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ニッケル、インドネシア輸出規制で先高感-2割の上昇余地との見方も

ステンレス鋼の原料となるニッケル 地金の先物価格に先高感が出ている。ニッケル鉱石の主要産出国である インドネシアが未加工の鉱石の輸出規制を決めたことが要因だ。市場関 係者からは価格が年後半にかけ現在から約2割上昇する余地があるとの 見方が出ている。

ブルームバーグ・ニュースが市場関係者16人を対象にロンドン金属 取引所(LME)のニッケル地金の先物価格(3カ月)の見通しを調査 した結果、年内の高値予想の中央値は1トン当たり2万ドル。30日の終 値1万6300ドルから23%高い水準だ。

インドネシア政府は未加工の鉱石の輸出について、今月6日から原 則禁止としていたが、同国内で加工・製錬の工場建設を予定している企 業に対しては20%の関税を課せば輸出を認めるとの方針に転換した。

ニッケル鉱石の生産でインドネシア2位のアネカ・タンバンで販売 部門のシニア・マネージャーを務めるスクリスティヤワン氏は今回の輸 出規制によって同国からのニッケル鉱石の輸出量が今年下半期に最大で 2割、前年同期に比べて落ち込むとの見方を示している。

米モルガン・スタンレーもインドネシアのニッケル鉱石の生産が13 年には4年ぶりに減少すると予測し、12年に前年比4.9%増だったニッ ケル鉱石の世界供給量は、0.2%増と横ばいにとどまるとみる。インド ネシアのニッケル鉱石の輸出量のうち約7割が中国、1割強が日本向け となっている。

ただ価格への影響が出てくるのは10-12月期になりそう。中国がニ ッケル鉱石の在庫を豊富に抱えており、品薄状態が浮上するのにしばら く時間がかかるとみられるためだ。中国は禁輸が予定されていた5月に 先立って4月にはインドネシアから334万トンのニッケル鉱石を調達し 前の月との比較では15%増と単月として過去最高だった。

英バークレイズは中国のニッケル鉱石の港湾在庫は1200万トンと推 測。消費量の3カ月の在庫を抱えていると米シティグループのデービッ ド・ウィルソン・アナリストは指摘する。

30日のLMEニッケル価格は年初来安値を更新し、欧州債務危機の 影響による世界景気の減速懸念から2月7日の高値からは25%下落した 水準となった。年初来の騰落率は14%の下落と主要な非鉄金属の中では 最も悪いパフォーマンスだ。国際ニッケル研究会(INSG)のニッケ ル地金の需給予測では、12年は5万4000トンの供給過剰と前年の2 万7000トンから過剰幅が拡大する。

ニッケル鉱石はステンレスの主原料となるフェロニッケルの製造に 使われる。国内のフェロニッケル生産大手は大平洋金属、住友金属鉱 山、日本冶金工業の3社。今回のインドネシアの輸出規制の発表を受け て原料調達面での影響が懸念される一方、ニッケル価格の上昇につなが れば製錬会社にとってはメリットにもなる。

大平洋金属は今期のニッケル価格の前提を通期で1トン当たり2 万283ドル、住友金属鉱山は1万7637ドルと想定している。LMEのニ ッケル価格が前提価格を上回れば各社の業績押し上げ要因となる。

--取材協力:Agnieszka Troszkiewicz. Editors: 室谷哲毅, 崎浜秀磨

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