スペイン首相:ESMは銀行直接支援を-国内銀は救済必要ない

スペインのラホイ首相は28日、同国 政府が国内3位の銀行バンキア・グループの救済で市場からの資金調達 回避を図る中、欧州当局には指導力を示すよう訴えた。

同首相はマドリードで記者会見を開き、「欧州はユーロをめぐるい かなる疑念も取り除く必要がある」と発言。「ユーロが後戻りできない プロジェクトであることを確認し、これに伴う行動を取らなければなら ない」と主張した。

スペインは国内銀行の資本増強とともに財政難の自治州の支援に取 り組んでいるが、同国の借り入れコストはドイツとの比較でユーロ導入 以来の最高水準にある。同国政府はバンキアへの190億ユーロ(約1 兆9000億円)の支援について、現金ではなく公債の注入を検討してい る。

ラボバンク・インターナショナルのクレジットアナリスト、オリ ー・バロウズ氏(ロンドン在勤)は電話取材で、「スペインが自力で成 し遂げるのは不可能というのが実情で、同国は国内の銀行システムを救 済したり資本増強したりする余裕はない」と述べた上で、「スペイン自 体は支援を必要としていない。これはあくまで同国の銀行の問題だ。た だ、何も持っていないところから資金は借りられないというのもまた事 実だ」と語った。

ラホイ首相は同国の銀行について、欧州の支援を求める考えはない とあらためて表明。一方、恒久的な救済基金として7月に始動する「欧 州安定化メカニズム(ESM)」が各国政府を経由せずに経営難の銀行 を直接資本を提供できるようにすべきだとの見解を示した。

救済基金の直接関与で対立

欧州連合(EU)当局者は22日、同案をめぐって域内首脳の意見が 分かれていると説明。ラホイ首相は、賛同者は多いと述べたが、詳細は 明らかにしなかった。また、公的債務の「持続性」への対応で欧州当局 に支援を呼び掛けたが、23日のEU首脳会議後の発言とは異なり、 ECBを名指しにすることはなかった。

ECBのゴンサレスパラモ理事は国営スペイン通信(EFE)との インタビューで、同国政府はECBの責務について発言を慎むべきだと 述べた。ECBは既にスペインに対して「寛容さ」を示しており、昨 年12月と今年2月に域内銀行を対象に実施した1兆ユーロ規模の3年物 資金供給で同国は大いに恩恵を受けていると指摘した。

スペイン政府が今月9日に国有化されたバンキアの支援に現金では なく公債を注入すれば、同行は公債を担保にECBから資金を調達で き、資本増強の負担はECBに転嫁される可能性がある。スペイン銀行 (中央銀行)のデータによると、同国の銀行のECBからの借入高は4 月に過去最高の2640億ユーロに達した。前年同月は420億ユーロだっ た。

BNPパリバのユーロ圏チーフエコノミスト、ケン・ワトレット氏 (ロンドン在勤)は電話インタビューで、「この案を創造的と呼ぶ人も いるかもしれないが、現実問題を回避しているとも言えよう」と述べ、 「ECBは恐らくもっと正統的なアプローチを好むだろう」と語った。

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