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米国債:10年債利回りが過去最低、欧州懸念で強まる安全志向

30日の米国債は10年債利回りが過去 最低を更新。欧州の信用環境が悪化、投資家は米国債に安全性を求め た。

10年債利回りは1.6085%と、昨年9月23日に記録したこれまでの最 低1.6714%を下回った。スペインが国内銀行の資本増強で苦戦している ほか、イタリア債下落も影響した。イタリア債は入札の発行額が目標上 限を下回ったことを手掛かりに下げた。

バークレイズの金利戦略共同責任者マイケル・ポンド氏は、「今も 続く米国債の上昇は質への逃避を表しており、米国債以外に安全とされ る資産があまりないことから余計に買いを集めている」と述べ、「欧州 情勢に進展が見られないことから米国債市場では不安が広がっている」 と続けた。

ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによると、午後4時27分現 在、10年債利回りは前日比13ベーシスポイント(bp、1bp =0.01%)下げて1.61%。同年債の価格(表面利率1.75%、2022年5月 償還)は1 7/32上昇して101 9/32。

リターン目当てではない

米10年債利回りはドイツやオーストラリアなど上位格付けのソブリ ン債の平均利回りより22bp高い。ドイツの2年債利回りは一時ゼロま で落ち込んだ。米2年債利回りは0.27%となっている。

米ブラックロックの債券責任者、ピーター・フィッシャー氏は「投 資家は安全性の高い資産への投資を望んでいる」と述べ、「リターンを 目当てに米国債やドイツ債のどちらかを購入しているわけではない」と 続けた。

米10年債利回りは金融危機が深刻化する前の2007年6月には5.3% をつけていた。過去20年間の利回り平均値は4.96%となっている。バン ク・オブ・アメリカ(BOA)メリルリンチのデータによると、米国債 の3月末からこれまでのリターンは2.6%。昨年は9.8%だった。

恐怖感が材料に

FTNファイナンシャルのチーフエコノミスト、クリス・ロー氏に よると、10年債利回りは1.5%まで低下する可能性がある。同氏は「こ の日の動きは変動が大きく、そのほぼすべてが恐怖感に突き動かされた ものだった」と指摘、「欧州では危機対応をめぐる動きが加速している が、同時に欧州指導者は解決策をめぐって急速に手詰まり状態に陥りつ つあるように見える」と述べた。

10年債と同年限インフレ連動債(TIPS)の利回り格差は2.06ポ イントと、5月17日以来の最小となった。

利回り格差

2年債と30年債の利回り格差は2.45ポイントと、2009年1月以来の 最小に縮小した。

バークレイズのポンド氏は、「投資家は利回りを求めて償還期限の 長い国債にも手を伸ばしている」と述べ、「これが通常の質への逃避な らば償還期限の短い国債に買いが集中していたことだろう」と分析す る。

10年債利回りは5月18日の週まで9週連続で低下。これは1998年以 降で最長となる。10年債が前回9週続伸となったのは1998年10月2日終 了週までの9週間。当時はアジア各国の通貨下落やロシアのデフォルト (債務不履行)、ロングターム・キャピタル・マネジメント (LTCM)の破綻で安全を求める動きが強まった。

FRBのデータによると、プライマリーディーラー(政府証券公認 ディーラー)の米国債保有額は16日時点で1080億ドルと、過去最大とな った。

米国債は過去最も割高とされる水準に近づいていることが示唆され ている。FRBのエコノミストが開発した金融モデルに基づくタームプ レミアム(期間に伴う上乗せ利回り)はマイナス0.85%と、最も割高な 水準となっている。マイナスのタームプレミアムは適正水準を下回る利 回りでも投資家が積極的に受け入れていることを意味する。

原題:Treasury Yields Tumble to Records as Europe Spurs Refuge Demand(抜粋)

--取材協力:Daniel Kruger、John Detrixhe.

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