欧州危機の悪循環リスク懸念、ユーロ圏マイナス成長-OECD

経済協力開発機構(OECD)は、 ユーロ圏の債務危機が波及し世界経済に深刻な打撃を与えるリスクがあ るとの認識を示した。

OECDの主任エコノミスト、ピエールカルロ・パドアン氏は世界 経済に関する半年に一度のリポートで、「高水準で増加傾向にあるソブ リン債務と、脆弱(ぜいじゃく)な金融システム、財政面での過度の調 整、成長鈍化を伴う悪循環のリスクが高まりつつある」と分析。そのよ うな下降シナリオが「現実化してユーロ圏外に波及し、世界経済に非常 に深刻な結果を与えるかもしれない」と指摘した。

こうした指摘は、23日にブリュッセルで非公式首脳会議を開催する 欧州連合(EU)指導者に警戒感を突き付けた形だ。首脳らはいかにし て成長を回復し、ギリシャの政治的行き詰まりを打開するかを協議する 予定だ。ユーロは今月、ギリシャの離脱懸念で3%余り下落している。

OECDは今年の加盟34カ国の国内総生産(GDP)成長率予測 を1.6%に据え置いた。米国経済の見通しは改善しつつあるものの、ユ ーロ圏の暗さが増して相殺している格好。ユーロ圏経済は今年が0.1% のマイナス成長に落ち込んだ後、来年は0.9%のプラス成長を回復する と予測した。昨年11月時点では今年0.2%、来年1.4%のそれぞれプラス 成長を予想していた。

パドアン氏は「こうした低迷の継続はユーロ圏に経済と財政、金融 の面で不均衡が内在していることを示している。そうした不均衡が現在 の危機の根っこにあり、解消に向けた動きはほとんど始まっていない」 とした上で、「ユーロ圏で比較的健全な国々の景気回復は歓迎されるも のの、それ以外の諸国の横ばいもしくはマイナス成長といった状況を埋 め合わせるほど力強いものではない」と指摘した。

スペインとイタリアはマイナス成長に

OECDは、ドイツのGDPは今年1.2%、来年2.0%、フランスは 今年0.6%、来年1.2%のそれぞれプラス成長を予想。これに対し、イタ リアは今年1.7%、来年0.4%のそれぞれマイナス成長で、スペインも今 年1.6%、来年0.8%のいずれもマイナス成長と予測した。

また、欧州中央銀行(ECB)に対し、金融市場の混乱が高まった 場合には、国債購入プログラムを通じ、流通市場で政府債を購入する用 意をするよう呼び掛けた。OECDは、ソブリン債市場の荒い動きは 「銀行システムの安定と最終的には公的部門の資金調達に影響を与えか ねない」として、ECBが国債購入プログラムを通じて一段と関与する ことが求められる可能性を指摘した。

そうした金融面での混乱リクスは、ユーロ圏3位の経済規模を誇る イタリアで特に高まる公算がある。

一方、米経済についてOECDは今年2.4%、来年2.6%のプラス成 長を予測。昨年11月時点での見通しを引き上げた。パドアン氏は「米国 では、法人・個人両部門で信頼感が上向いてきており、回復基調が続く と見込まれる」とした上で、同国政府が2013年に取り組むとしている過 度の財政引き締め措置が成長に深刻な影響を与える可能性に言及した。

日本はプラス成長へ

日本経済については、今年2.0%、来年1.5%のプラス成長と予測。 また、OECDは加盟国ではないものの中国の成長率予測も提示し、今 年約8.2%、来年9.3%と予想。「中国経済はまず輸出、次に投資の順 に11年後半と12年前半に減速がより顕著になった」とし、「今年4-6 月(第2四半期)も成長鈍化の傾向が続けば、同国政府は主要なインフ ラ計画の実施を加速させるだろう」との見方を示した。

パドアン氏は、金融危機が始まってから5年が経過するが、当局者 らは成長の基盤となる信頼感の再構築に至っていないと苦言を呈した。 「適切な政策の選択を通じ確固たる信頼感が再構築できなければ、景気 下振れリスクは解消しない」と語り、「このことはどの経済にとっても 重要だが、特にユーロ圏に当てはまる」と指摘した。

原題:OECD Sees Risk of Spiraling Europe Crisis Hurting World Economy(抜粋)

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