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消費増税で民主に分裂リスク-野田首相が小沢氏と来週会談へ

野田佳彦首相が成立に「政治生命を かける」と公言する消費税増税関連法案。成立には自民、公明両党など 野党の協力を得ることが不可欠だが、民主党内では小沢一郎元代表に近 い議員らに増税反対論が根強い。首相は来週、小沢氏と会談して増税に 理解を求める方針だが、党分裂のリスクも覚悟する必要がある。

野田首相は21日、衆院の社会保障と税の一体改革に関する特別委員 会で、増税を含む一体改革は「決断する政治の象徴的なテーマ。ぜひ知 恵を出し合って結論を出したい」と今国会中の法案成立に意欲を示す発 言を繰り返している。25日には官邸で記者団に対し、小沢氏との会談で は「誠心誠意、自分の思いと覚悟をお伝えする」との意向を示した。

小沢元代表グループの森裕子参院議員の目には、首相の政治姿勢は 「税率を上げることだけが目的」と映る。森氏は、首相が社会保障改革 で自民党が示す予定の対案を「丸のみ」する可能性もあるとして、「そ んなことをしたら徹底抗戦する」と警戒。小沢氏も24日、自身が会長を 務める勉強会で「私の考え方は変わっていない」と強調した上で、首相と の会談では「議論は平行線になるかもしれない」と指摘する。

格付け会社フィッチ ・レーティングスは公的債務の圧縮に向けた 進展が遅いとして、日本の長期発行体格付けを「A+」に引き下げた。 JPモルガン証券のイェスパー・コール株式調査部長は「日本は膨大な 公的債務を抱えており、税制改革は本当に遅れている。野田首相はこの 問題に政治生命をかけている点では評価できる」と指摘している。

小沢元代表

野田首相は昨年9月、小沢元代表らとの対立の末に退陣した菅直人 前首相の後を受けて就任した。同年8月の党代表選出直後のあいさつで は、「ノーサイドにしましょう」と党内融和を訴えたが、増税が具体化 するに従い、小沢氏に近い議員との意見対立が表面化。今年3月30日の 消費税増税法案の閣議決定を受け、文部科学副大臣だった森氏ら4人の 政務3役と鈴木克昌幹事長代理(当時)らが党の役職を辞任し、「挙党 態勢」は瓦解した。

森氏は「デフレの状況下で増税しても景気がよくなって税収が増え るようなことはない」ことを挙げ、このまま採決に持ち込まれれば反対 する考えを明言。鳩山由紀夫元首相も19日のテレビ東京の番組で、増税 法案の採決について「そのタイミングではない」と慎重な対応を促す。

一方、小沢氏の政治姿勢を批判する生方幸夫衆院議員は増税反対派 を「党が決めたことに反対するのなら、出て行くしか選択肢はない」と けん制。藤井裕久税制調査会長も小沢氏らは党の決定に従うのは当然と の見解を示すなど党内の溝は深い。

こうした民主党内の情勢を見透かしてか、自民党の谷垣禎一総裁は 9日のBSフジの番組で、「小沢さんの軍門に下って、採決すると分裂 もしかねないから先送りをしようと考えているのか、党を割ってもいい から政治生命をかけて戦うと審議に臨んでいるのか。どちらかによって われわれの対応は全然、変わる」と挑発している。

丸のみ

結束維持か、分裂か。首相が小沢元代表らとの関係でいずれかの判 断をしても、自民党側との交渉が成功するとは限らない。政策面で隔た りの大きい社会保障制度改革での合意と、民主党内で慎重論が強い早期 解散にどこまで自民党がこだわるかが見えないからだ。

消費税率(現行5%)を2014年4月に8%、15年10月に10%へと引 き上げる政府案に対し、自民党も10年の参院選で当面10%への税率引き 上げを唱えるなど増税の必要性では一致している。

焦点となるのは一体改革のもうひとつの柱である社会保障改革だ。 自民党が15日に公表した「今後の社会保障に対するわが党の基本的な考 え方」は、民主党が09年の衆院選マニフェスト(政権公約)に掲げた全 額税方式の「最低保障年金」創設を「非現実的な選択肢」と明記した。

自民党で谷垣総裁に近い逢沢一郎総裁特別補佐は「撤回すべきもの は撤回し、取り下げるものは取り下げて、われわれの提案に合意できる かという話になる」と強調。これに対し、民主党の笠浩史総括副幹事長 は「最初から丸のみではない」としながらも、「国会審議をやりなが ら、いいものをどんどん取り入れて多くの賛同を得る形で進めた方がい い」と訴え、政策面での合意は可能との認識を示す。

解散

自民党との交渉でもう一つのハードルとなるのが、衆院の早期解散 問題。逢沢氏は「一刻も早く選挙によって政治をつくり直すことは避け て通れない」と早期解散を要求。山本一太参院議員も解散が確約されな い限り、「自民党が賛成する可能性は低い」と主張する。

ただ、早期解散に持ち込めても自民党が確実な政権奪還のシナリオ を描けているわけではない。大阪市の橋下徹市長率いる「大阪維新の会」 など第3勢力が支持を広げる可能性があるからだ。鳩山元首相は前出の 番組で「すべての既存政党が問われている。今選挙をやったら、橋下市 長のグループが圧勝するのではないか」と早期解散論をけん制する。

こうした中、自民党の伊吹文明元幹事長は21日の衆院特別委で「解 散の約束をしなければ協力しないぞ、なんて子どもじみたことが通るわ けはない」と述べ、早期解散にこだわらない姿勢を見せた。野田毅税制 調査会長は14日のインタビューで、「谷垣総裁と首相がお互いの政治リ スクをかけてする話だ」と述べ、衆院解散の扱いは共に9月に党首とし ての任期を迎える首相と谷垣氏が最終的に判断することになるとの考え を示す。

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