下回る290.4bpまで低下し、信用力は逆転した。

BNPパリバの中空氏は邦銀について、欧米の金融機関がサブプラ イム問題や欧州危機に直面する中、「大胆なリスクを取らない経営形態 が、結果的に功を奏した」とみる。ムーディーズの山本哲也シニアアナ リストは「欧米金融機関に比べ強い預金基盤がある」と評価する。

信用力が高まった今が邦銀にとって好機とみる専門家もいる。SM BC日興証券の中村真一郎アナリストは「欧州系が貸し渋る中、3メガ は特にアジアで確実に海外融資を伸ばし、良質の案件を選ぶことで与信 費用を抑える努力もしている」と指摘する。「三菱UFJとみずほは今 期、資金利益を増やすだろう」とみている。

「実需」の海外強化

邦銀3メガは現在、経営体力が弱まり資産圧縮に迫られている欧米 銀行などからの債権買収などを進めている。三井住友FGは英銀RBS の航空機リース部門を買収。みずほはドイツのウェストエルビー銀行か らブラジルの中堅銀行を買い取ることで合意した。三菱UFJも米地銀 の買収などに関心を示している。

全国銀行協会の佐藤康博会長(みずほFG社長)は5月17日の会 見で、邦銀のあるべき姿は、これまでの欧米投資銀行のように金融商品 取引などを中心に収益を獲得する構造ではなく、実需を伴った事業だと 強調。「関接金融の形で金融が発達してきた日本にとって得意分野だ」 と海外業務も含め融資事業の拡大に意欲を見せた。

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