日本の債券バブル最終章か、様子見るヘッジファンド-ペセック

日本の金利は、メルトダウンを起こ さずにどこまで下がり得るだろうか?

10年物国債の利回りが消えそうな中で、この疑問は切迫性があ る。2003年以来の低水準である0.83%という利回りは、重債務国である 日本の借用証書(IOU)に付随するリスクをほとんど埋め合わせてい ない。

日本の国内総生産(GDP)が前期比年率で4.1%増を記録したと いうニュースは考慮しないことにしよう。日本経済が成長している唯一 の要因は過剰な借り入れとゼロ金利だ。日本が債務を削減する時に、成 長は落ち込み、デフレが深刻化するほか、政治家は日本銀行にもっと措 置を講じるよう要求する。それはここ20年来の日本の姿だ。

もっとも、日銀があらゆる危機に対する日本の備えを怠るだけでな く、経済を抑圧していたらどうなるだろうか。日銀の白川方明総裁の措 置は乏し過ぎ、景気下支えで円資金を大量に供給すべきだというのが日 本での定説だ。しかし、どのエコノミストも事実上、意見が一致してい たら、私は心配になる。サブプライム(信用力の低い個人向け)住宅ロ ーン危機は収拾可能だとあらゆる専門家が指摘していたことを覚えてい よう。

リーマンショック後で何か教訓を得たとすれば、社会通念はギリシ ャ議会程度にしか当てにならないということだ。日本では、ゼロ金利が この国の将来を駄目にしつつあることを検証する時だ。

奇妙な力学が日本の金融システムを支配している。その1つは、2 年債利回りが約0.095%に低下したこと。この水準は、政策金利目標 (0-0.1%)の上限、日銀当座預金への付利金利(0.1%)をともに下 回る。こうした金利水準は深刻な問題をもたらしている。

買い入れオペへの反応

日本は国債買い入れオペを実施している。先週は応札額が予定額を 下回る札割れとなった。銀行は通常、国債を買いだめするのに、日銀は 増刷した円で銀行から国債を買い入れようとすることを考えてみよう。 銀行は先週、「結構だ。日銀のお金より、金利がほとんど付かない証券 を持っていた方がましだ。現金をもらっても振り向け先がない」と言っ たも同然だ。もちろん銀行は貸し出しに回すこともしない。

政治家は日銀の資産買い入れ制度の拡充を要求している。当然なが ら、それは不可能だ。日銀が銀行に現金と国債の交換を強要できるわけ がない。日本は現代の金融に独特な問題を抱えているのだ。銀行は必要 以上に日銀に預金したがる。日本の基準ではかなり好条件の0.1%のリ ターンを確保するためだ。その利払いのために日銀は、経済には何の助 けにもならない新規資金を生み出している。

この力学のために日本の金融エンジンはよくてどっちつかずで、逆 効果になっている時もある。日銀は価格下支えを目的に債券市場に介入 する。為替市場での円売り介入が毎回、大々的に報じられるのに対し、 債券市場での介入はほとんど注目を集めない。かろうじて効果があると いう状況だ。

ヘッジファンドの動向

日本は長い間、債券バブルに陥っている。ここ数年は、グリーンラ イト・キャピタルのデービッド・アインホーン氏やヘイマン・キャピタ ル・マネジメントのカイル・バス氏らヘッジファンドの運用担当者が日 本国債をショート(売り持ち)にしている。世界最大の債券バブルは破 裂寸前だろうか?必ずしもそうではない。日本の当局は問題が生じた時 に巧みに利回りを安定させる実績がある。国内の国債保有者が全体の 約95%を占めており、大規模な資本逃避のリスクもない。

しかし、事態はある種の最終段階に達しつつある。日本の現状維持 が長期化するほど、バブルの産物は大きく、危険なものとなる。日本は 超低利の短期金利が長期金利を思わぬ低水準に押し下げるという特異な 状況を生み出した。このために経済は適当なところに収まるが、金融面 のインセンティブはうまく働かない。それが永遠に続くことはあり得な い。

創造的になれ

日銀は極めて異例の取り組みを試すことが必要だ。それには不動産 や住宅ローン、空港、スポーツのスタジアム、稲作農家のほか、稼働停 止中の原子炉、ゴルフ場、大学、税収を上回るペースで少子高齢化が進 んでいる村全体といった実体のある資産購入が含まれるかもしれない。 言ってみれば、創造的で急進的になれということだ。

金融面の微調整も望ましい。明快な例は、日銀当座預金の付利金利 をゼロ未満にすることだ。銀行は日銀から安定したリターンが得られな くなれば、流動性を活用し、新規融資を実行するだろう。円安になり、 輸出を後押しするかもしれない。

重要なのは、日銀のやっていることがうまく機能していないこと だ。足元の日本の成長を損なっているとともに、数年後に次のギリシャ になる下地を醸成している。(ウィリアム・ペセック)

(ペセック氏はブルームバーグ・ビューのコラムニストです。この コラムの内容は同氏自身の見解です)

原題:Hedge Funds Circle as Japan’s Asset Bubble Grows: William Pesek(抜粋)

--取材協力:Rocky Swift.

----Editors: Jame Gibney, Stacey Shick

コラムに関する翻訳者への問い合わせ先: 東京 山口裕子 +81-3-3201-8984 yuyamaguchi@bloomberg.net

コラムに関するコラムニストへの問い合わせ先: Tokyo Willie Pesek +81-3-3201-7570 wpesek@bloomberg.net

コラムについてのエディターへの問い合わせ先: James Gibney +1-202-624-1863 jgibney5@bloomberg.net

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