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【日本株週間展望】9週ぶり反発も上値重い、欧州懸念の売り一巡感

5月5週(5月28日-6月1日) の日本株は、9週ぶりに反発しそうだ。ギリシャのユーロ離脱リスク などを警戒した売りに一巡感が出つつあり、株価純資産倍率(PBR) の低さやテクニカル指標に着目した買いが優勢になる。ただ、戻りを 待った投資家の売り圧力も強く、上値は重いとみられる。

独アリアンツ傘下の運用会社、RCMジャパンの寺尾和之最高投 資責任者は「今動いているのは短期売買を手掛ける投資家の資金だ。 欧州の高官などから少しでも前向きな話が出てくれば、短期筋の買い 戻しが入りやすいのは確か」と言う。欧州の政府や中央銀行は、ギリ シャがユーロ圏を離脱することになった場合でも、危機が伝染しない よう安全網の整備を検討している段階で、「そうした対策への期待感が 醸成されつつある」と話している。

5月4週の日経平均株価は、0.4%安の8580円と8週連続で下落。 週間ベースの続落記録としては、バブル経済崩壊過程の1992年3-5 月にかけての9週連続以来、約20年ぶりの長さとなった。ギリシャの ユーロ離脱観測や、日本銀行の追加金融緩和見送りを受けた為替の円 高進行が嫌気された週央23日に大幅安。翌24日に取引時間中として 約4カ月ぶりに節目の8500円を割り込んだが、その後はやや戻した。

欧州情勢をめぐっては、イタリアのモンティ首相が24日、ブリュ ッセルで開かれた欧州連合(EU)非公式首脳会議で、ギリシャは引 き続きユーロ圏にとどまるだろうとの認識を示したほか、各国指導者 の過半数がユーロ共同債に賛成しており、イタリアは欧州の共通の利 益を支持するよう、ドイツを説得する際に支援が可能だと述べた。

優しい政策が出始める時期

大和証券投資戦略部の佐藤光シニアテクニカルアナリストは、「各 国で市場に優しい政策が話題となり、市場もそれを好感し始める時期 を迎えつつある」とみる。欧州では、6月末に銀行の自己資本比率規 制強化を控えるが、「過去の金融規制強化の事例を見ると、相場の底は 期限の1カ月程度前となることが多く、そのタイミングからは市場に 優しい政策が好感されるようになっていた」と同氏。今回も同様の時 期が近づき、6月17日のギリシャ再選挙に向け、「欧州市場の混乱が 一巡してきてもおかしくない」と指摘した。

欧州発で新たな悪材料が出なければ、欧米株の安定や円高修正が 進み、日本でも直近で下げの目立った業種、銘柄を中心に投資資金が 回帰しそうだ。新年度入りした4月以降の東証1部33業種のパフォー マンスを見ると、証券・商品先物取引、鉄鋼、保険、海運、ガラス・ 土石製品、非鉄金属、鉱業、電機などが値下がり率上位に並ぶ。

ブルームバーグ・データによると、TOPIXのPBRは25日時 点で0.84倍と、理論上の会社解散価値に当たる1倍を大きく下回る。 テクニカル指標では、30%を下回ると短期的に売られ過ぎとされる日 経平均のRSI(相対力指数)が28%。このほか、日経平均の25日 移動平均線からの下方かい離率も5.8%と、目先の反発局面入りを示 す5%を超える。

リスクオフ姿勢はなお続く

もっとも、RCMの寺尾氏は、欧州情勢の混迷で中長期の投資家 はリスクオフ姿勢を続けており、テクニカル指標などで売られ過ぎの シグナルが点灯していても、「明確なリバウンドは見込みにくい状況だ。 長期投資家からの新規の買いは入りづらく、戻り待ちの売りに押し戻 されてしまいがち」と言う。

ソシエテ・ジェネラル証券の久保昌弘グローバルエクイティ部長 も、「ギリシャが無秩序なデフォルトに陥った場合の影響度合いがどの 程度なのか分からず、不安が根強い」と指摘。これ以上売りが出にく くなってきているが、「積極的に買う理由もない」とし、欧州で何かし ら大きなインパクトのある話が出てこない限り、日経平均は「現状水 準を挟み上下200円くらいのレンジの中で動くだけ」と予想した。

5月最終週に発表予定の経済統計などイベントは海外に多く、29 日に米国で3月のS&P/ケース・シラー住宅価格指数やコンファレ ンスボードによる5月の消費者信頼感指数、5月の独消費者物価、30 日にブラジル中央銀行の金融政策委員会、31日にはインドの1-3月 期国内総生産(GDP)、6月1日には中国で5月のPMI製造業指数 などがある。イタリアでは28、29 両日に国債入札を控える。

米雇用統計控え週後半は様子見に

欧州財政危機の世界経済への余波が警戒される中、「高成長を続け てきた新興国の足元の情勢を見極めたい」と、東洋証券投資情報部の 檜和田浩昭マネジャーは話す。ブラジル中銀は、昨年8月から先月ま で6回連続で政策金利を引き下げており、追加利下げの有無が注目さ れる。中国のPMIは、ブルームバーグによるエコノミスト予想の中 央値は52.0(前月は53.3)と、6カ月ぶりの低下が見込まれている。

また、週末には米国で5月の雇用統計や米供給管理協会(ISM) 製造業景況指数、4月の個人所得・消費支出と重要統計が相次ぎ発表 予定。エコノミスト調査の中央値は、ISM製造業景況指数で前月の

54.8から54.0へ低下の見通し。非農業部門雇用者数は、前月の11万 5000人増から15万人への増加が予想されている。

米雇用統計に関しては、3、4月と雇用者数の伸びが市場予想を 下回り、株安につながった経緯があるだけに、週後半にかけては投資 家の様子見ムードが強まりそうだ。米経済指標の実際の数値とエコノ ミスト予想との差異を示すシティグループ経済サプライズ指数は24 日時点でマイナス25.40と、昨年9月末以来の低水準にある。同指数 のマイナスは、実際の経済指標が予想を下回っていることを示す。

国内では29日に4月の家計調査、31日に4月の鉱工業生産や住 宅着工戸数、6月1日に1-3月の法人企業統計や5月の新車販売台 数などが発表される。

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