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ギリシャの離脱は「パンドラの箱」-預金流出が最大のリスク

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欧州の銀行がスペイン、イタリア、 ポルトガル、アイルランドの4カ国関連で保有する債権は、1兆1900億 ドル(約94兆7000億円)相当に上り、ギリシャがユーロ圏から離脱した場 合、損失の波が押し寄せることが予想される。

欧州の金融機関はギリシャ国債の評価損を計上する一方、資本バッ ファーの上積みに動き、傘下の南欧部門の資金繰りを支援するために欧 州中央銀行(ECB)の資金供給を利用している。ギリシャのユーロ圏離 脱に伴う感染の波及に対して、脆弱(ぜいじゃく)である状態は変わらな いと投資家は指摘する。

離脱に備える2年余りの準備期間があったとはいえ、ユーロ圏の他 の高債務国におけるデフォルト(債務不履行)の増加や預金流出のリスク に銀行は引き続き直面している。

オフィ・ジェスチョン・プリベ(パリ)で資産運用に携わるジャッ クパスカル・ポルタ氏は「ギリシャの離脱はパンドラの箱になるだろ う。大惨事の連鎖への扉を開くことになる。ユーロの信認が弱まり、悪 しき前例となろう。スペインやイタリア、フランスでさえも離脱しない とどうして言い切れるだろうか」と警告する。

国際決済銀行(BIS)のデータによれば、ドイツとフランス、英 国の金融機関がスペイン、イタリア、ポルトガル、アイルランド関連で 保有する債権は、昨年末時点で1兆1900億ドル相当に上る。これらの国 もユーロ圏から離脱するとの観測が広がり、預金流出に拍車が掛かるこ とが、欧州の銀行とユーロ圏にとって差し迫ったリスクとなっている。

ギリシャ通貨は75%切り下げも

UBSのエコノミストは、ギリシャがユーロ圏を離脱すれば、新通 貨は対ユーロで最大75%の切り下げに直ちに直面し、個人や企業は海外 からの借り入れがデフォルト(債務不履行)に陥らざるを得ないと予測 する。ギリシャの離脱が単独の例外的な出来事だと納得できる説明が行 われない限り、他の国の預金者も銀行から資金を引き出したり、比較的 安全とみられる国に移す決意をするかもしれない。

キーフ・ブリュイエット・アンド・ウッズの銀行アナリスト、アン ドルー・スティンプソン氏は「現時点で銀行が直面する最大のリスク は、預金取り付けの可能性だ。ギリシャの離脱について政策担当者が公 に議論を続ければ続けるほど、スペインとアイルランド、ポルトガルの 人々は自国の銀行から預金を引き出したいと考えるだろう」との見方を 示す。

預金流出は、既に始まっている可能性がある。ECBのデータによ れば、ギリシャとスペイン、イタリア、ポルトガル、アイルランドの5 カ国の銀行では、2010年末から今年3月末までに家計と法人を合わせて 預金全体の3.2%に相当する806億ユーロ(約8兆1300億円)が流出し た。ドイツとフランスの銀行の預金はこの間、逆に2174億ユーロ (6.3%)増加している。

原題:European Banks Unprepared for Pandora’s Box of Greek Euro Exit(抜粋)

--取材協力:Fabio Benedetti-Valentini、Mark Deen、Adam Ewing、Charles Penty、Nicholas Comfort、Patrick Donahue.

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