ユーロが対ドルで10年7月来安値圏、域内債務問題で景気懸念

東京外国為替市場では、ユーロ・ド ル相場が1ユーロ=1.25ドル台前半で上値の重い展開が継続。経営難に 陥ったスペインの一部銀行をめぐる懸念がくすぶる中、同国債利回りの 上昇圧力が再び強まっており、ユーロに下押し圧力がかかった。

クレディ・アグリコル銀行外国為替部の斎藤裕司ディレクターは、 引き続き「ギリシャに手を焼いている」状況で、海外情勢の不透明感は 根強いと指摘。一方、足元では、中国の刺激策を巡る観測が「上海株に 効いている」といい、アジア全般の株価にも波及して、オーストラリ ア・ドル主導でクロス・円(ドル以外の通貨の対円相場)の上昇(円は 下落)につながったと説明している。

ユーロは午前の取引で1.2548ドルを上値に、一時1.2510ドルと、2 営業日ぶりの水準まで下落。午後は午前に形成されたレンジ内で上値は 抑制された。前日の取引では、先週末に行われたギリシャの世論調査で 国際支援の条件となる財政緊縮を受け入れている政党の支持率上昇を背 景に一時1.2625ドルまで値を戻す場面も見られていた。

ユーロ・円相場は1ユーロ=99円79銭を上値にじりじりと水準を切 り下げ、正午過ぎには99円51銭まで下押しされた。午後はクロス・円で の円売りを背景に99円台後半で推移した。

一方、ドル・円相場はユーロ主導の展開が続く中、午前9時過ぎに 付けた1ドル=79円64銭から、正午前に79円42銭まで軟化。午後は79円 台半ばに円が水準を切り下げて取引された。

ドイツ銀行の中国担当主任エコノミスト、馬駿氏は29日、シンガポ ールでの会見で、中国が2012年に預金準備率をさらに1-2回引き下げ る可能性があると述べた。また、欧州情勢が安定すれば、国内総生産( GDP)成長率は10-12月(第4四半期)までに8.5%に達する見込み だと予想した。

この日の中国株式相場は、上海総合指数が続伸。また、日本株もつ れ高となり、日経平均株価は午後の取引でプラスに転換して4営業日続 伸して引けた。欧米市場の株価指数先物もプラスで推移している。

スペイン情勢に不透明感

スペインのラホイ首相は28日、マドリードで記者会見を開き、同国 政府が、経営難で一部国有化された国内3位の銀行バンキア・グループ の救済で市場からの資金調達回避を図る中、欧州当局には指導力を示す よう訴えた。バンキアの親会社BFAは28日に電子メールで、2011年の 損失が33億2000万ユーロに上ったことを明らかにしている。

外為オンライン情報サービス室の佐藤正和顧問は、ギリシャに加え て、スペインの問題が焦点になっており、同国債の利回り上昇で、資金 調達が厳しくなっている状況を勘案すると、債務問題の拡大が意識され やすく、ユーロ売りにつながっていると指摘。域内で「しっかりと火が 拡大するのを防ぐような対策が出るまでは、やはりユーロの上値は重 い」とし、1.25ドルを再び割り込むと、一段と下値を広げる可能性があ るとみている。

スペインの経済・競争力省の当局者は28日の電話インタビューで、 政府がバンキアの資本増強に向けて債券を用いるかの判断を下しておら ず、決定まで2-3カ月かかるだろうと説明。27日には、スペイン紙パ イスが、同国政府が公債を投入する計画だと報じていた。

そうした中、28日の欧州債市場ではスペイン10年債相場が下落。同 利回りは昨年11月以来の水準に上昇し、ドイツ10年債利回りとの格差 は、ユーロ導入以降で最大となった。

JPモルガン・チェース銀行の佐々木融債券為替調査部長は、「ス ペインはユーロ圏の中でもシェアが大きいため、このまま同国の国債の 対独スプレッドが拡大してくると、市場全体に与える悪影響は非常に大 きくなる」と説明している。

--取材協力:小宮弘子 Editors: 持田譲二, 青木 勝

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