ドルは貴重な存在、質の高い資産が大幅減-FRB資金供給でも

ドルの輝きが増している。米連邦準 備制度理事会(FRB)が金融システムに2兆3000億ドル(約180兆 円)もの追加流動性を供給したものの、世界全体で最も質の高い資産が 縮小しているからだ。

ドルは昨年の安値を付けた7月27日以来、主要16通貨全てに対して 上昇している。インターコンチネンタル取引所(ICE)のドル指数 は、FRBが異例の刺激策として資産購入を通じたドル資金供給を開始 した2008年末から12%上昇した。

投資ガイドラインや新規制に沿って最も質の高い資産だけしか保有 を認められない国際的な投資家や金融機関にとって、ドル建て資産以外 の選択肢が減っている。国債のクレジット・デフォルト・スワップ( CDS)スプレッドが100ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%) 未満で、ほとんどリスクがないと見なされている主要国は5カ国だけ で、米国はその一角を占める。ブルームバーグのデータによると、1年 前にこの分類に入っていた国は主要10カ国(G10)中8カ国だった。

モルガン・スタンレーの欧州為替戦略責任者、イアン・スタナード 氏は22日の電話インタビューで、「高格付け資産の規模はユーロ圏だけ でなく他の地域でも縮小している」とし、「欧州の中核部が縮小し、準 備目的で確保できる資産も減少しており、ユーロ圏の魅力は低下してい る」と述べた。

ドルは主にユーロに対して上昇している。ブルームバーグが追跡す る主要9通貨のバスケットに対し、ユーロはこの半年間に5%近く下 落。欧州債務危機に伴うスペインやイタリアの格下げが影響している。

不透明な時期

スタンダード・ライフ・インベストメンツ(エディンバラ)の為替 投資ディレクター、ケン・ディクソン氏は24日の電話インタビューで、 「こうした不透明な時期にあって、ドルが買われる局面はさらに続く」 と述べた。

ニューヨーク市場でドルは先週、対ユーロで2.06%高の1ユーロ =1.2517ドルで終了。1.2496ドルと、2010年7月以来の高値を付ける場 面もあった。対円では0.84%高の1ドル=79円68銭。ドル指数は1.37% 高の82.402と、4週連続の上昇だった。

ハンガリー国立銀行(中央銀行)は欧州資産の信用の質低下に伴 い、保有する外貨準備の投資先を分散化しており、ドル、円、英ポンド も投資対象にする方針。同中銀のシモール総裁は14日にブダペストで記 者団に対し、「われわれの質の基準を満たすユーロ建て資産の数が大幅 に減少している」とし、「ポートフォリオから外れる証券が増えた。 『A』格付けを下回る国が増加し、市場の質の基準を満たさない証券が 増えているためだ」と説明した。

投資先分散化

ドルの魅力が増しているのは、安全な逃避先とみなされる国が逃避 先となることを歓迎しなくなってきたことも影響している。スイス国立 銀行(中央銀行)は昨年9月、1ユーロ=1.20フランの上限を設定し た。自国通貨が過去最高値に上昇し、輸出企業に痛手を与えたほか、デ フレのリスクが高まったためだ。

ディクソン氏は「ある種の逃避先となっていた国は、自国通貨高を 望まない旨をゆっくりだが着実に伝えつつある」と述べた。

原題:Dollar Scarce as Top-Quality Assets Shrink 42% After Stimulus(抜粋)

--取材協力:Sara Eisen、Liz Capo McCormick、David Goodman、Selcuk Gokoluk.

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