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ユーロが対ドルで1年11カ月ぶり安値圏、スペイン不安が重し

東京外国為替市場では、ユーロが対 ドルで約1年11カ月ぶり安値を更新。スペインの銀行救済問題に対する 懸念が重しとなり、ユーロは対円でも約4カ月ぶり安値を付けた。

ユーロ・ドル相場は一時1ユーロ=1.2439ドルまで下落し、前日の 海外市場で付けた2010年7月1日以来のユーロ安値を更新。ユーロ・円 相場は一時、1ユーロ=98円68銭と1月19日以来の水準までユーロ安が 進んだ。

大和証券投資情報部担当部長の亀岡裕次氏は、スペインの銀行をめ ぐる不安というのが影響しており、ユーロについては「多少まだ下はあ る」と予想。その上で、銀行支援の話もいろいろ出てきており、「ある 程度全体的な状況がはっきりした段階で懸念もいったん落ち着く可能性 はある」と語った。

一方、ドル・円相場は1ドル=79円半ばで小幅な値動きが続いてい たが、午後には円買いが優勢となり、一時79円30銭と1週間ぶりのドル 安・円高水準を付けた。

スペイン不安

スペインの銀行、バンキアの資本増強をめぐる同国政府案を欧州中 央銀行(ECB)が拒否したと、英紙フィナンシャル・タイムズ (FT)が複数の欧州の当局者の話として報じた。

スペイン政府は、一部国有化したバンキア・グループの資本増強の 方法を検討している。米格付け会社イーガン・ジョーンズ・レーティン グスは29日、国内総生産(GDP)比で9.6%という財政赤字に加 え、24%の高い失業率、最大2600億ユーロ(約25兆8000億円)に上る銀 行損失がスペイン経済の重しになるとし、同国のソブリン信用格付けを 「B」と従来の「BB-」から引き下げた。

30日の欧州債市場ではスペイン国債が下落しており、同10年債のド イツ国債に対する利回り上乗せ幅(スプレッド)が1999年のユーロ導入 以来の最大を更新。国債入札を控えてイタリア国債も下落している。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作シニア為替・債券 ストラテジストは、「あらゆるマーケットの不安心理というのは国債利 回りに表れてくる」とし、「ここにきてスペインのみならず、一時7% を切っていたアイルランドあたりでも金利が上がってきているところか らしても、ギリシャから他にも不安の火種が飛び火しているという状況 だ」と指摘。「特にスペインは銀行の問題を中心に不安の源泉になって いる」と話した。

欧米景気動向

ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査によれ ば、30日発表の5月のユーロ圏の景況感指数は91.9と4月の92.8から低 下するとみられている。

みずほ証券の鈴木健吾FXストラテジストは、「各国が緊縮財政を 強いられる中で、景気拡大に向けた手をなかなか打ちづらい」ため、ユ ーロ圏の景気も「低成長が続く」とし、仮に「債務問題が片付きそうだ となっても、ファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)からもユーロ が売られやすい状況になる」と語った。

一方、米国では31日に第1四半期の国内総生産(GDP)改定値や 5月のシカゴ購買部協会指数、ADP雇用統計、6月1日に5月の雇用 統計と米供給管理協会(ISM)製造業景況指数など経済指標の発表が 相次ぐ。30日は4月の中古住宅販売制約指数が発表される。

三菱UFJモルガン・スタンレー証の植野氏は、一連の米指標が強 ければ「いったん米株もしっかりして米金利も多少上がり、クロス円 (ドル以外の通貨の対円相場)の円高は波及しないという形でドル・円 しっかりという展開も考えられる」と説明。ただ、欧州問題など不安材 料が多い中、指標が弱めとなった場合は「クロス円での円高がドル・円 にも乗り移るリスクは十分あるので、要注意だ」と語った。

--取材協力:Masaki Kondo. Editors: 持田譲二, 青木 勝

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