ダイモン氏の高い教訓、デリバティブは資本の代替にならず

米銀JPモルガン・チェースのジェ イミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)が高い自己資本比率を義務 付ける規制に抗議していた昨年、同行は1兆ドル(約79兆円)余りのロ ーンや債券をデリバティブ(金融派生商品)を活用しヘッジしていた。

これが20億ドル(約1600億円)の損失につながった。JPモルガン がクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)に頼る代わりに、昔か ら銀行がしていたようにローン債権の不良化に備えて十分な資本準備を 積んでいたら、こんな損失を生じさせることはなかったろう。米連邦準 備制度理事会(FRB)のデータによると、100年前の米銀の株主資本 は総資産の20%程度を占めていた。現在は9%。JPモルガンの場合、 前四半期は7%だった。

JPモルガンは昨年末時点で、想定元本ベースで5兆8000億ドル相 当の信用デリバティブを売ったり買ったりしていた。スタンフォード大 学のアナト・アドマティ教授(金融学)は、JPモルガンは前世紀の銀 行のように資本を積んでいればよかったのだと言う。

銀行資本についての著書のある同教授は「ローンによる損失でもそ の他のリスクからの損失でも、真の備えになるのは株主資本だけだ」と 述べ、「ダイモン氏ら銀行のCEOらはレバレッジ低下を迫る規則に反 対し、借り入れや投機を増やせるようにデリバティブを使ってリスクを 隠そうとした」と指摘した。

JPモルガンのバンカーらが1990年代に発明したCDSはデフォル ト(債務不履行)に対する保険。理論上は、これを購入すればローンの 貸し倒れリスクの一部を他者に移転できることになり、資産に対して保 持しなければならない資本の額を減らすことができる。

JPモルガンは3月末時点で7210億ドルのローン資産に加え、社債 および住宅ローン担保証券4040億ドルを保有していた。ヘッジファンド にデリバティブ戦略を助言するTFマーケット・アドバイザーズの創業 者、ピーター・チアー氏は「JPモルガンのローンと社債のポートフォ リオは巨大だ。景気悪化に備えて信用リスクをヘッジしたいと考えたの だろう」と話す。

しかし、ロンドンのシティー大学の客員教授でリスク管理に関する 著書のあるケビン・ダウド氏は「ヘッジというものは多数の仮定に基づ いており、そのいずれかが外れると、損失に対するバッファーは失われ る」と指摘。デリバティブを使ったヘッジを資本の代わりにするべきで はないと述べた。

原題:Dimon $2 Billion Blunder Shows Swaps No Substitute for Capital(抜粋)

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