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EU:救済基金による銀行直接支援やユーロ共同債に前向き

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欧州連合(EU)の行政執行機関、 欧州委員会は経営難の銀行に対するユーロ圏基金からの直接支援やユー ロ共同債導入への「ロードマップ」作成を呼び掛け、欧州危機への対策 をめぐりドイツと異なる姿勢を示した。

欧州委は恒久的な救済基金である欧州安定化メカニズム(ESM) が各国の政府を通さず銀行に直接資金を注入することを提案、スペイン 政府に同調した。

バローゾ欧州委員長は30日ブリュッセルで記者団に、「柔軟性と行 動の迅速さが鍵になる」と述べ、「制度の柔軟性ばかりでなく、いわゆ るファイアウォール、今のケースではESMの反応の迅速さについての 柔軟性も求める」と説明した。

救済基金のより自由な活用にはドイツやフィンランド、オランダな ど資金を出す側の国からの抵抗がある。ドイツは姿勢軟化の兆しを見せ ず、ザイベルト独首相報道官はベルリンで記者団に、「欧州の救済基金 による直接の銀行資本増強についてのドイツの姿勢は周知されている」 と述べた。

預金保険プログラム

欧州委は銀行支援の案とともに、欧州の預金保険プログラムの整備 も呼び掛けた。財政難の政府と経営難の銀行の連関を断つことが目的。 欧州委はまた、共同債の発行について具体案を準備しつつある。スペイ ンに財政赤字削減のためより多くの時間を与える方針も示唆した。

救済基金に関する現在の計画では、5000億ユーロ規模のESMは銀 行支援資金を各国政府を経由して提供し、最終的に政府がこれを返済す ることになっている。欧州委はスタッフがまとめた政策提言で、銀行の 資本増強に救済基金を活用することは「想定可能だ」とし、それによっ て「銀行と国との関係を断つことができる」との見解を示した。直接の 資本増強についての議論はESMが発足した7月以降に始まると付け加 えた。

基金による銀行への直接の資金注入にはドイツを中心に反対が根強 い。支援を受ける銀行がある国の政府が、歳出削減や経済運営へのEU の関与などの支援条件を回避できることにつながると考えられるため だ。

欧州委はまた、銀行監視をより一体化した「銀行同盟」を呼び掛 け、他国向けのエクスポージャーを持つ銀行の資産を整理し不良資産を 分離するための基金を欧州諸国の資金で創設する案も示した。

適切なリスク認識

また、危機解決につながる一つの要素は「適正で透明なリスク認 識」であると分析。欧州中央銀行(ECB)の1兆ユーロ規模の長期資 金供給の結果、一部の銀行は依然としてその資金を国債購入に充て銀行 と財政難に陥っている政府とのつながりを深めているとも指摘した。

ECBの「緩和的な」金融政策と1%という政策金利の低水準によ り、景気てこ入れの余地は限られるとの認識も示した。

提言はまた、財政難国が計画している歳出削減を後退させれば市場 に罰せられるとの見解も示し、「リスクプレミアムが高く、さらに上昇 する可能性を抱える国は、マクロ経済状況が予想以上に悪化した場合 も、名目的な財政目標から大きく乖離(かいり)する余地はない」と論 じた。

ただ、レーン欧州委員(経済・通貨担当)は、スペインの財政赤字 をEU協定が定める上限である国内総生産(GDP)の3%まで圧縮す る目標達成の期限を1年先送りし2014年とすることを認める可能性は示 唆した。ラホイ政権が2013-14年の「堅実な」予算計画を提示すること が条件だとレーン委員は記者団に語った。

欧州委は今回の危機を受けて、各国の財政を監視する権限を得た。 提言は「財政再建策に対する信頼性が最も重要な要素の一つだ」として いる。

共同債

ユーロ共同債についてはドイツの経済諮問委員会が提言した債券償 還基金や欧州委が昨年示した「安定債」などのアイデアがあるが、欧州 委はより具体的な提案の取りまとめに取り組んでいる。

この日の提言では、赤字制限条約の承認や各国財政への監視強化を 盛り込んだ2つの法律の採用が、共同債発行への道筋を整えるだろうと 指摘。「発効済みや整備中の新しい経済統治の枠組みが成功裏に導入さ れれば、共同債発行の前提条件を満たす方向へ大きく前進する公算だ」 と解説した。

バローゾ委員長は、欧州委は「ロードマップとタイムテーブルを求 めているだけだが、今後の措置について早期に確言すればユーロについ て後戻りがないことや通貨圏の結束を明確にすることができる」と語っ た。

原題: EU Challenges German Crisis Stance With Pleas on Bank Aid, Bonds(抜粋)

--取材協力:Rebecca Christie、Jim Brunsden、Kati Pohjanpalo、Tony Czuczka、Simone Meier、Simon Kennedy.

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