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ユーロが対ドルで10年7月来安値圏、域内債務問題で景気懸念

東京外国為替市場では、ドルが下 落、ドル・円相場は1ドル=78円台後半と、2月以来の安値圏で推移し た。欧州債務危機を背景にしたリスク回避の動きに加えて、米経済指標 の弱含みもあり、ドル売り・円買いが優勢となった。

ドルは朝方に79円13銭まで値を戻していたが、再び79円台を割り込 み、一時は78円71銭と、2月16日以来の安値を付けた。午後4時10分現 在は78円80銭付近で取引されている。

みずほコーポレート銀行国際為替部のマーケット・エコノミスト、 唐鎌大輔氏は、ドル・円相場の下落について、欧州発の懸念材料を背景 に通常はドル買い、円買いになるが、前日は米国の住宅関連指標が悪い 内容となり、「米固有の失点が入ったので、79円割れにつながった」と 説明。その上で、週内に発表される米雇用統計が悪い結果になると、 「大変危険な状態になる」とみている。

この日の米国時間には、1-3月の実質国内総生産(GDP)改定 値のほか、給与明細書作成代行会社のオートマティック・データ・プロ セッシング(ADP)エンプロイヤー・サービシズが給与名簿に基づい て集計した5月の米民間部門雇用者数などの経済指標が発表される。

ユーロ・ドル相場は午前の取引で一時1ユーロ=1.2358ドル と、2010年7月1日以来の水準までユーロ安・ドル高が進んでいたが、 午後の取引にかけてはドルが弱含み。一時は1.2408ドルまでユーロ高・ ドル安方向に振れた。ドルは主要16通貨の多くに対して下落が目立っ た。

一方、ユーロ・円相場は正午前に一時1ユーロ=97円36銭と、1 月17日以来の水準までユーロ安・円高が進行。その後はユーロが下げ渋 りとなり、午後は97円台後半で取引された。

欧州危機で世界的にリスク回避活発

30日の欧州債市場では、ドイツ国債が買われ、2年債利回りは初め てゼロとなった。また、5年、10年、30年債の利回りも過去最低を付け ている。一方で、国内の銀行問題を抱えるスペイン国債は売られ、同5 年債の利回りは昨年11月以来で初めて6%を突破。入札が不振となった イタリア国債も下落し、10年債の利回りは4カ月ぶりの高水準となっ た。

バークレイズ銀行チーフFXストラテジストの山本雅文氏は、今は 懸念が市場を動かしており、「ギリシャにしろスペインにしろ、保有リ スクを感じる人が大きくなってきて、投機筋が政策対応を催促するとい うよりは動かなければならない人達が動いているというところもある」 と指摘。目先こうしたリスク回避の動きに歯止めがかかる見通しは立た ず、為替ではユーロや豪ドルなどが売られる一方、「他通貨を売る過程 で反対に何を買えばいいのかとなるとドルと円」になると話す。

欧州の信用環境悪化で、逃避資金は海外の債券市場に流れ込んでお り、この日のアジア時間で米10年債利回りが1.6%を割り込んで過去最 低を更新。また、オーストラリアで2年債利回りが過去最低の水準に低 下し、10年債の利回りは3%を割り込んでいるほか、日本の10年債利回 りも03年7月1日以来の水準に落ち込んでいる。

三菱東京UFJ銀行のシニアカレンシーエコノミスト、武田紀久子 氏(ロンドン在勤)は、ユーロ圏の債務危機が長期化する中、ドイツの 2年債利回りがついにゼロ%になるなど、「いわゆる質への逃避の動 き」が進んでいるとし、米国債などにも逃避資金が流れて、「緊張感の ある相場」になっていると指摘。ユーロはやはり方向的には下方向だと いい、「この状況が一足飛びに好転しないことは明らか」だとしてい る。

--取材協力:小宮弘子、大塚美佳 Editors: 持田譲二, 青木 勝

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