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富士重社長:カムリ受託で年内にトヨタの意向確認、米の生産方針で

トヨタ自動車と資本・業務提携す る富士重工業の吉永泰之社長は、米国生産能力の不足問題について、 受託生産する「カムリ」の今後の生産方針をトヨタ側に年内に確認し た上で、具体的な対応策を検討していくことを明らかにした。

吉永社長は29日のインタビューで、米国工場でのカムリ生産につ いて、トヨタ側に対して「この状態を変えずにでいいですね」と、基 本的に契約更新を前提に確認する意向を示した。受託生産契約はモデ ルチェンジごとに更新しており、現在の受託生産は昨秋、新たな契約 で開始したばかり。モデルチェンジは平均で5年程度のサイクルで行 われる。

富士重の米インディアナ工場では年間生産能力の約3分の1に当 たる10万台をトヨタのカムリ受託生産に充てている。一方、富士重ブ ランドの米国販売は今期(2013年3月期)、前期比16%増の約32万台 に拡大の計画。富士重ブランドの現地生産を大幅に増やすには、カム リの受託生産を減らして設備を仕様変更するか、工場を新設する必要 がある。

いちよしアセットマネジメントの秋野充成執行役員は、カムリの 受託生産は安定した経営基盤の構築につながるものであり、世界経済 も業界再編も流動的な中で、いまは生産能力増強を急ぐなど「目先の こと」にとらわれずに対応する時期だと指摘した。

米工場ではカムリの受託生産を2007年に開始。昨年9月には新型 カムリのラインオフ式を実施し、受託生産事業は富士重の経営に大き く寄与しており、両社のアライアンスの成果の一つだとの見解を発表 している。

スポーツカーで協力拡大も

また、吉永社長は、技術面での関係も深めていく考えを明らかに した。共同開発した小型スポーツカー「BRZ」(富士重)と「86」 (ハチロク、トヨタ)については今後、セダンタイプなど派生モデル の拡大をトヨタに提案をしていくという。BRZ/86は今春の投入 後、月間販売目標の6-7倍程度の受注があり、生産が追いつかない 人気ぶり。

BRZ/86は、富士重の群馬製作所本工場(群馬県太田市)で 生産し、年間の生産計画は10万台。両社とも日米を中心に世界展開を 目指している。

吉永社長は、トヨタとの現在の関係が非常に良好で居心地の良い ものだと語った。トヨタの豊田章男社長がしばしば口にする「いいク ルマづくり」という言葉は、富士重が目指す「クルマの楽しさを実現」 と同じで、トヨタとは「気持ちが一緒だ」と実感しているという。

提携はトヨタ以外ない

吉永社長は、当面は技術や商品面での提携を継続・発展させるこ とに重きを置くつもりで、この方針はトヨタとも一致していると述べ た。トヨタとの関係について「提携は正しかった。大事にしていきた い」と語った。環境対応技術に「1社ですべて対応するのは無理だが、 提携はトヨタ以外とは考えていない」と強調した。

富士重はトヨタからハイブリッド(HV)技術の提供を受けてお り、13年には富士重のコア技術である水平対向エンジンを搭載した車 両にトヨタの技術を合わせたハイブリッド車を発売する計画。吉永社 長は「燃費だけを優先するのではなく走りの良さも確保する」車両に なる見通しを明らかにした。

富士重は05年10月、トヨタと業務・資本提携で基本合意。08年 4月には、トヨタが富士重への出資比率を約8.7%から16.5%へ引き 上げ、ダイハツ工業を加えたグループ提携事業拡大で合意した。これ により、富士重は軽自動車の開発・生産から撤退、ダイハツからOE M(相手先ブランドの生産)調達に切り替えた。また、富士重はトヨ タとスポーツカーの共同開発を進めることも合意に盛り込まれていた。

岩井コスモ証券投資調査部の清水三津雄副部長は、富士重の株価 の上昇率が高い理由の一つに、トヨタと提携をしているという安心感 があると指摘した。共同の技術開発などでコストの軽減ができるなど 富士重側のメリットは大きいと述べた。

富士重の株価は30日の終値で、前日比0.8%安の615円。年初来 では32%の上昇となっている。

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