ギリシャ離脱激震、中国巻き添えか-対応誤れば地獄絵図に

世界経済に占める割合が0.4%にす ぎないギリシャが国際社会の繁栄にとって脅威となりつつある。同国が ユーロ圏にとどまる日数に限りがあるとの見方が投資家の間で強まって いるからだ。

米パシフィック・インベストメント・マネジメント(PIMCO) のリチャード・クラリダ氏は、ギリシャのユーロ圏離脱が「巻き添え被 害」をもたらす恐れがあると警告し、バンク・オブ・アメリカ (BOA)メリルリンチとJPモルガン・チェースのエコノミストらも 同様の見解を示している。

最悪の場合、欧州ソブリン債のデフォルト(債務不履行)と銀行の 取り付け騒ぎ、信用収縮とリセッション(景気後退)に拍車が掛かり、 これらがユーロ導入国のさらなる離脱を招くこともあり得る。

国際金融と貿易の関係を考慮すると、痛みがユーロ圏だけに限定さ れるとは思われない。ユーロ圏経済が1ポイント落ち込めば、他の地域 の成長を0.7ポイント押し下げる影響があるとJPモルガンは試算して いる。英国や中国など多数の輸出国が打撃を受けるだけでなく、ロシア も原油価格の下落に見舞われるだろう。米国経済は比較的順調な状況を 維持するかもしれないが、リーマン・ブラザーズ・ホールディングス破 綻後の金融の感染に類似した影響を受けることになろう。

欧州経済史に関する著作があるカリフォルニア大学バークリー校の バリー・アイケングリーン教授は電話取材に対し、「欧州に感染を封じ 込めるために何を行うかによって状況が大きく左右される。対応がお粗 末過ぎれば、地獄のような混乱が起きる。そのような展開が目に浮かぶ ようだ」と語った。

来年元旦の離脱も

シティグループのエコノミストらはこれまで、ギリシャ離脱の確率 を最大75%と予測してきたが、現在は来年1月1日の離脱を「基本シナ リオ」と想定している。BOAメリルリンチのストラテジストらは、ギ リシャ離脱後のユーロ圏経済が2008年のリーマン破綻後と同じようなリ セッションに見舞われ、少なくとも4%のマイナス成長に陥ると予想す る。

BOAメリルリンチの欧州担当チーフエコノミスト、ローレンス・ ブーン氏は「ギリシャの離脱を許せば、ユーロ圏の一員であることが必 ずしも恒久的ではないというメッセージを送ることになり、一部の国に とって思いがけない災難となりかねない」との見方を示す。

ユーロ圏だけに影響はとどまらない。主要貿易相手国である英国や スイス、ルーマニアを含む近隣の新興国も需要鈍化による打撃を受け、 自国通貨の対ユーロ相場上昇で輸出競争力が損なわれるだろう。中国最 大の投資銀行は、同国経済が過去20年余りで最も低い成長率にとどまる 可能性があるとみている。

コスト100兆円超

世界の銀行業界を代表する国際金融協会(IIF)のダラーラ専務 理事は25日のインタビューで、ギリシャのユーロ圏離脱に伴うコスト が、IIFの従来予想である1兆ユーロ(約100兆円)を上回る公算が大 きいと警告した。これには、ギリシャ国債からの直接の損失のほか、ポ ルトガルとアイルランド、スペイン、イタリアを感染から守り、銀行の 資本増強を行うために必要な資金が含まれる。

一方、ピーターソン国際経済研究所の研究員、ヤコブ・キルケゴー ル氏は、ギリシャの再選挙で救済条件の破棄を訴える政党を有権者が選 んだとしても、ユーロ圏の分裂は起こらないのではないかと考えてい る。ユーロ圏離脱は海外からの支援を遮断し、経済と金融システムを非 常に大きな混乱に陥れるため、新政権は数週間以内に崩壊する可能性が 大きいとみるためだ。

ギリシャが政治の機能停止と5年目に入るリセッション、債務返済 義務と緊縮目標達成の重荷にあえぐ中で、同国がユーロ圏に残留するこ とも世界経済にとって頭痛の種となりそうだ。ゴールドマン・サック ス・アセット・マネジメントのジム・オニール会長は「ギリシャがユー ロ圏をまだ離脱せず、この先1年以上にわたってこの種の議論が繰り返 されるという見通しが最も有力だ」と話している。

原題:Greek Exit Aftershocks Risk Reaching China as Growth Hurt (1)(抜粋)

--取材協力:Shamim Adam、Andrew Davis、Liam Vaughan、Rebecca Christie、Elena Logutenkova、Ilya Arkhipov、Henry Meyer、Zheng Lifei、Rich Miller、Elisabeth Behrmann.

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